「参事とは、ある分野に特化した事務や業務を担う人のこと。役職名でもあります。会社や団体など、組織のなかでは役職があり、それぞれ担う役割や責任がありますね。「参事」がいる組織もいない組織もありますが、一体どんな立場の人? 簡単に説明していきましょう。

【目次】

「参事」の立場は部長クラス?
「参事」の立場は部長クラス?

【「参事」とは?「読み方」など基礎知識】

■読み方

「さんじ」と読みます。

■どういう人?

「参事」とは、「部長」や「課長」などと同様の“役職名”、あるいは職能資格を示す“肩書”です。「参事」の「参」という字には「 加わること」という意味があり、「参事」は事務や業務などに参加することを示しますが、企業や組合などでは「ある特定の事務や業務に関わる人」のことを「参事」と呼びます。

本来は、国会や地方の公共団体などで働く公務員が就く役職名のひとつでしたが、現在では民間企業や団体にも普及しています。ある年齢(定年まであと数年となる50代後半が多い)になったら役職から退くという“役職定年制”が広まったのは1980年代ですが、「参事」はそれにともない一般化したポストです。

どんな組織もポストの数は限られていて、年齢や勤続年数が長ければだれもが就けるわけではありません。また、“役職定年制”が採用されていれば、どんなに有能な人材であっても時期が来れば役職は解かれます。しかし彼らのスキルや人脈は組織にとって財産のひとつ。そんな人に与えられる新たな役割が「参事」なのです。

■「参事官」とは?

新聞やテレビ、ネットニュースなどで見聞きすることがある「参事官」は、「内閣官房、内閣法制局、人事院、会計検査院をはじめとする各省・各庁で、その部局の事務に参画し、または総合調整を必要とする重要事項を総括整理する職員」です。ざっくりいえば、「省庁でさまざまな調整をする事務職員」ということになるでしょうか。


【「役職の位置」や「役割」は?「課長」とどっちがエラい?】

年功序列より成果主義を重んじる企業も増えてきましたが、「参事」を理解するために少々“昭和的な組織図”で説明しましょう。企業内での序列は下記が一般的ですね。

・代表取締役社長

・専務取締役

・常務取締役

・部長

・次長

・課長

・係長

・一般社員

「一般社員」と「係長」の間に「主任」、「部長」と「常務取締役」の間に「本部長(事業部長)などが用意されている場合もあります。「参事」の役職としての位置は企業や組織によりますが、管理職、つまり部長や課長と同じくらいの立場だけれど権限・決定権はなく、アドバイザー的な役割を担うことが多いようです。


【「参事」の意味や使い方がわかる「例文」3選】

■1:「次の人事異動で○○部長は参事になるらしいよ」

■2:「○○部長に助けられてここまできましたので、今後も参事としてかかわってくださるとのこと、みな喜んでいます」

■3:「部長や課長のように権限はなくても、経験とスキルと人脈が豊富な○○参事の有能ぶりは称賛に値する」

役職付きの人を「部長さん」など表すことはありませんか? 「部長」も「参事」も「社長」であっても、敬語の重複となるのでこれは誤用です。「部長の○○さん(様)」や「○○部長」が正しく、書面やメールの書き出しなら「部長 ○○様」でもいいでしょう。


【外国で「参事」というポストはある?「英語」にすると?】

評議員や顧問官、参事官などを表す英語は[councilor]あるいは[counselor]です。「大使館参事官」で[a councilor(counselor of an embassy]となります。

この[councilor/counselor]という英単語、日本語でのカウンセラーのことですね。日本の組織の中で「参事」は相談役やアドバイザー的な役割を担うので、英語では[councilor/counselor]であると、覚えやすいのではないでしょうか。

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役職付きの人との会話や、メールなどを送る際の呼びかけに、ちょっと戸惑うことがありますよね。出世魚のごとく役職が上がっていくだけなら問題ありませんが、降格人事という場合も…。「先週まで○○課長って呼んでいたのに係長に降格になって困った」ということがないよう、常に「○○さん」と姓で呼ぶようにする、という手もあります。ちなみに「部長」から「参事」へは降格ではありません。

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