「あの人ってマイペースだよね」「いくら急かして彼女はマイペースちゃんだから…」。仕事の現場で、こんな会話をしたことはありませんか? 今回は、この「マイペース」というワードについて解説します。あまりよくない状況のときに使われることが多い気がしますが、果たして…? 言葉自体の意味を正しく理解すると、マイペースな人にも優れた長所が! 「マイペース」というワードを用いる例文なども見ていきましょう。
【目次】
【今さら聞けないから教えます!「マイペース」の基礎知識】
■意味
『日本国語大辞典』(小学館)によると、「マイペース」とは「仕事などを進めるうえで、周囲に囚われないその人なりの進度」のこと。「その人なりの進度」であってスローワークを指す言葉ではありませんが、「マイペースな人」と言ったら「のんびりした人」であることが多いのでは? しかし言葉の意味から考えると、ほかの人がついて行けないような速さで仕事をこなす人も「マイペースな人」といえます。いずれにしても「マイペースな人」とは、「周囲と歩調が合わない人」のことです。
■「マイペース」って英語?
「マイペース」は英語で[my pace]なのでしょうか? [pace]は「速度」や「歩調」「テンポ」を表す英単語。「自分なりの速度」という意味で私たちは「マイペース」を使っていますが、英語では[my pace]とは言いません。つまり「マイペース」は和製英語というわけ。だから英語ネイティブの同僚などに「マイペースな人にイライラしないように」なんて言っても通じないかもしれませんね。
【ビジネスでの「マイペース」の使い方、「例文」6選】
■1:「今年はマイペースな新人が多いので、メンターとしては苦労する」
■2:「部長が指導しても、彼のマイペースぶりは変わらない」
■3:「先輩にマイペースだねって言われたけど、ほめ言葉?」
■4:「彼女は自分のことをマイペースな人間だと思っていないところが問題だ」
■5:「私は熱中するとマイペースになってしまいますので、ご指摘いただけますと幸いです」
■6:「彼のマイペースっぷりには、上司もお手上げだ」
【「マイペース」の言い換え表現】
「マイペース」というワードの代わりに、どんな言い方ができるのでしょう。プラスイメージがある言葉の類語をみていきましょう。
■言い換え
・おおらか ・おっとり ・のんびり屋 ・自分をもってる ・ブレない ・自己流 ・自由
■「マイペースな人」の特徴
上記の言い換えからも想像がつきますが、「マイペースな人」はこのような特徴をもっています。
短所 → ・協調性がない ・時間にルーズ ・空気を読まない ・頑固 ・自分勝手
長所 → ・ポジティブ思考 ・自然体 ・独自性がある ・おおらか
■「マイペースな人」とうまく付き合うには?
「マイペースな人」は自分の価値観を大切にしています。ですから、頭ごなしに否定したり束縛するのはNG! 「こういう方法もあるんじゃないかな」といった提案型指導や、「明後日までに完成すると、ほかの人の作業もスムーズに進むんだけど」などと導くのが正解。マイペースな人は、自分の進度が人と違うことに気づいていない場合もあるのです。
【「マイペース」を英語で言ってみよう!】
上記でも紹介したとおり、「マイペース」は和製英語です。[my pace]では通じません。正しくは[at one's own pace]です。例文をご紹介しましょう。
・She does everything at her own pace.(彼女はどんなことをするのもマイペースです)
・He works at his own pace.(彼はマイペースで仕事をします)
このように、具体的に何をするのか示さなければならない英語では、[at]の前に動詞を。また、「マイペースな人」という場合には[one's own person]を用います。
・She is her own person.(彼女はマイペースな人です)
She goes her own way.(彼女は彼女の道を行きます=彼女はマイペースです)
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仕事の現場ではさまざまな人がいるもの。うまく付き合って、ストレスなく仕事をしたいものですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典(小学館)』/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『知識・情報imidas』(集英社) :