「感傷的」とは、感情を動かされやすくなっている状態を言います。悲哀感に引き込まれて涙もろくなるようなことを指すことが多いのですが、それはなぜでしょう? 正しい使い方や「感情的」との違いなど、さくっと解説します。
【目次】
【「感傷的」とは?「読み方」と「意味」】
■読み方
「感傷的」は「かんしょうてき」と読みます。
■意味
『日本国語大辞典』には、「感情が異常に刺激されやすいさま。特に、感情を最も刺激する悲哀感に引き入れられる場合が多い。悲哀の感情におぼれやすいさま。感じやすく、涙もろいさま。センチメンタル」と解説されています。簡単に言えば「感じやすく、涙もろいさま」ということですね。悲哀感に引き込まれることが多いのは、嬉しいことや楽しいといったことより、悲しい、つらいといったネガティブな出来事のほうが刺激が強く、感情をより刺激するから。脳は刺激が大好きなのです。
【正しい「使い方」がわかる「例文」3選】
あなたはどんなときに「感傷的」になりますか? 「感傷的」になりやすい人は感受性が強いということ。こんなシーンで気持ちが揺さぶられることが多いのではないでしょうか。
■1:「歌詞やメロディーの一部を見聞きするだけで、感傷的になってしまう曲は誰にでもあるだろう」
■2:「その映画は、冒頭シーンで観客を感傷的にさせ一気に惹きつけた」
自分の体験ではないのに「感傷的」になることもあると思います。実体験の有無にかかわらず、脳は反応してしまうのです。
■3:「感情的になるべきではないが、感傷的になるのは悪いことばかりではない」
「感傷的」になるのは感性が豊かで、他人の感情にも敏感になれる繊細な人。他者を思いやれる人とも言えますね。
【「感傷的」の「類語」「言い換え・関連語」】
■類語
・多感(たかん):感じやすく、傷つきやすいさま。感受性の鋭いさま。
・悲哀(ひあい):悲しいこと、悲しく哀れなこと。また、そのさま。
・センチメンタル:感じやすく涙もろいさま。
■言い換え・関連語
・情にもろい:他人に対する思いやりの気持ちが強い。人情に動かされやすい。
・涙もろい:ちょっとしたことにも涙が出がちである。情にほだされやすい。
・多感(たかん):ちょっとしたことにも感情を動かされること。感じやすいこと。また、そのさま。
【「感傷的」を「英語」で言うと?】
「感傷的」にいちばん近い意味をもつのが[sentimental]です。この「センチメンタル」も日常的に使う言葉ですね。
・feel sentimental(感傷的になる)
・He became sentimental as he remembered the past.(彼は昔を思い出して感傷的になった)
【似ているけれど違う「感情的」に注意!】
「感傷的」と「感情的」は似ていますが全く違います。「感情的」の言葉の意味も確認しておきましょう。
■「感情的」の意味
理性を失って感情をむき出しにする様子を表します。「感情的な言い方」や「感情的な態度」はよく使われる例ですね。また感情に関するさまをいうこともあり、「2国間には感情的な壁がある」といったように使います。「感傷的」は内なる感情を表しますが、「感情的」はアウトプット型であるところに大きな違いがあります。また、「感情的」の対義語は「理性的」ですが、今回の主題「感傷的」に対義語は見当たりません。
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「感傷的」は「センチメンタル」と言い換えたほうがわかりやすいかもしれませんね。あまりに「感傷的」になって感情のコントロールが効かなくなってしまわないように…!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『使い方のわかる 類語例解辞典』(小学館)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/ :