誰かに「あなたって世渡り上手ね〜」、あるいは「世渡りがうまいわね!」と言われたら…それは若干の嫌味と反感を伴う高評価の表れ。残念ながら手放しのほめ言葉とは言えません。今回は「世渡り上手」の意味や「世渡り上手な人の特徴」、言い換え表現を解説します。
【目次】
【「世渡り上手」を正しく理解するための「基礎知識」】
■読み方
「世渡り上手」は「よわたりじょうず」と読みます。
■意味
「世渡り」とは文字通り「世を渡ること」。「生活していくこと」「人並みに暮らしていくこと」という意味の言葉です。
「世」という言葉には「生きている期間。また、人の住む世界」という意味があります。そして、「渡る」は「人と付き合って暮らしていく」という動詞です。橋田壽賀子さん脚本のドラマのタイトル『渡る世間は鬼ばかり』は、「人と付き合って暮らしていく(生きている)限り、鬼(無慈悲な人・酷い人)には苦労する」とも解釈できますね。
私たちの生活は、ひとりでは決して成り立たず、常に他人との関係で成り立っています。「世渡り上手」とは「人と付き合いながら暮らしていくことがうまい」こと、つまり「どんなときも器用に振る舞って人付き合いがうまく、要領よく物事を進めていく人」を指します。
【「世渡り上手」と言われる人の「特徴」がわかる「例文」5選】
■1:「同期ではAさんが出世頭か〜。彼、頭の回転が速くて要領もいいし、ほめ上手だから上司との関係もバッチリ。いかにも世渡り上手って感じだね」
■2:「Aさんって、上司からはもちろん、後輩からも人気だよね。いつも明るくて話題も豊富だから取引先からの評判もいい。ほんと世渡り上手だな」
■3:「あれだけ密な仕事をこなしながら、同期のマドンナとさっさと結婚するとは、世渡り上手な彼らしいな」
■4:「Bさん、また連休の前後に休暇を取って旅行? 引き継ぎは完璧だから文句は言えないけど、なんで彼女だけ? って思うとモヤモヤするよね。ほんと、世渡り上手よね」
■5:「Bさんって交際範囲が広いよね。フットワーク軽いし。今年は取引先の忘年会まで仕切ってるらしい(笑)。世渡り上手で羨ましいよ」
例文からわかるように「世渡り上手」と言われる人は、仕事ができてプライベートも充実しているような、いわゆる「成功者」と呼ばれる人であり「人気者」です。陰か陽かで言えば、間違いなく「陽キャ」です。とても器用なため、人の目には「たいした苦労をせず、要領のよさだけで成功している」ように映るため、羨望や嫉妬の対象になりやすいのは事実。そのため「世渡り上手」という言葉には、若干の嫌味や反感のニュアンスがを込めて使われることが多いようです。
【「類語」「言い換え」表現】
手放しでは「ほめ言葉」とは言い難い「世渡り上手」。別の言葉に言い換えてみましょう。
■ポジティブな意味合いの言い換え表現
・如才ない
・人付き合いがうまい
・世慣れている
・頭の回転が速い
・要領がいい
・処世術に長けている
・コミュニケーション能力が高い
・コミュ力が高い
■ネガティブな意味合いの言い換え表現
・八方美人
・海千山千
「海千山千」は「世の中の経験を十分に積み、物事の裏面にまで通じてずる賢いこと。したたか者」のこと。
・ 世知利根(せちりこん)
「世知利根」とは抜け目なく口が賢いこと。世渡り上手であること。また、そのさま。
【「対義語」は?】
「世渡り上手」の「対義語」も覚えておきましょう。
・世間知らず
・不器用
・人見知り
・箱入り
【「英語」で言うと?】
ずばり「世渡り上手」を表現する英単語はありませんが、「人付き合いがうまい」という意味ならば[good at socializing]で表現できますよ。[socializing]は「付き合い方」を意味する単語です。
・He is good at socializing.「彼は人付き合いが上手だ)
また「賢い」「賢明な」のほか、「抜け目のない」「垢抜けた」といった意味をもつ[smart]も「世渡り上手」のニュアンスに近そうです。良くも悪くも「キレのよさ」を表現する単語です。
・He is a smart guy.(彼は抜け目のないヤツだ)
***
何かと陰口を叩かれることも多い「世渡り上手」ですが、常に人間関係を良好に保ち、どんな場面でもうまく切り抜けていくスキルは、正直、羨ましいですね。もしもあなたが「世渡り上手」と言われるタイプなら、生来の器用さや人付き合いの巧さから、何かと得をすることが多かったのではありませんか? さらなる成功を望むあなたに必要なのは、人並み以上の謙虚さです。周囲への感謝の言葉を忘れなければ、あなたの周囲には大勢の協力者が自然と集まってくれるはずですよ。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :