【目次】

「駆け引き」とは?「読み方」と「意味」】

■読み方

「駆け引き」は「かけひき」と読みます。

■意味

「駆け引き」とは、商売や交渉・会議などで、相手の出方や状況に応じて自分に有利になるよう処置すること。

■使い方

「駆け引き」は名詞で「駆け引きする(しない)」「駆け引きがうまい(へた)」などと使います。

■語源

「駆」という漢字は「馬を疾走させること」を示し、「攻撃すること、合戦を仕掛けること」という意味があります。そこから戦場で進むことを「駆(かけ)」、退くことを「引(ひき)」と言い、戦場で臨機応変に兵士を進退させることから「駆け引き」という言葉が生まれました。

また、一般的には「駆け引き」ですが、「賭け引き」と表記することもあります。


ビジネスシーンで使われる「駆け引き」がわかる例文

ビジネスパーソンにとって仕事の現場はまさに戦場。「駆け引き」はどう行われているのか、例文で見ておきましょう。

■1:「国際会議では、特定の国だけでなく、諸外国とのバランスのいい駆け引きが重要だ」

■2:「下手な駆け引きで相手の心象を害すれば、継続的なビジネスは一気に難しくなる」

■3:「取り引き先との駆け引きに自信がないので、現場でサポートしていただけると助かります」

■4:「利益を確保した金額で交渉できなければ駆け引き上手とは言えない」


失敗しがちな「恋愛」の駆け引き】

「駆け引き」はビジネスで使うだけのものではありません。たとえば「恋愛の駆け引き」は、身に覚えがある人も多いのでは? 相手の気を引くためや自分をよりよく見せるために、恋愛に持ち込みたい場合や、お付き合いの初期段階で効果的に駆け引きしたいものですね。

恋愛リアルバラエティ番組などでは“恋に駆け引きはつきもの”ですが、使い方を間違えると逆効果にもなりかねません。相手やその周囲の人に不快感を与えてしまうこともあるでしょう。恋愛において駆け引きする場合は、相手の性格や置かれている状況などを理解・考慮して慎重にすることが大切なのです。

失敗しがちな「恋愛の駆け引き」について挙げてみましょう。

■失敗しがちな「恋愛の駆け引き」

・遠まわしな態度:「このくらいわかってくれるはず…」は、夫婦間や恋人間でも誤解の元。距離を縮めたくて駆け引きしたはずが、意図が伝わりにくいので結果的に遠ざけてしまうことがあります。

・押したり引いたりを繰り返す:積極的に押しても良い反応がない場合、すぐに引くのが恋愛の駆け引きだと思っていませんか? 引くタイミングが遅すぎる(押し続ける)と「しつこい」と思われることもありますが、相手に考える時間を与えるべき。また、押したり引いたりを繰り返すのもNG! 本気ではないと受け取られる可能性もあります。相手はあなたが思っている以上にのんびり屋さんだったり、慎重だったりするのかもしれませんよ。

・過剰な駆け引き:駆け引きに慣れていない人が過剰に駆け引きをしてしまうと、相手に「遊ばれているのかな」と感じさせてしまう可能性も。

■「恋愛の駆け引き」を成功させるには?

まずは相手を知ることです。可能なら周辺取材をして、相手の性格や置かれている状況を把握したいところ。そのうえで相手の立場になってアプローチするのが王道です。 反応が早いのか遅いのか、あなたに興味がありそうなのかどうか、少し時間をかけて判断してみてください。ほんとうは「シンプル」「ストレート」「自然体」なアプローチで、ありのままの自分を理解して、好意をもってもらえるのがいちばん。なので、「恋愛の駆け引きはきっかけづくり」くらいのつもりがよさそうです。


「類語」「言い換え」表現】

ビジネスで使える「駆け引き」と似た言葉、言い換え可能な言葉をご紹介します。

・交渉(こうしょう):特定の問題について相手と話し合うこと。「買い上げ条件についての交渉がまとまった」

・折衝(せっしょう):利害関係が一致しない相手と問題を解決するために駆け引きすること。「労使間で折衝する」

・戦略(せんりゃく):ある目的を達成するために大局的にコトを運ぶ方策。特に政治闘争や企業競争などの長期的な策略を言います。「長期的かつ綿密な戦略が功を奏した」

・取引(とりひき):互いに自分の利益になると思われる物品・行為・情報などを交換すること。商業またはそのほかの営利に関する経済行為をすること。「金額を割引く代わりに5年契約を結んでもらう取引がまとまった」

・掛け合う(かけあう):要求・要望などをもって相談に行くこと。談判や交渉すること。「制作費用と納品期日を掛け合う」


「対義語」は?

相手となんらかの接触の上で成り立つ「駆け引き」の対義語として挙げられるのは「実力行使」です。『日本国語大辞典』によると、「実力行使」は「目的達成のために武力など実際の行動をもってする手段に訴える」こと、「労働運動などで。法によって禁止されている手段に訴えて行う軍事行為」です。武力ではないにしても、話し合いや相談、交渉という過程なく突破するイメージですね。「駆け引き」よりぐっと強引さを感じます。

また、「正攻法」「正面から」「直球」「率直」など言葉も「駆け引き」の対義語として使用可能です。


「英語」で言うと?

「駆け引き」を英語でいうと、ビジネスで使うなら売買や交渉という意味の[negotiation]がベター。戦略的な意味を強めに出すなら[bargain]も使えます。また、外交的な交渉(駆け引き)には[diplomacy]を。

・He is skilled at negotiating.(彼は駆け引きがうまい)

・Sometimes business needs a bargain.(ときにビジネスにも駆け引きが必要だ)

・We need peaceful diplomacy.(私たちには平和的外交が求められている)

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「駆け引き」とは、状況に応じて自分に有利になるようにはたらきかけること。「彼は駆け引きがうまい」とか、「駆け引きの手間なく成立した」などと使う、ビジネス上でも重要な言葉。「駆け引き」という行為はビジネスにおける重要なスキルですが、どんなことにも得手不得手があります。駆け引きが得意でない人は、ほかのことで頑張ればいいのです!

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :