【目次】

【「感傷的」の「意味」】

「感傷的」とは、「感情を動かされやすく、何かにつけて涙もろくなっている様子」のこと。簡単に言えば「感じやすく涙もろい」ことですね。「センチメンタル」と同義で、昭和の時代にはセンチメンタルを略した、「おセンチ」なんて言葉もありました!


【「感傷的になる」とはどういう状態?】

たとえば…見慣れたはずの風景や懐かしい音楽、匂いなどに強く心を揺さぶられて、妙に切なくなったりセンチメンタルな気分に陥ってしまうことって、ありませんか? ふいに昔のことが懐かしく思い出されて、涙をこぼしてしまったり…。あるいは、仕事でミスしてしまったり、恋愛がうまくいかないときなど、孤独感や寂しさを強く意識したときなども、「感傷的になった」状態と言えるでしょう。

自分の気持ちを言葉では明確に説明できないけど、なぜだか切ない、なぜか涙がこぼれる…こんな感情に陥ることを「感傷的になる」と表現するのです。また、「感傷的になりやすい人」は、自分や他人の感情に敏感で、繊細な人なのかもしれません。


【「類語」「言い換え」表現】

「感傷的」の「類語」や「言い変え表現」を知ることで、さらに理解が深まります。

■類語

・多感(たかん):ちょっとしたことにも感情を動かされること。感じやすく、傷つきやすいさま。例)多感な年ごろ

・センチメンタル:感じやすく涙もろいさま。

■言い換え・関連語

・情にもろい:他人に対する思いやりの気持ちが強い。人情に動かされやすい。

・涙もろい:ちょっとしたことにも涙が出がちである。情にほだされやすい。

・切ない:悲しさや恋しさで、胸がしめつけられるようである。やりきれない。やるせない。

・やるせない:悲しさなどの思いの紛らわしようがなくて、どうしようもないような気持ちになること。

■感傷的な状態をあらわす表現

・胸がキュッと苦しくなる

・懐かしい気持ちがこみ上げてくる

・ぽつんと取り残されたような気分になる

・ふと、心がやわらかくゆるんでくる

・切ない気分になる

・心やゆらゆらと揺れた

・はかなさを感じる

・少し泣きたい気分になる

などなど…。子どものころ見た風景や淡い恋心の記憶などを思いだし、懐かしさや幸せな気持ちに包まれているときの状態、と考えるとわかりやすいかもしれません。


【「英語」で言うと?】

「感傷的」にいちばん近い意味をもつのが[sentimental]です。日本語で「情にもろい」「涙もろい」といった意味もあり、「感情に流されやすい、懐かしさや悲しさ、愛情などが入り混じる気分」を表現する言葉です。カタカナ語「センチメンタル」は、日常的に使われていますね。

・feel sentimental(感傷的になる)

・He became sentimental as he remembered the past.(彼は昔を思い出して感傷的になった)

・That song always makes me feel sentimental.(あの曲はいつも私をセンチメンタルな気分にさせる=あの曲を聴くといつも感傷的な気分になる)


【「対義語」は?】

「感傷的」のように「感じやすく涙もろい様子」と、逆の意味をもつ表現(対義語や反対語)は、特にありません。ただ、「感傷的」な状態を「自分で自分の気持ちをうまく説明することができない」様子ととらえれば、対照的な意味の言葉は、「理性的」や「論理的」「客観的」など、冷静な思考がはたらく状態だと解釈することもできますね。淡泊、ドライ、クールといったワードも「感傷的なタイプの人」と真逆、と考えると対義語と言えそうです。

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「感傷的」と「感情的」は似ているようですが、意味は全く違います。「感情的」は、理性を失い感情をむき出しにする様子を表す言葉。「感傷的」が「内向きで静的」な心の動きだとすれば、「感情的」は「外に向かって激しい」心の動きです。

さて、あなたが「感傷的」になってしまうのは、どんなときでしょうか。不意に訪れる気持ちの抑揚をコントロールする術を知っているのも、大人のたしなみと言えるのでしょうね…難しいことではあるのですが!

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『使い方のわかる 類語例解辞典』(小学館)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/ :