名刺などに記載された「肩書き」は、「その人の社会的な地位や役割」を示しています。多人数で行われる名刺交換の場面では、「肩書き」は相手の組織におけるそれぞれの立場や力関係を把握するために欠かせない情報ですが、「専務と常務どちらが上?」といった基礎的な知識があやふやになっている人も多いのでは? 今回のテーマは「肩書き」。一般的な種類や序列、英語表記などを解説します。

【目次】

あなたの肩書きは?英語で言えますか?
あなたの肩書きは?英語で言えますか?

【「肩書き」を正しく理解するための「基礎知識」】

■意味

「肩書き」とは、「その人を特徴づけるる社会的な地位や称号など」のこと。例えば、名刺には社名、会社の所在地、氏名などのほかに、部署名とセットで「代表取締役」や「経理部 部長」などの「肩書き」が記載されています。名刺交換の際、私たちは頂いた名刺に記された肩書きを見て、その人が企業のどの部署に所属し、どんな役割を担っているのかを判断しますね。

■「語源」「由来」

「肩書き」とは、もともとは縦書きの場合に、姓名の右肩に職名、官位、居所などを書き添えたことから「肩書き」という言葉が生まれました。社会的な地位や身分を示す爵位や勲等、学位、役職などを「肩書き」と言います。また、「肩書き」には、「書き添える」という意味もあり、商店名や商品名の脇に書かれた、その特長を示す文句などを指して「肩書き」と言うケースもあります。いわゆるキャッチコピーですね。

■「役職」との違い

「役職」には、「会社の組織内における役割や職務」という意味と「管理職」というふたつの意味があります。「管理職」は会社によって呼称は異なりますが、日本では一般に「代表取締役」や「部長」「主任」など、一定の権限をもち、部下や売上等の管理をする役職を指します。

例えば、名刺に「営業担当」と書かれていたらそれは「肩書き」ですが、「営業部 部長」と書かれていたら、それは「肩書き」であると同時に「役職」であるとも言えます。また「肩書き」は法律で使用が定められていないため自由度が高いことも特徴です。例えば、経営者を示す「取締役」という「役職」は株式会社でしか使えないと定められていますが、「社長」や「会長」、「相談役」などの「肩書き」には規定がなく、呼称です。


【一般的な「会社の役職」と序列】

役職にはさまざまな呼称があり、企業によって独自の呼び方があったり、同じ名称でも異なる役割を担っていたりするケースもありますが、一般的な「役職の序列」を把握しておくことで相手の立場や職務がわかりやすくなります。ごく一般的な序列を紹介しましょう。

・代表取締役社長:経営のトップ。企業の代表者。

・専務取締役:社長の補佐的なポジションです。

・常務取締役:社長や専務取締役のサポートを行います。

・取締役:会社の経営方針を決める会議に出席し、役員として現場を統括する重要なポジション。

・部長:部署をとりまとめる役職です。上に本部長がいる場合もあります。

・次長:部長に次ぐポジション。副部長と呼ばれる場合も。

・課長:課を管理・統括する役職。

・係長:係を統括する、管理職の入り口ともいえるポジションです。

・一般社員:役職がつかない、普通の社員です。


【「一般社員」の肩書きは?】

役職がつかない一般社員は「○○担当」という肩書きがつくことが多いようです。

・営業担当
・企画担当
・広報担当
・経理担当
・事務員


【主な「肩書き」や「役職」を「英語」で言うと?】

肩書きの英文表記には、国や会社によって違いがありますが、以下に一般的な名称をご紹介します。名刺の英語表記や自己紹介などでは、自社で定められた正確な表記を確認のうえ使用してくださいね。

・会長:The Chairman of the Board
・最高経営責任者… CEO(Chief Executive Officer)
・代表取締役:Representative Director
・社長:The President
・専務取締役:Executive Director/Senior Managing Director
・常務取締役:Managing Director
・課長〜部長:Manager
・主任:Assistant Manager、Leader

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「肩書き」は、その人が企業や組織のどの部署に所属し、どんな役割を担っているのかを伝える重要な情報です。名刺交換は、多人数同士で行うことも多いものですが、それぞれの「肩書き」から、社内での力関係もある程度推測することが可能です。ただし、企業によって役職の呼び方や役割、序列などは異なりますから、取引先などの組織図は正確に把握する必要がありますね。

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