京都の新名所はタイと日本の「おもてなし文化」の融合でゲストをお迎え
西本願寺と東本願寺のちょうど中間、京都駅から歩いて10分ほどの中心地かつ閑静なエリアにオープンした「デュシタニ京都」。「デュシタニ」は、タイの大手ホスピタリティグループであるデュシット・インターナショナルのフラッグシップブランドです。
ファサードは縦のルーバーが特徴的なモダン・ジャパニーズ建築。シックなダークグレーの外壁とあいまって、「新解釈の京都」といった印象です。車寄せのあるエントランスを抜け、ロビーに入ると正面にはタイの伝統的なトレイである「パーン」をモチーフにした荘厳なオブジェが。これを京都らしく木で仕立ててタイと日本のコラボレーションを演出。
デュシット・インターナショナルは「優雅さの4本柱」と呼ぶ、以下のフィロソフィーを掲げています。
・ゲストのニーズを予測し、パーソナライズした想像以上の「サービス」を提供する。
・ゲストの身体的、精神的「ウェルビーイング(幸福感)」に注意を払い、あらゆるシーンにウェルネス要素を取り入れる。
・ゲストにユニークなローカル体験を提供し、ゲストと地域社会双方によい影響をもたらす「ローカリティ」。
・地域の環境に敬意を払い、提供するサービスが社会、経済、環境に対し「サステイナブル(持続可能)」であること。
そのおもてなしと他者への貢献の精神が凝縮されたサービスは、まさに「Ryokan」と「Hotel」の融合。日本家屋を彷彿させる低層建築と最新の近代建築の融合を感じる建物も、それを体現しています。
タイと日本のインテリアデザインチームの協業で日本文化を再解釈
フロントを通り、突き当たり右奥には現代流にアレンジした茶室が。今後は定期的に茶会も開催されるそうで、ステイのタイミングが合えば参加するのも楽しそうです。このホテルはタイと日本のデザインチームがタッグを組んでインテリアを担っています。ところどころにあるメタリックなペイントアクセントは、金継ぎからインスピレーションを受けたもの。伝統とモダンのミックス具合が新鮮です。
和の要素にタイスタイルをアレンジした趣き豊かな147室のゲストルーム
客室は全147室。インテリアはタイと和の文化を折衷。インペリアルスイート(173平米・1泊¥750,000~)はじめデラックスツイン(40平米・1泊¥50,000~)など、オケージョンに合わせてバリエーション豊かに(※いずれも税・サ別・宿泊料のみ)。コネクティングルームの用意もあり、家族や親戚、グループでの宿泊にも喜ばれそう。
ルームアメニティはタイを代表するウェルネスブランド「HARRN(ハーン)」のシャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ボディミルクが。「デュシタニ京都」の特長のひとつでもあるサステナビリティを体現しているのが全館「ノープラスティック」主義。カードキーも木製、歯ブラシやコームは再生プラスティックを使用しています。素敵な取り組みです。
京都大原の自社農園と宇治の茶畑を有して地産地消に取り組む
ダイニングエリアへは中庭を通ってアプローチ。ワインカーブをイメージした内装のバー「Den Kyoto(デン・キョウト)」、鉄板焼「紅葉(こうよう)」、そしてシグネチャーとなるメインダイニングが「Ayatana(アヤタナ)」です。
ミシュラン・ガイドブックで複数年にわたり一つ星を獲得したバンコクのタイ・レストラン 「Bo.lan(ボー・ラン)」 のシェフ、ドゥアンポーン・ソンヴィサヴァ氏とディラン・ジョーンズ氏が監修。永らく途絶えていた正真のタイ伝統料理を、コース仕立てでいただきます(¥24,800・税込)。日本の「金継ぎ」からインスパイヤされたエレガントな空間、エンタテイメント性のある「参加型」のインタラクティブな演出はサプライズ満載。
まずはレセプションで扇子を選び、「ゆっくり仰いで、風そして扇が発する香りを愉しむように」と促されます。「Kati(カティ)」という京都初のタイデザートのアトリエスペースでウェルカムドリンクとスナックを。タイのバンコクでは夕刻の交通渋滞に巻き込まれることが多々あり、慌てて到着したゲストにひと息ついていただくという文化を再現しています。
ダイニングルームに足を踏み入れると、そこはタイの伝統をモダンにアレンジした空間。オープンキッチンが活気を生みつつもエレガントで上質な雰囲気が漂います。「Bo.Lan(ボー・ラン)」仕込みのエッジが効いた料理に期待が膨らみます。
一皿一皿に精進料理のコンセプトをふんだんに取り入れているのも、タイと京都の相性の良さを感じます。普段私たちが日常的に親しんでいるタイ料理が家庭的なものだとするならば、丁寧に、素材を活かし、目にも愉しさを感じさせてくれる、特別感あふれたエレガントで色気のある上質なタイ料理が続きます。
食材は関西を中心に国産のものを。無農薬、無肥料で固定種野菜を育てるOHARA FARMYと業務提携して、京都・大原エリアに自社農園「デュシット・ファーム」を開設。パクチーなどのタイ料理に欠かせない野菜を自ら栽培することにも力を入れています。サステイナブルな食文化の創造に、真剣に取り組む企業姿勢も素敵です。
このメインダイニング「Ayatana」では、ワインと日本酒のペアリング(¥8,000~税・サ込)も。料理に合ったドリンクの提案で、より奥行きのあるディナータイムに。今回は、開業のタイミングで来日中のタイの著名ミクソロジストであるパキー・ププラディスト氏(通称:キー氏)考案の、タイと京都の食材を使ったモクテルをいただく機会に恵まれました。スイカ、かつお節、はちみつのモクテルや白みそ、ココナッツミルク、ココナッツシュガーなどユニークな彼のレシピは、「今後も定番ドリンクメニューとしてオーダーできるといいのに!」と思わずリクエストしてしまうほど独創的で繊細な数々でした。
スパ「DEVARANA」のテーマはデトックスとリラックス
タイと言えば、忘れてならないのがスパとタイ式マッサージ。デュシタニ京都のスパ「DEVARANA(デバラナ)」は、日本の伝統的な「Shiatsu(指圧)」や「緑茶」、「玄武岩のホットストーン」などの技法やパワーを取り入れつつ、ホリスティックな観点からタイならではのウェルネス思考を取り入れたホスピタリティあふれる癒しの場です。デバラナとは「天国の庭園」を意味し、タイの伝統的なメソッドを現代流に再解釈した独自メニューで心身を整えます。
スパエリアには、プール、ジム、ヨガスタジオも併設。旅行中とて1日たりともトレーニングを欠かしたくはないというストイックでアクティブなゲストも心配は無用です。
京都なのに、まるで海外にいるかのように心が高揚する特別な空気感。ホスピタリティあふれるタイ人スタッフはじめ、海外からの精鋭スタッフのおもてなしは非常に心地よく、何度もリピートしたくなるフレンドリーな接遇に、新たな京都の「行くべきスポット」登場を垣間見た訪問でした。
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問い合わせ先
- デシュシタニ京都 TEL:075-343-7150
- TEXT :
- 三井三奈子さん 美容エディター/美容ライター
- PHOTO :
- 横田紋子(小学館)