『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。今回は、トレンドであるタフな存在感のショートブーツのなかでも、この季節の犬走カジュアルに欠かせないフェイバリットアイテムにフォーカス! 今季、大人の女性はどんなタイプを選ぶのが正解か? 現在愛用中の3足をご紹介すると共に、コーディネートのポイントを伺いました!

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)『Precious』本誌をはじめとする数々の女性誌、テレビ、広告など多彩な分野で活躍。女優のスタイリングも手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目されている。

黒のショートブーツはちょっぴりハードなボリュームソールが気分!

どんなファッションアイテムにおいても「好みがブレない」犬走さんですが、ショートブーツも例外ではありません。

「今シーズンはハイブランドからも、ワークブーツやエンジニアブーツを思わせるような、ボリュームソールのタフなデザインが続々登場しましたが、私は3〜4年前から重めのレースアップシューズをよく履いていました。この連載でも1年前に紹介したことがありますよね」(犬走さん)

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そんな犬走さんが、今シーズンの一軍として選んだのがこの3足!

靴_1,ブーツ_1
左から、「チャーチ」、「ルカ グロッシ」、「レメ」。それぞれイギリス、イタリア、スペインのヨーロピアンブランド。

「もともとこういったタイプのブーツが好きではありましたが、思えばスニーカーに飽きがきていた私のネクストアイテムとしてフィットしたのかもしれません」(犬走さん)

ブーツに限らず、靴には一過言ある犬走さんのおめがねにかなった3足。選んだポイントや着こなしについて解説していただきましょう!

■1:クラシカルモダンを体現する「チャーチ」はレザーの質感も魅力

まずはこの連載でも2度目の登場となる「チャーチ」のレースアップブーツ。

「イギリスの老舗シューメーカーらしい伝統的なクラフツマンシップに程よくモダニティを融合させたタイムレスなデザインで、パンツやロングスカートなど何にでも合わせやすいのが魅力です。加えて、適度に厚みのある上質なレザーだから足首が冷えず、冬でも温かいという点でも重宝しています」(犬走さん)

いわば現在の犬走さんにとっていちばんのお気に入り。

「例えば、モヘアのニットにちょっと個性的なパンツを合わせたオーバーサイズシルエットのコーディネートも、上手にまとめてくれます」(犬走さん)

靴_2,ブーツ_2,ニット_1,パンツ_1
「ブルネロ クチネリ」のボーダーニットに、「アパルトマン」の太めの七分丈パンツを合わせて。いずれも今年購入したもの。

「ボーダーが好きすぎて、ボーダーを着ておけば何とかなると頼りすぎてしまうので封印しようと思っていたのに…(笑)、このニットはモヘアのふわっとした素材感や、間に細いグレーが挟み込まれているデザインなど、あまりの可愛さに購入してしまいました。

パンツは個性的なシルエットが気に入って買ったものですが、やっぱりチャコールグレーは使いやすいですし、こういったショートブーツが映える丈感も絶妙。フロントはニットをインして、ベルトを効かせます」(犬走さん)

昔のイタリア映画に出てくる少年のようなスタイルが「変わらず好み」という犬走さん。メガネも合わせて少しボーイッシュなテイストにまとめながらも、「チャーチ」のブーツから漂うラグジュアリーなムードで、大人のバランスを完成させています。

■2:スマートなシルエットが大人に似合う変形エンジニアブーツ

2足目は、スペインのシューズブランド「レメ」のエンジニアブーツ。

「シンプルなデザインと履き心地のよさを追求しているというブランドですが、ただ単にシンプルなだけではなく、計算された美しいフォルムに惹かれました。エンジニアブーツは、本格的なものはサイドファスナーがなく、筒が太くてどっしりとした印象ですが、これはサイドにファスナーが施されているため筒が少し細め。足首のシルエットがスマートで重くなり過ぎないところが気にいっています」(犬走さん)

例えばロングスカートを合わせて甘辛のコントラストを構築するのも「今年らしくてかわいい正攻法」という犬走さんですが、細身のパンツをインにするコーディネートも今、新鮮に映ります。

靴_3,ブーツ_3,シャツ_1,パンツ_2
細身の黒パンツはブーツにイン。チェックのウールマントを合わせて、逆三角形のシルエットに。

「このコーディネートは、トップスをストライプのボウタイシャツにしているのがポイント。ニットだと普通ですが、より黒ブーツとのコントラストが引き立って今年っぽくなります。こんな風にすっきり履ける変形エンジニアブーツ的なスタイルは、これからもっと人気が出てくるのではないでしょうか」(犬走さん)

■3:サイドファスナーの利便性は見逃せない!レースアップブーツ

最後は、靴好きの間では知られた存在であるイタリアンブランド「ルカ グロッシ」のレースアップブーツ。

靴_4,ブーツ_4
しなやかで抜群のフィット感を実現させる上質なレザーは、程よいツヤ感も魅力。

幅広いコーディネートにマッチする主張しすぎないデザインがポイントですが、実はこれは「二代目」。

「すべて熟練の靴職人によるMade in Italyらしく、とにかく履き心地がよくて! 価格帯も手ごろなので、同じものを2足買ってしまったんです(笑)。レースアップだけれどサイドファスナーが付いているので、着脱がスムーズな点もお気に入りの理由。日々使うものですから、そういった実用面もとても大切ですよね」(犬走さん)


スニーカー感覚でカジュアルに履ける上に、旬の雰囲気とモード感を添えてくれるレースアップブーツや変形エンジニアブーツ。防寒にもなるので、おでかけにぜひ取り入れて、今年らしいブーツスタイルで冬を謳歌してみませんか?

※私物に関する各ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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PHOTO :
田中麻衣(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)