【目次】

【「参事」とは?「読み方」と「意味」】

「読み方」

「参事」は「さんじ」と読みます。

■「意味」

「参事」はもともと、国会や地方の公共団体などで働く公務員が就く役職名のひとつでした。現在では民間企業や団体で、特定分野に特化した事務や業務を担う人や、その役職についても広く意味するようになっています。ただし、「部長」や「課長」などと同様に“肩書”として使われるほか、役職名として使われる場合もありと、組織によって扱い方には違いがあります。

■「参事」が定着した背景は

1980年代以降、役職定年制の導入に伴い、多くの公務員が定年を前に現役から離れました。その際、豊富な経験と専門知識をもった人材が民間企業にも参入し、結果的に「参事」という役職が民間企業でも採用されるようになってきたのです。企業にとっては、こうした役職を導入することで、高度な知識と経験を必要とするプロジェクトを円滑に進めることができるという、メリットがあります。

■「参事」の仕事は?

「参事」は、特定分野に関する知識や経験にもとづいた助言をしたり、人脈を利用した資料の作成や取引先との調整を担ったりします。一般的には組織におけるアドバイザー的な立ち位置として活躍するケースが多いようです。

国会においては、「参事」は国会議員の補佐としての役割を担います。地方公共団体などの公的機関では、部長や課長と同等の扱いを受けるのが一般的です。部下をもたず、部や局などに所属して業務に関わるのが基本で、職能レベルの肩書きとして「参事」を用いる都道府県もあります。

【どのくらい偉い?「位置」「順位」は?】

■「役職の位置」

「参事」を理解するために、まずは民間企業におけるオーソドックスな組織図をご紹介しましょう。一般的な序列は下記の通り。

・代表取締役社長
・専務取締役
・常務取締役
・本部長(事業部長)
・部長
・次長
・課長
・係長
・主任
・一般社員

■「課長」と「参事」どちらが上?

「参事」の役職としての位置は管理職、つまり部長や課長と同等か、それに近い職位と見なされることが多いようです。ただし、権限・決定権・責任の範囲は組織によって異なり、あくまでアドバイザー的なポジションを担うことも多いようです。


【使い方がわかる「例文」】

■1:「〇〇部長もいよいよ役職定年か…。次の人事異動では参事になるらしい」

■2:「参事は通常、部長や課長と同等かそれに近い役職にあり、特に経験豊富なベテラン社員が就くことが多いようだ」

■3:「部長や課長のような権限はなくても、経験とスキルと人脈が豊富な○○参事の有能ぶりは称賛に値する」


【「英語」にすると?】

評議員や顧問官、参事官などを表す英語は[councilor]あるいは[counselor]です。「大使館参事官」で[a councilor(counselor of an embassy)]となります。

この[councilor/counselor]という英単語は、日本語でカウンセラーのことですね。日本の組織の中で「参事」は相談役やアドバイザー的な役割を担うので、英語では[councilor/counselor]になる、と考えると覚えやすいのではないでしょうか。

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役職定年制が採用されている企業では、どれほど有能な人材であっても、時期がくれば役職が解かれます。しかし、彼らのスキルや人脈は組織にとって財産のひとつ。そんな人に与えられる新たな役割が「参事」なのです。ちなみに、役職付きの人との会話や、メールなどを送る際の呼びかけに、ちょっと戸惑うことがありますよね。「参事の○○さん(さま)」や「○○参事」が正しく、書面やメールの書き出しなら「参事 ○○さま」が適切です。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』(永岡書店)/ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :