「僻み」の読み方はわからなくても、「僻みっぽい」なら見当がつくのでは? 「あの人って、僻みっぽいよね」という言葉の裏には、眉をひそめたくなるような、ネガティブな感情が潜んでいます。今回は「僻み」という言葉がもつ意味やニュアンス、「妬み」との違いなどを解説します。

【目次】

「妬み」をさらに屈折させた感情です。
「妬み」をさらに屈折させた感情です。

【「僻み」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

少々難しい読み方ですね。「僻み」は「ひがみ」と読みますよ。

■意味

「僻み」は「ひねくれた考えや気持ち」という意味の言葉です。物事を素直に捉えることができず、自ら疑いのフィルターをかけて、相手や状況を曲解しがちな性格を示します。

漢字の「僻」には、「偏(かたよ)る」や「辺鄙(へんぴ)な土地。片田舎」、「邪(よこし)ま」、「卑(いや)しい」といった意味があり、「へき」とも読みます。辺鄙(へんぴ)な土地という意味の「僻地」や悪い君主を意味する「僻王」など、ポジティブな意味ではほとんど使われません。いつも僻んでばかりいることを「僻み癖」、僻みっぽい性格を「僻み根性」と言いますよ。


【「妬み」や「嫉妬」と、どう違う?】

「僻み」と似た印象の言葉に「妬(ねた)み」があります。どう違うのか、説明できますか?

■「妬み」との違い

「僻み」と「妬み」は、どちらも「相手の長所や幸福などを素直に認められず、相手を悪く思ったり憎んだりする気持ち」です。違いは、「妬み」が「自分より優れた(恵まれた)相手が羨ましく、憎らしく思う気持ち」であるのに対し、「僻み」は、相手に対する「妬み」が土台となり、自分が不当に扱われていると思い込み、その結果、すねたり、ひねくれたり、素直でなくなったりすることを言います。つまり、「僻み」とは「妬み」がさらに屈折した感情であり、こじらせた状態であると言えるかもしれません。

■「嫉妬(しっと)」との違い」

「嫉妬」は「妬み」とほぼ同義ですが、特に恋愛・夫婦・友人関係などにおいて「自分の愛する者の心がほかに向くのを、恨み憎むこと」の意味で多く使われます。


【「類語」「言い換え」表現】

■妬み

■嫉妬

■そねみ

「そねみ」は「嫉み」と書き、「妬(ねた)み」とほぼ同義です。「そねみ」が独立して使われることは少なく、「妬み嫉み(ねたみそねみ)」の形で使われることがほとんどです。「妬み嫉み」の漢字は「嫉妬」と同じですね。

■やっかみ

「やっかむ」という動詞は、もともと関東地方の方言です。他人のことを妬む、あるいはそねむという意味で使われます。


【「使い方」がわかる「例文」3選】

■1:「内向的で自分の思ったことを素直に言葉にできない人のなかには、僻みっぽくなる傾向が強い人がいるように感じる」

■2:「僻みっぽい人と付き合っていると、気を遣うばかりで疲れてしまう」

■3:「SNSなど、匿名性の高いネットの世界は、僻みや妬みが誹謗中傷をエスカレートさせ、炎上しやすい環境だ」


【「僻みっぽい人」」との付き合い方は?】

■まずは「僻みっぽい人」の「特徴」を知る!

・自意識過剰

・自己愛が強い

・劣等感が強い

・自分と人を比較しがち

・よく言えば「繊細」な性格

■なぜ人は僻みっぽくなる?「原因」は?

・プライドが高い反面、自己評価が低い

・理想が高い

・ストレス解消が下手

・物事のネガティブな面ばかりに目が行ってしまう

■「僻みっぽい人」への「対処法」は?

・自分のことはできるだけ話さない

・距離を取る

・不自然にならない程度に、その人を褒める

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「僻み」の根底には「妬み」、つまり人を羨み、憎む気持ちが隠れています。「僻まれる」のは面倒ですが、自分が「僻む」立場になってしまったら…。「僻みっぽい人」と仲良くしたいと思う人はいませんよね。「僻み」の感情を抱くことで、仕事の成功も恋愛の成就も遠ざかってしまいます。人生は「勝ち負け」ではありません。「僻み」の感情に囚われてしまったときは、ひと呼吸おいて「私は私」と呟いてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) :