発表!『MEN’S Precious』ウォッチアワード 2023|各界のプロフェッショナルが選ぶ【2023年の新作ラグジュアリーウォッチ】

2023年に発表された新作時計のなかから、各界のプロフェッショナルが選び抜いた確かな価値のある一本を、カテゴリーごとに選出する『MEN’S Precious』ウォッチアワード 2023。スイスの大型時計展示会がウォッチズ&ワンダーズに一本化、規模がより拡大した2023年。立場は違えども時計を愛する5名の審査員が選ぶ、最も輝きを放った時計を発表します。

今回は、5名の審査員が選出したラグジュアリーウォッチの意欲作を発表!「審査員個人賞」をご紹介します。

『MEN'S Precious』ウォッチアワード 2023 審査員

並木 浩一さん
桐蔭横浜大学教授・時計ジャーナリスト
(なみき・こういち)出版社勤務を経たのちに、京都造形芸術大学大学院にて博士号を獲得し、研究者の道に。人間が行う「静」の表現として時計を探究する一方、「動」の表現としてダンスを研究する。スイス取材には、日本のメディアが参加し始めた最初期から参戦。独自の切り口で時計を考察する視線に定評がある。
柴田 充さん
時計ジャーナリスト
(しばた・みつる)広告制作会社でコピーライターを務めたのち、フリーランスのライター/エディターに。20年近くに及ぶスイス取材で培った豊富な経験と、カルチャーへの深い造詣により、独自の感覚で時計を評する。時計のほかファッションや車にも精通。メンズライフスタイル誌や時計誌ほかに数多く寄稿している。
平山 祐介さん
俳優・モデル
(ひらやま・ゆうすけ)一度はエンジニアとして就職するも、一念発起してメンズモデルの世界へ。国際的なモデルとしてパリコレクションなどのランウェイを経験。その後は俳優の世界にも飛び込み、二足のわらじで活躍中。時計好きとしての一面ももち、機械式からカジュアルウォッチまで、分け隔てなく溺愛。
Daisukeさん
モデル
(だいすけ)パリやミラノほか、ファッションショーに長年出演し、モデルとしてのキャリアを積み重ねる。国際的なオファーも多く、海外渡航も多数。年齢に応じて腕時計を買い足して、現在は3本所有。選びには、着用するシーンが想定できるリアリティを重視する。このたび時計への関心が一層高まった模様。
守屋 美穂
『Precious』編集長
(もりや・みほ)大学卒業後、小学館に入社。以来、29年にわたって女性ファッション雑誌の編集や新創刊に携わる。 特に、読者ターゲットである働く女性や富裕層女性のファッション、美容、ライフスタイルに精通。装いを楽しみ、日常を豊かにするという目線から腕時計を愛用し、クロノグラフ好きを自認する。

【審査員個人賞】各界のプロフェッショナルが選出したラグジュアリーウォッチの意欲作を発表!

注目作ばかりだった今年の最新作から5名の審査員がこれぞと思いを込めたとっておきの「個人賞」を発表! それぞれの心を奪った時計の魅力を、余すところなく語っていただいた。

【並木 浩一賞】モンブラン『モンブラン 1858 ジオスフェール ゼロ オキシジェン 南極探検 リミテッドエディション』

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『モンブラン 1858 ジオスフェール ゼロ オキシジェン 南極探検 リミテッドエディション』¥1,113,200 ●ケース:チタン ●ケース径:42mm ●ブレスレット:チタン ●自動巻き(モンブラン)

奇想と実用の両方を備え、山時計から冒険時計へと進化

「地球儀を、赤道で南北に切り分け文字盤に配した大好きなモデルです。誕生時はいわゆる山時計でしたが、登山家ニルマル・プルジャが着用した前作に続き、曇り防止のゼロ オキシジェン仕様&グレイシャーダイヤルを採用することで、実用的にもストーリー的にも冒険時計へ進化しました」(並木さん)

【柴田 充賞】オメガ『スピードマスター スーパーレーシング』

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『スピードマスター スーパーレーシング』¥1,793,000 ●ケース:SS ●ケース径:44.25mm ●ブレスレット:SS ●自動巻き(オメガ)

機械式時計に懸ける「オメガ」の気概を強く感じる自動巻きクロノ

「これまでアッセンブル交換しかなかった先端素材のシリコン製ヒゲゼンマイの、超微細な緩急調整を可能にした独自機構スピレート(TM)システムを搭載する画期的なモデル。自動巻きクロノグラフという歴史ある機構も置き去りにせず、一方でこうした、実用的に技術革新させる『オメガ』の気概を感じます」(柴田さん)

【平山 祐介賞】ブレゲ『タイプ XX 2067』

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『タイプ XX 2067』¥2,585,000 ●ケース:SS ●ケース径:42mm ●ストラップ:カーフ、NATOストラップが付属 ●自動巻き(ブレゲ ブティック銀座)

自分の仕事にも影響を及ぼす「大きな違い」を見せた洗練モデル

「ずばりひと目惚れ。『タイプ XX』シリーズはこの最新作でさらに洗練されました。4年の構想期間やデザイン変更など、過去作と異なる理由も理解できますが、それよりも感覚の問題。些細な変化でも大きな違いを見せられる点で、自分の仕事にも影響を及ぼす衝撃作」(平山さん)

【Daisuke賞】パネライ『ラジオミール クアランタ イエローゴールド』

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『ラジオミール クアランタ イエローゴールド』¥2,376,000 ●ケース:YG ●ケース径:40mm ●ストラップ:アリゲーター ●自動巻き(オフィチーネ パネライ)

万能にして華やか、注目のグリーンダイヤル最高峰

「今の自分にとって、白・黒・グレーとは趣を異にするグリーンダイヤルが注目株。その色味を引き立てるのが、『ラジオミール』史上最小最薄を掲げるYGケースに黒のレザーストラップを備える本作です。どんなコーデにも似合う一本。数々の服に袖を通してきたからこそ、強く推せます」(Daisukeさん)

【守屋 美穂賞】ブライトリング『プレミエ B21 クロノグラフ トゥールビヨン 42 レオン・ブライトリング』

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『プレミエ B21 クロノグラフ トゥールビヨン 42 レオン・ブライトリング』¥7,975,000 ●ケース:レッドゴールド ●ケース径:42mm ●ストラップ:アリゲーター ●自動巻き(ブライトリング・ジャパン)

トゥールビヨン搭載機なのにほっこりと温かいのが魅力的

「1943年に誕生した初代に由来するノスタルジックな雰囲気の本作。12時位置に、トゥールビヨンを絶妙なバランスで配置しており、ほっこり温かみすら醸している点に惹かれます。ヴィンテージ志向である近年の『ブライトリング』のデザインはクセがなくかなり自分好みです」(守屋)


2023年の新作ラグジュアリーウォッチを総括!

各界のプロフェッショナルとなる5名の審査員は、今回、どこに着目して審査されたのか。今年の時計の傾向を総括していただきました。

並木 浩一さん「アフターコロナで開花した開発側のグッドアイディア」

「今年は特にデザインやコンセプトの多様性に富んだ時計が豊作。ヴィンテージリバイバルやラグジュアリースポーツだけでなく、さまざまなジャンルをクロスオーバーしているものが多かった。各ブランドはどのカテゴリーにエントリーすべきか迷ったのでは?(笑)。コロナ禍の時間があるなかで、開発者たちがためていたアイディア、デザイナーが描いていたスケッチが、今まさに花開きつつあるのが今年という印象。だからこそ、この現象が同時多発的に起こったのだと思います」

柴田 充さん「先端技術とヘリテージを融合した次世代復刻に期待」

「相変わらず復刻デザインの時計は多く、極私的に言えば、そうした時計に惹かれています。というのも、復刻に値するモデルは確かなヘリテージがあり、それをブランドのストーリーテリングや先端技術をもってセンスよく実用時計に落とし込んでいるからです。実際この傾向は顕著。特に最近の『オメガ』の動きには注目しています。忠実再現したリバイバルは、実物を知る世代にはうれしいですが、未来の顧客となる次世代に向けては、さらなる進化が求められると思います」

平山 祐介さん「小さな違いで大きな進化を見せる時計に大注目」

「ちょっとした仕様の変更によって、ガラリと印象が変わったような時計が豊作だったと感じました。それによって好きだったブランドだけでなく、これまで個人的にチェックしてこなかったブランドの時計に魅力を感じる機会が多かった。もちろん技術的な進化もあるのでしょうが、そうした小さな変化というのは、突然変異するのではなく、進化しようとする小さな挑戦の積み重ねが開花したものなのかなと。その意味では、自分の仕事をするうえでも学びにもなった一年でした」

Daisukeさん「2回の経験のなかで、自分の好みが浮き彫りに」

「専門家ではない自分が、各ブランドが研鑽を積んだ素晴らしい時計に点数をつけるのは、恐れ多かったです。ただ今年で審査も2回目を迎えて、時計への思いはさらに深まりました。間違いなく去年の自分とは違った採点になったと思います。ビジュアルの好みはより色濃く自覚できましたし、一方で『タイプではない』時計も浮き彫りに(笑)。小さな時計に秘められているストーリーや歴史、また職人の技術は知れば知るほどおもしろく、好きな時計をより愛せるファクターとなりました」

守屋 美穂「クワイエットラグジュアリーに特に惹かれた当たり年」

「ファッションの世界でも急浮上している『クワイエットラグジュアリー』という概念。これ見よがしでない、控えめな上品さが感じられる時計に惹かれました。実際、そうした時計も多かった印象です。人々のライフスタイルが多様化するなかで、ブランドの個性とユーザーのニーズをうまくミクスチャーしたブランドが多かったのではないでしょうか。クセが強すぎない時計が好きな私としては、魅力的な一年。なかでも、温もりある雰囲気のヴィンテージライクな時計が気になりました」

 

※掲載した商品は、税込価格です。
※文中の表記は、SS=ステンレススティール、YG=イエローゴールドを表します。

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PHOTO :
池田 敦(CASK)
STYLIST :
関口真実
EDIT :
安部 毅、岡村佳代、安村 徹(Precious)
文 :
高村将司