思い切り泣くなら、このドラマ&映画の名シーンを見逃すな!|ドラマ&映画好きの賢者が「涙のスイッチ」を熱血プレゼンします
小説家、アナウンサー、産婦人科医に経済学者など、さまざまなフィールドで活躍する著名人たちが、数あるドラマや映画のなかから一作品を厳選し、自分にとっての「涙のスイッチ」を熱く語ります!
夫婦の絆、余命わずかな男の人生、不条理な社会に抗う人たち、最愛の人との別れ…。ひと言では言い表せない、複雑な大人ならではといった泣きのツボが満載です。
小説家・井上荒野さんの “涙のスイッチ”|アメリカの超人気テレビドラマ『ブレイキング・バッド』

ひとりの冴えない男が選んだ悪の道―その人生と死のありようにぐっとくる
「シーズン1から5まで続く大長編。最後の最後に、号泣シーンは訪れます。高い能力をもちながらも運に恵まれず、田舎町の高校で化学の教師をしている冴えない男、ウォルターは、ガンで余命宣告を受けたことをきっかけに、家族にお金を残そうと、麻薬の精製を始めます。『家族のため』と理由をつけながらどんどん悪の道へと突き進むウォルター。そして、行き着いた果てに彼が言った独白―これがもう本当に泣ける! うんうんそうだよね、だから幸せだったんだよね、と。思わず『ウォルター!』ってなりました(笑)。
人はつねに何かになりたいと願いながら生きている。それをウォルターは、ああいう形で叶えたんだな、と思うと、ぐっときてしまうんですよね。万人に共感をもってもらえる人物像ではないけれど、小説でこの世の善や正義を訴えようなんてまったく思っていない私は、この真っ黒でも、真っ白でもない、黒も白もある人間たちに惹かれます。脇役のひとりひとりまで隙のない人物造形も素晴らしく、海外ドラマにありがちな『あの話どうなったの?』みたいな強引な展開も一切なし。脚本家に弟子入りしたいくらいよくできていて、シーズン1からもう1周したほど。スピンオフの『ベター・コール・ソウル』も大傑作ですのでぜひ!」
【STORY】

’08年から’13年まで続いたアメリカの超人気テレビドラマシリーズ。末期ガンの化学教師が麻薬をつくり始め…。/デジタル配信中。

※掲載商品の価格は、税込みです。
関連記事
- フリーアナウンサー・堀井美香さん熱血プレゼン! 映画『グリーンブック』
- 歌人・木下龍也さんが号泣した名作を熱血プレゼン!映画『ぐるりのこと。』
- GWにおススメ!テレビ評論家・吉田 潮さんに聞いた【こよなく愛する号泣ドラマ】大人がハマる「涙のスイッチ」を分析!
- ILLUSTRATION :
- 北住ユキ
- EDIT&WRITING :
- 正木 爽・宮田典子・剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)