明治・大正時代、ある人々を指す言葉「紫衛門(むらさきえもん)」…どんな人々?
明日・9月3日は『ドラえもん』のバースデーです。日本発、世界中で愛されている、未来からやって来た猫型ロボットくんのお誕生日は2112年の9月3日…89年後の明日、この世に誕生するのだ、と思うと、そのころの世界はどうなっているのかな?と、ワクワクしますね。アニメでもお誕生日の記念放送が企画されたり、グッズショップ『ドラえもん未来デパート』で記念グッズが発売されるなど、楽しいお祝い企画がいろいろあるようです。ちなみに、グッズショップでは『ドラえもん』をあしらった九谷焼や本染めのてぬぐいなど、本格的な和雑貨も扱われているようです。外国の方へのプレゼントに、こうした日本ならではのキャラクター・グッズを差し上げるのも、喜ばれそうですね。
本日は、言葉の最後に「~衛門(えもん)」とつく日本語のクイズをお送りします。
【問題1】「太右衛門」ってなんと読む?
「太右衛門」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「美女。美しい娘」を意味する言葉で、江戸時代にできた言葉、と言われております。
<使用例>
「あの喫茶室の看板娘は、この界隈でも有名な太右衛門でございますよ」
・・・さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 太右衛門(たえもん) です。
「○右衛門」という表記では「右」は特に発音せず「○えもん」と読みます。たとえば、歌舞伎の名跡「中村歌右衛門(なかむらうたえもん)」、名陶工の「酒井田柿右衛門(さかいだかきえもん)」、大泥棒キャラクターの「石川五右衛門(いしかわごえもん)」などなど。「○左衛門」は「○ざえもん」と「左」を読みますが、「○右衛門」は「○えもん」と読む、という法則を覚えておきましょう。
ちなみに「太右衛門(たえもん)」がなぜ「美女」を意味する言葉となったか?については、有力な説がふたつございます。ひとつめは、江戸時代、湯島の別荘に美しい牡丹の花を栽培していることで有名であった「牡丹屋太右衛門」の名前からきた、という説です。牡丹の花といえば「立てば芍薬、座れば牡丹」など、美女のたとえとしてもおなじみですね。もうひとつは、わらべうたの歌詞「たえもんどんの乙姫さまが…」という表現からきた、という説。片方の説だけではなく、両方が複合的に影響した言葉かもしれませんね。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「紫衛門(むらさきえもん)」ってどんな人?
「紫衛門(むらさきえもん)」は、明治・大正時代に、ある人々を指す言葉として使われた流行語です。どんな人々を指していたか、以下の選択肢の中から正しいものを選んでください。
1:華族
2:醤油問屋
3:女学生
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 3:女学生 です。
明治、大正時代の女学生の装いといえば、袴姿がおなじみですね。女学生の袴の色に紫色が多かったことからできた愛称的な言葉が「紫衛門(むらさきえもん)」です。同じような表現に、「海老茶式部(えびちゃしきぶ)」がございます。こちらは、紫と並んで、女学生の袴として人気だった色・海老茶をもじった、女学生の愛称です。
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本日は、9月3日『ドラえもん』のお誕生日にちなんで、「~衛門(えもん)」と付く日本語から、
・太右衛門(たえもん)
の読み方と言葉の背景、
・紫衛門(むらさきえもん)
の意味、背景などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版 日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/『ドラえもんチャンネル』ウェブサイト/『ドラえもん未来デパート』ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱