思い切り泣くなら、このドラマ&映画の名シーンを見逃すな!|ドラマ&映画好きの賢者が「涙のスイッチ」を熱血プレゼンします

小説家、アナウンサー、産婦人科医に経済学者など、さまざまなフィールドで活躍する著名人たちが、数あるドラマや映画のなかから一作品を厳選し、自分にとっての「涙のスイッチ」を熱く語ります! 

夫婦の絆、余命わずかな男の人生、不条理な社会に抗う人たち、最愛の人との別れ…。ひと言では言い表せない、複雑な大人ならではといった泣きのツボが満載です。

武田砂鉄さん
フリーライター
(たけだ さてつ)大学卒業後、出版社で主に時事問題・ノンフィクション本の編集に携わり、’14年秋よりフリーへ。インタビュー・書籍構成なども手がける。最新刊『父ではありませんが 第三者として考える』が発売中。「“釣りバカ”も好きで、『釣りバカ日誌20 ファイナル』でも号泣」

フリーライター・武田砂鉄さんの “涙のスイッチ”|映画『あの頃 ペニー・レインと』

映画『あの頃 ペニー・レインと』イラスト
 

主人公の仕事に対する純真さに触れ観返すたびに涙がこみ上げる映画

「日本公開は’01年3月。翌月から大学生になるタイミングでした。僕自身、高校時代から音楽ライターになりたいと思っていて、音楽雑誌のトップライターに成長する少年、ウィリアム・ミラーの姿を見ながら、こういう仕事がしたいと、改めて強く思うようになりました。以降、音楽雑誌への投稿を始め、ある雑誌で小さな連載コーナーをもたせてもらうこととなるのですが、この映画を観たことが今の仕事につながっています。

勢いのあるバンドのツアーに帯同するウィリアムが、音楽ビジネスやバンド内部の葛藤、色恋沙汰にも巻き込まれるのですが、終盤で、それでも音楽ライターとしての仕事をまっとうしようと、バンドのギタリストに対し、睨みつけるようにマイクを向けるシーンがあります。最初は舐められていた彼も、いつの間にか、彼になら話そう、という存在に。この純真さこそが、僕にとっての涙のスイッチで、何度観ても、こみ上げてくるものがあります。ライターとして独立した今でも、文章を書いて届けようとする情熱を感じ取るために繰り返し鑑賞。この作品に満ちている音楽への愛情と、書くことの熱意を前に心を動かされます」

【STORY】

映画『あの頃 ペニー・レインと』
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厳格な母に育てられたウィリアムは、地元誌に書いた記事がプロの目に留まりライターへ。ブレイク寸前のバンドに同行取材するが…。キャメロン・クロウ監督の実話がベース。’00年、公開。/「U-NEXT」ほかで配信中

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ILLUSTRATION :
北住ユキ
EDIT&WRITING :
正木 爽・宮田典子・剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)