明日・2月26日は『脱出の日』と呼ばれています。世界史に名を残すフランスの皇帝、ナポレオン・ボナパルトはみなさまご存じですよね? 1815年2月26日、イタリアのエルバ島に流刑されていたナポレオンが、島からの脱出に成功、その後パリ政権に復帰した史実が『脱出の日』の由来です。
ナポレオンといえば「世の辞書に不可能という言葉はない」という名言でも知られていますが、これ“”はナポレオンが1983年の9月に、当時の副官であった将軍にあてた手紙の一節に書かれたを意訳したものです。原文は「Ce n'est pas possible, m'écrivez-vous: cela n'est pas français.」で、単純に訳すと、「君は私に“それは不可能です”と書いてよこした。しかし、そんな言葉はフランス語にはない」 となります。フランス語で「不可能」は「pas possible(可能ではない)」という、打消しの言葉をともなう2語での表現になりますので、「不可能」という表現は、1語に解説をつける辞書に掲載される言葉ではありません。自分の意思を込めてこういう表現を使ったであろうナポレオンの筆致を意訳した言葉が「世の辞書に不可能という言葉はない」なのです。ドラマティックな名翻訳と言えそうですね。
ということで、本日は「可」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「可笑しい」ってなんと読む?
「可笑しい」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「おもしろい。笑いたくなる」「ばかばかしい」「変だ。あやしい」などの意味をもつ言葉です。
<使用例>
「歴史的史実を、あんなにおもしろ可笑しく解説できるとは、あの先生はすごいわね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 可笑しい(おかしい) です。
「可」という字は「可き(べき)」「可し(べし)」とも読み、「当然そうするものである」というイメージも表現する言葉です。「可笑しい(おかしい)」は「当然笑ってしまうような」イメージを表現する言葉です。「可笑しい」という表記は熟字訓ではありますが、しばしば使われる表記ですので、大人の常識として、読み方を覚えておきましょう。
さて、2問目にまいります。…こちらは難問ですよ!
【問題2】「可坊」ってなんと読む?
「可坊」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「ばかげているさま」「人をあざけり、ののしる鼯」などの意味をもつ言葉です。
<使用例>
「美術的価値のない古道具に、こんな可坊な高値をつけるなんて、ろくな業者ではないわね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 可坊(べらぼう)です。
これは、読めたら大喝采!の難しいクイズでしたね。
「可坊(べらぼう)」は、江戸時代の見世物小屋で人々を笑わせた奇人の呼び名に由来する言葉です。「珍妙な行動をする者」というニュアンスから転じて「程度がはなはだしい。ばかげている」というような意味でも使用されるようになりました。江戸言葉の「べらんめえ」は、ここから派生した言葉です。
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本日は、2月26日、フランスのナポレオンにまつわる史実にもとづいた『脱出の日』にちなんで、「可」という字の入った日本語から、
・可笑しい(おかしい)
・可坊(べらぼう)
の読み方をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『故事成語を知る辞典』(株式会社小学館)/PRTIMES MAGAZINEウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱