ここ数年の我慢のときを経て、レストランでの食事を楽しめる機会も増えてきたこの頃。東京のレストランシーンにも新しい名店が次々と誕生しています。『Precious』3月号・別冊付録『最旬「東京モダンレストラン」17』では、2022年オープンの新店を中心に、美味しいもの好きが通っているお店17軒をピックアップ。

今回は、名店仕込みの端正な和食店たちをまとめてご紹介します。

■1:西麻布 野口[乃木坂]

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白木のカウンター。白木のカウンターは全8席。2回交替制ではないので、ゆっくりと食事できる。

「昔ながらの仕事を大切に」。それは、店主・野口正太朗さんが「銀座小十」「樋口」などの名店で修業するなかでたどり着いた境地。

料理は奇をてらわず、食材のピュアなうま味を生かした王道の構成ながら、細やかな配慮がある。冬なら先付けに白味噌仕立ての温かなもので胃を労わり、「悪酔いしないように」とお凌ぎには棒寿司などを出す。揚げ物が早い段階で登場するのは、「最初に泡のお酒を飲む方が楽しめるように」。当たり前を実直に積み重ね、食材と誠実に向き合う。

魚介は毎日豊洲市場で選び、その目利きに自信があるからこそ、お造りには素材の良し悪しがダイレクトに伝わる水塩も添える。「銀座小十」では焼き場を担当していただけあって、のどぐろなどの焼き物も評判。洗練された技が生きた正統派和食に、若いリピーターも増えている。

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鴨の治部煮、聖護院かぶ、春菊の炊き合わせ。しっとりと柔らかな鴨、丁寧に仕込んだかぶと春菊が合わさり、上品でふくよかな美味しさ。食事前の一品なので、砂糖や醤油を強くしすぎないようにしている。
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締めのミニ鰻丼。炭火でふわりと焼き上げた鰻は真骨頂のひとつ。土鍋で炊いた米は甘みの強い、群馬県の雪ほたか。

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■2:鮨処やまと[築地]

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店主・安井大和さん

「銀座小十」「日本橋蠣殻町 すぎた」で修業した安井大和さんが、「多くの人に食べてもらいたい」と税抜き2万円以下で提供するおまかせは、つまみが7~8品、握りが13~14貫。

握りはスペシャリテともいえるコハダをはじめ、マグロの漬け、煮ホタテなど、厳選したネタに江戸前の技を施し、「口の中に余白がないように」と、「すぎた」の親方仕込みの、シャリ多めのふくよかシェイプに。つまみは、タコの刺身、アン肝、白焼きの穴子など、調理も調味もむだを削ぎ落としたシンプルさ。

「映えない寿司屋なんです」と安井さんは笑うが、丁寧な仕事と味は口の中で映えまくる。粋な寿司を求め、国内外から寿司好きが通い詰めている。

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コハダの握り。予約困難店にした立役者のコハダは握りのトップバッター。その日の状態によって塩を落とす、酢締めをする時間を1分単位で調整し、切り方も変える。酸味は柔らかく、香りもいい。美味しさに度肝を抜かれる人も。
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煮ホタテの握り。江戸前の技が生きる煮ホタテは、ふわふわでほろほろ。北海道産のホタテを低温の砂糖醤油に漬け込む程度に火入れし、ギリギリレアな状態で仕上げたあと、指で軽く繊維をつぶす。こうすることでシャリとの一体感が増す。

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※掲載価格は、すべて税込みです。
※掲載している料理や商品は、時期によって変更となる場合があります。
※定休日や営業時間など、最新情報は各店舗へお問い合わせ、またはHPやインスタグラムをご参照ください。

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PHOTO :
長谷川 潤
EDIT&WRITING :
松田亜子、安村 徹(Precious)