新商品や新しいサービスを発表したり、ウェブサイトやアプリケーションを公開することを「ローンチ」という言葉で表現します。比較的新しいビジネス用語ですが、その語源は船の進水にありました。今回はこの「ローンチ」について解説します。
【目次】
【「ローンチ」を正しく理解するための基礎知識】
■ビジネス用語としての意味
「ローンチ」は、『現代用語の基礎知識』に「新商品・新サービスの発売。立ち上げ。開始」とあります。『デジタル大辞泉』でも調べてみると、「立ち上げること。参入すること。始めること。特に、新しい商品などを売り出すこと」と。新しい商品やサービスの発売や開始だけでなく、広告展開したり公式ウェブサイトを立ち上げ、知名度を上げて利用者を増やすための戦略をすることも「ローンチする」と言います。例えば「6月に新製品をローンチする」と言えば「発売」の意味で、「リニューアルしたウェブサイトは6月1日ローンチだ」なら「公開」という意味になります。
■誰が使い始めた?
ビジネスシーンで「ローンチ」が頻繁に登場するようになったのは、IT業界での使用がきっかけのようです。「新しいサービスやアプリ、ウェブサイトを公開する」という意味で使われ出しました。金融業界は少々特別で、「有権証券の発行を市場に発表すること」に限定して使われています。
【そもそも「ローンチ」って何語?「語源は船」?】
日本ではビジネス用語として認識されつつありますが、もとは〔launch〕という英単語。発音をカタカナで表わすと、「ローンチ」ではなく「ランチ」のほうが近いですね。名詞としての〔launch〕には大きく分けて3つの意味があります。
(1)船の進水(建造ドックなどで製造した船を水に浮かべること)や、飛行機の発進、ロケットの発射、衛星の打ち上げ。
(2)新事業の開始、新製品の売り出し。
(3)人を職業や進路につかせること。
いずれも何かを始めたり、初めて行うことを表すので、比較的ストレートな意味のビジネス用語と言えそうです。「語源は船」と言われるのは(1)の意味があるからです。
【「ローンチ」の意味がよく理解できる「例文」5選】
■1:「ローンチの日程は変更できないから、しっかり頼むよ」
■2:「一般発表前に限定された媒体にだけローンチするのは、もはやプロモーションの常套手段と言える」
■3:「A社の新サービスローンチに合わせて、競合社にも動きがあるはずだ」
■4:「ローンチから3年、そろそろブラッシュアップ版が出ると噂されている」
■5:「新製品の発売を待ちわびたユーザーが、ローンチ前日から徹夜で並んでいる」
【日本語にすると?「言い換え」「類語」「関連用語」「対義語」】
「ローンチ」はIT業界から一般化したビジネス用語なので、業界によってはピンとこないかもしれません。誰にでもわかりやすく日本語で言い換えたり、類語なども見てみましょう。
■言い換え表現
・発売する ・発表する ・公表する ・公開する
■類語
・リリース: 楽曲の音源やアプリケーションソフトなどを発売すること。情報や記事などを発表すること。報道発表のことを「プレス・リリース」と言いますが、これを縮めて「リリース」とも。資料の意味で「リリース」を使うこともあります。
・キックオフ:事業や行事などを開始すること。
・カットオーバー:新たに導入したコンピューターシステムや通信システムが稼働し始めること。また、ウェブサイトが新規に公開されること。「サービスイン」も同様の意味で使われます。
■関連用語
・ソフトローンチ:新製品や新サービスの販売に先駆けて、限定地域や限定対象にのみ試験的に公開すること。問題点の洗い出しや修正が目的です。
・ローンチタイトル:携帯型ゲーム機や家庭用ゲーム機などを新たに発売する際に、同時に発売されるゲームソフトのこと。新製品の性能を十分に生かせるものが選ばれます。同義語に「ローンチソフト」が。
・ローンチカスタマー:航空機メーカーが開発を計画している新型航空機の、最初の顧客や発注者のこと。
■対義語
・クローズ ・非公開 ・廃止
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新商品や新しいサービスに関する資料や広告などでも目にする「ローンチ」という言葉。言葉、特にビジネス用語は、ある業界から派生して一般化するまでの時間が短くなってきたように感じませんか? 言葉は変化・進化していくものです。語彙力アップにこの連載を役立ててくださいね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『ビジネス用語図鑑』(WAVE出版)/『知っているようで知らない ビジネス用語辞典』(水王舎)/『現代ビジネス用語事典』(日本文芸社)/『いまさら聞けない ビジネス用語BOOK』(成美堂出版)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :