「シンパシー」は「同情」や「共感」を意味するカタカナ語です。「シンパシーを感じた」などと使われますが、実は「正確な意味は曖昧…」な人も多いのでは? 今回は「シンパシー」の意味や「エンパシー」との違い、使い方がよくわかる例文を解説します。
【目次】
【「シンパシー」を正しく理解するための「基礎知識」】
■意味
「シンパシー」は、「同情」や「共感」を意味するカタカナ語です。自分と同じような考え方をする相手に「シンパシーを感じた」のように使われます。
■「英語」で書くと?
語源となる英語は[sympathy]。「共感」や「共鳴」、「気が合うこと」のほか、「同情」や「思いやり」などの意味で使われます。カタカナ語「シンパシー」との違いは、人の悲しみや苦しみなどに対する「哀れみの情」や「憐憫(れんびん)の情」といった意味を含んでいること。「憐憫」とは「可哀想に思うこと。哀れむこと」です。お悔やみを伝える場面や、事故や災害などに際し、相手を気の毒に思う気持ちを[sympathy]という言葉で伝えます。カタカナ語の「シンパシー」は相手の境遇に対し「共感」することに止まり、「哀れむ」「気の毒に思う」といったニュアンスで使われることはあまりありません。
■「エンパシー」との違いは?
「エンパシー」という言葉には、あまり馴染みがない人も多いかもしれませんね。「エンパシー」の語源は[empathy]。「シンパシー」と同じように「共感」という意味をもちますが、このほかに「感情移入」や「人の気持ちを思いやること」という意味があります。
「シンパシー[sympathy]」が、他人と感情を共有したり、相手の心情に同調・同情することであるのに対し、「エンパシー[empathy]」は、他人と自分を同一視することなく、相手の意志や心情を汲むことを意味します。例えば、人の悩みに耳を傾けるカウンセラーに「エンパシー」の能力は必要不可欠です。言い換えれば、「エンパシー」は、相手の立場に立って、相手が何を感じているのか、どのように考えているのかを想像する能力や行為であるのに対し、「シンパシー」は相手の感情や境遇に共鳴し、「その気持ち、わかる!」と同意・同調することであると言えます。
【使い方がわかる「例文」3選】
「シンパシー」は「感じる」や「おぼえる」「抱く」といった動詞と共に用いられることがほとんどです。ここからもわかるように、「シンパシー」は相手の考えや感情、境遇に心を動かされ、自然に湧き上がる感情を指します。
■1:「Aさんは自分とはまったく違うタイプの人だと思っていたけど、あの映画の大ファンだと聞いてシンパシーを感じた」
■2:「彼は早くに両親を亡くし天涯孤独だという。自分と同じ境遇に、人知れずシンパシーを覚えた」
■3:「彼女と仲良くなったのは、二人で食事をした際、プロジェクトに対する彼女の個人的な考えを初めて聞いて、シンパシーを抱いたのがきっかけだ」
【日本語に言い換えると?「類語」「言い換え表現」】
「シンパシーを感じた」「シンパシーを抱いた」というフレーズを、もっとわかりやすい表現に言い換えてみましょう。
■同感
■共感
■私も同じ気持ち
■意気投合した
■気が合う
■その気持ち、よくわかる!
■一緒!
■わかりみが深い
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いかがでしたか?予期せぬタイミングで何かに「シンパシー」を感じ、心を動かされることってありますよね。小鳥のさえずりが喜びに満ちたものに聞こえたり、お寺の鐘の音が寂しく聞こえたりするのも、ある意味、「シンパシー」です。ただし、本当に相手が自分と同じ気持ちであるかどうかは、別問題です。ドラマや小説で「シンパシー」が恋の第一歩として描かれることはよくありますが、ここに「勘違い」や「すれ違い」が生まれるわけです。難しいですね!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) :