温もりある和の外観、芳しい木の香り。「ヒノキ風呂」のバスタイムには、ほかのお風呂では味わえない魅力があります。「我が家のお風呂がヒノキだったら…」と憧れつつも、わからないことが多くためらっている人のために、今回はヒノキ風呂をさまざまな角度からご紹介します。
取材にご協力くださったのは、ヒノキ風呂を家庭用から業務用まで幅広く扱われているエステック アソシエイツの代表取締役の河野 誠さん。費用やお手入れ方法、これからヒノキ風呂を設置しようとお考えの方へのアドバイスまで、詳しく伺いしました。
「ヒノキ風呂」はどんな家にも設置できる?購入前に知っておきたいこと
■浴槽だけなら費用は約30万円から
まず、気になるのはやはりお値段。その平均的な設置費用はズバリ…おいくら?
「浴槽だけ交換するなら30万円からあります。多くは30万〜50万円くらい。浴室全体を変えたいというケースは、さまざまな工事が必要になりますので、大きさにもよりますが200万円〜300万円が平均価格です。壁や天井にもヒノキの板を貼りたいとか、腰くらいの高さまでは石づくりにしたいなど、さまざまなご要望があるので、状況によって金額は変わってきます」
意外にも実現不可能ではない価格です。また、細かい要望まで対応してもらえ、理想の浴室をつくり上げられるなら、お値段がひと桁上がっても浴室全体を変える希望をされる方がいるのも納得。
エステック アソシエイツでは、一つひとつ受注生産するため、戸建やマンションなど、家の条件で設置が難しいことは基本的にはないそう。
■お手入れは2ステップだけ!若い世代や女性にも人気上昇中!
その落ち着いた和のイメージから、年配の方に人気な印象があるヒノキ風呂。しかし河野さんに伺うと、お客様には50歳以上の方が圧倒的に多いものの、20代30代の方からも注文があり、最近は女性のお客様も増えているそうです。
「これまで女性には『木のお風呂なんて腐っちゃうんじゃ…』『掃除が大変そう…』と思われていましたが、コーティング技術によってお手入れが簡単になりました」(河野さん)
「最後に入った方がお湯を抜いて、強めの水圧のシャワーを当てて汚れを洗い流します。そして乾燥。我が社のヒノキ風呂はコーティングをかけているので、それだけで十分です。コーティングを施すのは、希望された場合のみですが、ほとんどの方がご注文されます。ヒノキは換気扇を回したり、窓を開けたり、換気が大切です」(河野さん)
つまり水洗いと乾燥だけ。驚くことにお手入れはわずか2ステップ、これは確かに簡単ですね! ただ、洗剤の使用は木を痛める可能性があるため、避けた方がいいそうです。
■ヒノキ選びは「赤身」と「乾燥方法」に注目!
浴槽は、長く使い続けるものだからこそ、業者選びに失敗したくないと思う方も多いのでは? それに、ヒノキ素材への知識が「豊富にある!」という人も少ないはず。
では、業者選びのポイントは、どんなところなのでしょうか?
「ポイントは、使用する木材に『赤身』が多いかどうか、木材を人工乾燥機で乾燥させているかどうかの2点を確認することがおすすめです」(河野さん)
赤身は油分が多く耐朽性に優れているため、浴室材に適しているそう。一方、樹皮に近い白太は、油分が少なく水に弱い部分。そのため、赤身を中心的に使っていなかったり、赤身と白太がごちゃ混ぜだったりすると、水に弱くなってしまうのです。
また、以前は木材の乾燥を太陽の光で自然と乾燥させる天日乾燥でしたが、今は技術が進み、人工的に木材を乾燥させる人工乾燥機があります。手間やコストはかかりますが、この技術を使うと木材の耐久性を高め、腐りにくくすることができるそう。
■ヒノキ風呂ならバスタイムがもっと楽しめる
最後にヒノキ風呂の一番の魅力を伺いました。
「やはり特有の上品な香りで得られるリラクゼーションです。ずっとヒノキ風呂を使われていた90代の女性から、8年前に交換したばかりのヒノキの浴槽を取り替えたいという注文がありました。その理由は、浴槽が国産のヒノキじゃなかったため香りがあまり出ず、楽しめなかったからです。なかには、学生時代にヒノキ風呂を使って以来その魅力を忘れられず、30代になってから設置した方もいらっしゃいます」(河野さん)
年齢を問わず人の心を掴むヒノキ風呂。その大きな要因はヒノキ特有の「香り」のようです。
エステック アソシエイツで注文の9割を占めるのは、国産のヒノキ。ほかの木材もメニューにはあるものの、ほとんど注文はないといいます。
バスタイムは、日常の中で最もくつろげる時間のひとつ。ヒノキ風呂には、その時間をより特別なひとときにしてくれる魅力があります。「自宅でもっとリラックスしたい」という方、設置を検討してみてはいかがでしょうか?
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- エステック アソシエイツ
- WRITING :
- 澤田絵里
- EDIT :
- 高橋優海(東京通信社)