「けったい」という言葉を聞いたことがありますか。関西の方言として知られており、「奇妙な」「おかしな」「怪しい」といった意味をもちますが、そのニュアンスまで感じとるのは、なかなか難しいですね。今回は「けったい」の意味や由来、「けったいな人」の特徴について解説します。

【目次】

「奇妙な」「おかしな」「怪しい」といった意味をもちます。
「奇妙な」「おかしな」「怪しい」といった意味をもちます。

【関西の方言「けったい」の意味や語源など「基礎知識」】

■意味は?

「けったい」は主に京都や大阪、兵庫を中心に関西地方で用いられ、「奇妙なさま」「おかしなさま」「怪しいさま」を表す言葉です。また、歌舞伎の世界では、「けったいが悪い」のかたちで、「気分が悪い」「不愉快だ」といった意味で使われています。

■語源は?説はふたつ!

「けったい」の語源は、「世にも稀(まれ)なこと」「不思議であること」「非常に変わっていること」といった意味をもつ「希代(きたい)」。これが音変化して、「奇妙なさま」「不思議であるさま」という意味の「けたい」に。さらに「けたい」が促音便化して、「けったい」になったと言われています。おさらいになりますが、促音便化とは、言葉を発音しやすくするために、語中の音が促音「っ」に変わる現象です。

「希代」ではなく「卦体(けたい)」が促音便化したという説もあります。「卦体」は「占いの結果」を表し、転じて「縁起」の意味をもちます。そして、「希代」と同じく「不思議」や「奇妙」も表します。「けったい」を漢字で書くと「卦体」なので、この説も捨て置けませんね。

■漢字で書くと?

「けったい」の漢字表記は「卦体」のほかには、「怪態」「怪体」もあります。ただし、こちらは当て字。仮名表記が一般的で、「卦体」そのものも、使用頻度は多くないでしょう。


【「けったいな人」の「特徴」は?】

では、「けったいな人」とはどんな人のことを言うのでしょう。「けったい」という言葉自体のニュアンスを踏まえて、いくつか特徴を挙げてみましょう。ちなみに「けったいな人」には、どちらかといえば悪口のようなニュアンスも含まれています。とはいえ「けったいな人」と言う言葉に必ずしも非難の気持ちが込められているかといえば、そうとも言えず…。関西には「変な人ね〜」と言われたとき、腹が立ったり傷ついたりするよりも「凡人にはない魅力がある人」「突き抜けている人」「尖っている人」と捉えて喜ぶような風潮が、関東よりも強くあるようです。

■人と同じことをするのを好まない

■同調圧力に屈しない

■超マイペース

■場の空気を読ま(め)ない

■風変わり

■見るからに怪しい


【「使い方」がわかる「例文」5選】

■1:「○○さんて、いつもけったいなかっこうしてはるな」

■2:「なんやけったいなことに巻き込まれてしもうたんやて」

■3:「聞いたら聞くほど、けったいな話や」

■4:「この辺りでけったいな男がうろついとるらしいから、気ぃつけた方がええで」

■5:「そんなけったいな!」

「そんなけったいな!」は、「そんな馬鹿な!」といったニュアンスで使われるようです。


【「類語」「言い換え」表現】

「普通とは異なっていて、常識や理性では説明がつかないこと」という意味をもつ、「けったい」の類語をご紹介しましょう。

■不思議

上記の意味ではもっと一般的に用いられ、自分の知識や理性で解釈できないことすべてについて使われます。その範囲は、単に普通と異なっていることから自然現象まで、幅が広いです。

■妙

■奇妙

「妙」と「奇妙」では、「奇妙」の方が、普通とは異なっている度合いが大きい場合に使われます。 

■奇怪

■奇異

■怪奇

■怪異

「奇怪」は、常識で考えられる範囲を甚だしく外れていて、説明がつかないばかりでなく、怪しい感じをもつ場合に使う言葉です。「奇怪」「奇異」よりも、「怪奇」「怪異」の方が、怪しい度合いが大きい場合に使われます。つまり、怪しい度合いで言えば、「怪奇」≧「怪異」>「奇怪」≧「奇異」となります。

■風変わり

「風変わり」は「様子や性質・行動などが普通と違っていること」を表す言葉です。


【「医療」分野の「けったい」とは?】

医学の分野で使われる「けったい」は「結滞」あるいは「結代」と表記し、「心臓の拍動につれて送り出される血液のリズムが乱れること。脈の打ち方が不規則になること」を表します。

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「けったいなやっちゃな〜」「なんでやねん!」といった掛け合いを聞いたことがありますか? そのとき、「けったいなやっちゃな〜」と言っているほうも言われているほうも、目は笑っているはず。呆れや驚き、軽い非難の気持ちがあったとしても、それ以上に親しみや共感、つっこみの気持ちがあるのです。標準語の「変な人だな〜」というフレーズでは表しきれない豊かなニュアンスが、この言葉には含まれているのです。

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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :