【目次】
青葉台ってどこにあるの?「場所」
アパレルショップなどが並ぶ代官山の旧山手通りと、桜並木がきれいな目黒川の近くの山手通りの間、西側急斜面に広がる住宅地が東京都目黒区の「青葉台」です。目黒川を挟んで青葉台の反対側には「諏訪山」という高台がありますが、どちらもトップクラスの高級住宅街として有名。売りに出される物件も少なく、希少性が高いといわれています。
旧山手通りと駒沢通りがぶつかる代官山の鎗ヶ崎交差点近くにあるのが「目切坂」という細い坂道です。この坂の北西側から山手通りの松見坂交差点辺りまでが青葉台。エリアの南側には目黒川が流れています。
松見坂交差点の近くには「大坂」という、その名の通り大きな坂道があります。山手通りと「大坂」のある玉川通り(国道246号)が交差するところには「大坂橋」があり、「大坂」の真上には首都高速が、地下には東急田園都市線が通ります。現在はなだらかな坂道ですが、江戸時代は急坂だったそうで、江戸と相模国厚木を結ぶ「厚木街道」のいちばんの難所でした。
青葉台の「最寄り駅」
青葉台の基本の最寄り駅とされるのは東急東横線の「中目黒駅」と「代官山駅」です。青葉台3〜4丁目のエリアなら、京王井の頭線の「神泉駅」や東急田園都市線の「池尻大橋駅」も利用できます。どの駅も「渋谷駅」から1〜2駅程度。その巨大ターミナルの「渋谷駅」は100年に一度といわれる再開発の真っ最中。完成するのは現段階では2027年度といわれています。それに伴い、周辺エリアもさらなる進化がありそうです。
青葉台の「地図」
青葉台の「歴史」と「由来」
江戸時代、富士山を崇拝対象とした民間信仰が広まり、「富士講」という団体がいくつもつくられました。この団体は、富士山を登るほかに、身近なところに富士山を模した富士塚を築きます。そして山頂に「浅間神社」を祀って登拝しました。青葉台にも文化9(1812)年に築かれた12メートルほどの富士塚「目黒元富士」があったそうです。「目黒元富士」は、上の錦絵のように歌川広重の「名所江戸百景」にも描かれるほどの有名スポットでした。
山開きの際には、この辺りにたくさんの出店が軒を連ねて賑わいました。そして高い台地につくられたこの富士塚からは、実際の富士山も綺麗に見えたといいます。
「目黒元富士」があった場所は、現在の「目切坂」を上った辺りです。「目切坂」は、中目黒駅の近く、上目黒1丁目辺りから代官山の方向へと上っていく急な坂道。現在は坂上に写真左のような大きなマンションが建っていて富士山は望めません。「目切坂」は鎌倉時代につくられた鎌倉街道にあり、当時はたくさんの人が行き交っていました。この坂は林の中を通っていたので「くらやみ坂」とも呼ばれていたよう。今でも深々とした緑は残っていますが、きれいに整備されていて歩きやすくなっています。坂下には「東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス」があり、構内に人気のカフェ「ディーン&デルーカ」が入っています。
同じく江戸時代、青葉台2丁目周辺の傾斜地には豊後国岡藩(現在の大分県竹田市)藩主中川家の抱屋敷がありました。滝や池のある回遊式の大名庭園として有名だったそうです。その後、明治7年に西郷隆盛の弟で政治家・軍人であった西郷従道がこの場所を購入します。そのことから、この周辺は西郷山と呼ばれるようになりました。
青葉台の「由来」
青葉台という地名は、昭和39年から昭和43年にかけて行われた住居表示が実施された際に生まれた新しい地名です。この地名は、周辺に樹木が多いことから付けられたそう。春になると地域一帯が青味がかるたため、そのように命名されました。名前の通りで今でも緑が多く、都会にいることを忘れて心地よく過ごすことができるエリアです。
青葉台の3つの「魅力」
■1:エリア内にとても大きな公園がふたつあります
現在は、青葉台2丁目の多くの面積を隣り合った「西郷山公園」と「菅刈公園」のふたつの公園が占めています。この土地は、前出の西郷従道が明治7年に購入した広大な土地の一部です。それぞれをご紹介しましょう。
■菅刈(すげかり)公園
西郷従道は、敷地内に木造2階建ての洋館や書院造りの和館を建設しました。もともと中川家の屋敷だったころからあった庭園も大改造をして、「東都一の名園」といわれる見事な庭園に造り変えます。この庭園には、明治天皇を初め多くの名士が訪れたそうです。この西郷家の洋館や和館、そして庭園があった場所が現在の「菅刈公園」です。
戦後、この場所は旧国鉄の職員宿舎などになっていました。平成9年に行われた目黒区の調査で近代造園史上貴重な石組みなどの遺構が良好な状態で埋もれていることがわかり、公園として整備されることに。池や滝なども復元され、平成13(2001)年に「菅刈公園」として開園します。西郷家の庭園時代からある大きいな樹木も複数残っていて、とても気持ちのよい場所です。
■西郷山公園
西郷邸だった敷地の北東部分にあたり、台地の急な斜面を利用してつくられている公園が「西郷山公園」です。中目黒方面から入ると、涼やかな人工の滝を見ることができます。公園内には、展望台や芝生広場が設けられていて木々の生い茂る公園です。公園名も「西郷山」というこの土地の通称から付けられました。開園は菅刈公園より古く、昭和56(1981)年のこと。
■2:中目黒と代官山に挟まれています
中目黒駅から青葉台側の目黒川沿いは、話題のカフェやレストラン、雑貨店やアパレルショップなどが立ち並んでいていつもたくさんの人で賑わっています。桜並木が美しい目黒川沿いは、犬の散歩やランニングを楽しむにも最適な場所です。
都内の桜の名所としてとても有名な目黒川の桜並木は、昭和2(1927)年に行われた護岸工事の際、街の風景を後世に残すために地元の有志が川の両岸に桜を植えたことが始まりなのだとか。それからずっと目黒川の桜並木は春になると美しい花を咲かせ、多くの人に愛され続けています。
青葉台の坂道を上っていくと、そこは代官山。旧山手通り沿いにある「代官山T-SITE」は蔦屋書店を中心にレストランなども入った複合施設で、のんびりと時間を過ごすには最適な場所です。そのほか、この通り沿いにはアパレルショップやレストラン、カフェ、ギャラリーなどが連なる複合施設「ヒルサイドテラス」があります。
坂を上ると代官山が、下ると中目黒が。どちら側にもレベルの高いお店が立ち並んでいます。この環境に身を置けば、生活も彩り豊かになることは間違いなさそうです。
■3:坂道が多いエリアでとても静かな場所です
人々が行き交う賑やかな中目黒と代官山に挟まれているエリアですが、急斜面がゆえに人通りも少なめ。とても静かな住環境が整う場所です。「上村坂」という坂の途中には「美空ひばり記念館」があります。ここに、歌手の美空ひばりさんが暮らしていたそうです。青葉台の坂上辺りは高さ制限のある第一種低層住宅専用地域となっていて周辺には高い建物がなく、とても日当たりも眺めもよいエリアです。
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目黒区青葉台は代官山と中目黒に挟まれた好立地です。公園も近くにあり、静かな住環境が整いながらも、これだけ利便性の高い高級住宅街はなかなか珍しい。愛犬と一緒に散歩をしながら、春には目黒川の桜を愛で、代官山でショッピングを楽しみ、ときには目黒川沿いのおしゃれなカフェでのんびり過ごす…。そんな華やかで楽しい暮らしができそうです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- AC,柳堀栄子
- WRITING :
- 柳堀栄子