「今日はガッツリいきたいね」というときに食べたいお料理ナンバーワン・焼肉。あまり堅苦しいことを考えずに気軽に食べるもの、というイメージはあるものの、一緒にテーブルを囲んだ人のふるまいを見て「さすがにそれはちょっと……」など、マナー違反だなと感じたことはありませんか? また、自分自身が知らずに粗相をして、そう思われているとしたら、ちょっと恥ずかしいですよね。

そこで、焼肉店でのNGマナー実例を、『オトナ女子のための美しい食べ方マナー』の著者で、マナースクール「ライビウム」代表の諏内えみさんに挙げていただきました。

■1:汚れやニオイがついたら困るような服で臨む

白い服など、汚れたら困る服で焼肉は避ける

無煙ロースターを備えていたり、紙エプロンが提供されるあるお店もありますが、やはり焼肉は汚れやニオイを気にせず豪快に食すのが醍醐味。

当たり前のことですが、白いニットや白いワンピースなど、色が明るすぎるトップスで臨むと、周りから“空気の読めない人”認定されかねません。「隣にタレや油が飛んだら大変……」と、近くの席の人に気を遣わせることにも。

焼肉店に行く際は、黒、紺、茶など汚れが目立ちにくいカラーで、もしニオイがついてもすぐに洗濯できるおしゃれを心がけましょう。

「ニオイ対策として、お店が上着を入れる袋を用意してくれることもありますが、その用意がない場合に備えて、ビニール袋を持参することをおすすめします。自分用だけでなく、会食者の人数分を用意しておくと、気遣いのできるワンランク上のマナー美人になれますよ」(諏内さん)

■2:一度にたくさん注文しすぎる

メニューを見ていると、「あれもおいしそう、これも食べたい……」といろいろ目移りしてしまいますが、1度にオーダーしすぎるのはNG。万が一、食べ切れなくて残すようなことになれば、著しいマナー違反となってしまいます。

「注文に限らず、焼肉店では、周りの人としっかりコミュニケーションを取ることが第一。みなさんのお好みを考え、ボリュームをお店の方に相談しながら、適量を注文するようにしましょう」(諏内さん)

■3:黙々とマイペースで肉を焼く

黙々と肉を焼く

焼き担当を自分が引き受けることになった場合は当然のこと、各人が自分の好きなものを焼いていく方式でも、周りとのコミュニケーションは欠かせません。黙々とマイペースで肉を焼き続けると、以下のNGマナーで会食者から白い目で見られるおそれが……。

(1)鉄板・網にどんどん食材を乗せる

お皿を早くきれいにしたい性分なのか、ペースを考えずに鉄板・網に次々と食材を乗せてしまうのはNG。
食べるのが追いつかなくて肉を焦がしたり、焦げる前に取り分けても、すぐに食べ切れなくて冷めてしまったりなど、せっかくの食材をベストな状態で味わうことができません。

(2)タレのついたものから焼く

焼く順序は、タン塩などあっさり系が優先で、タレのついたこってり系はその後というのが理想。いきなりタレ系からいくと、鉄板・網を初期から汚してしまいます。

(3)トングで肉をひっくり返す、肉を取り分ける

生肉をつかんだトングで焼いている肉をひっくり返したり、焼けた肉を取り分けたりするのはNGです。トングを通じて、生肉の菌が焼けた部分に付着するおそれがあるのを、気にする人もいるからです。肉をひっくり返したり、取り分けたりする際は、生肉に触れていない箸などを使うようにしましょう。

「これらのNGは、いずれもまわりの人とコミュニケーションを取っていれば、防げたはずのものです。たとえば、“まずはこれくらいで?”“こちらから焼きましょうか?”などと声をかけて、分量や種類を確認しながら焼いていきましょう。

トングの扱いについても、一緒に食べている人たちが皆、気にしないのであれば、必ずしもNGとはいえません。ただ、生肉をつかんだトングで当たり前のように焼いた肉を扱うと、不快感をもつ人がいるかもしれないので、はじめにどうするのか、その日のルールをみんなで確認しておくほうがいいでしょう」(諏内さん)

■4:いい具合に焼けた肉を黙って自分のものにしてしまう

これもやはりコミュニケーションの問題ですが、「あの肉そろそろ食べごろ」と目についたものを、独断で自分のものにしてしまうのもNG。他の人が食べるつもりだったものを、横取りしてしまうおそれがあります。

特に、自分の手元から少し離れたところで焼けているものは、「そちらのお肉、どなたか召し上がりませんか?」「私がいただいてもいい?」など、一声かけてからアクションを起こすのがマナーです。

■5:タレをつけすぎる

タレをつけすぎる

タレをべったりつけすぎると、お肉本来の味が楽しめませんし、また、お箸のNGマナーの一種である涙箸(食材や箸先から汁をポタポタ垂らすこと)の原因にもなります。

「タレをつけすぎると、箸先の汚れも目立ちます。箸先を汚していいのは2cmまでと心得ましょう。タレは軽くつけて、タレ皿のふちで汁気を落とすようにすると、涙箸を予防できます」(諏内さん)

■6:タレや脂がしたたりそうなときに「手皿」で受け止める

タレをつけすぎないように心がけても、お肉を口に運ぶ際にどうしてもタレや脂がしたたり、落ちそうになることもあるでしょう。その場合、箸を持たないほうの手を添えて受け止めようとする“手皿”は、NGマナーとされています。手皿ではなく、タレ皿や小皿を片手に持って、いただきましょう。

■7:汚れたテーブルをおしぼりで拭く

おしぼりでテーブルを拭く

どんなにお上品にいただいたとしても、焼肉では脂やタレの汚れがつきもの。でも、テーブルが汚れたからといって、おしぼりで拭くのはNGです。

おしぼりはあくまで手指を清めるものであって、布巾ではありません。また、本来の目的以外で用いておしぼりを汚すと、再利用ができなくなったり、お店の人にシミ抜きの手間を煩わせたりして、迷惑になってしまうこともあります。テーブルの汚れが気になる場合は、お店の人に頼んで、台拭きを持ってきてもらいましょう。

焼肉店においては、美しく食べることもさることながら、ひとつの鉄板・網を共有する人たちとのコミュニケーションが何よりも重要なようです。品格ある大人の女性たるもの、極上のお肉ばかりに目を奪われて、周囲への心配りを忘れる……なんて失態は犯さないよう、くれぐれも注意したいものですよね。

諏内えみさん
マナースクール ライビウム代表
(すない えみ)結果を出すスクールとして、日本全国はもとより海外から通う受講生も多く、その指導には定評がある。婚活やビジネス向けのプライベートレッスンをはじめ、フランス料理、和食、アフタヌーンティー、立食パーティの「テーブルマナー講座」や、「ハッとさせる 美しい立ち居振る舞い」「また会いたいと思わせる 会話力アップ」の講座は毎回キャンセル待ちとなる人気。映画やドラマでの女優のエレガント所作や男優のスマート所作指導でも活躍中。また、「ホンマでっか!?TV」「あさイチ」「中居正広の 身になる図書館」などメディア出演も多く、各界から注目を集めている。有名小学校や名門幼稚園への高合格率を誇る「親子・お受験作法教室」の代表でもある。『世界一美しい 振る舞いとマナー』(高橋書店)、『オトナ女子のための 美しい食べ方マナー』(三笠書房)他著書多数。
『オトナ女子のための美しい食べ方マナー』諏内えみ・著 三笠書房刊 

レストランでのNGマナー

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美