それぞれの独自のスタイルが店舗に反映され、ブランドの直営店にはない魅力をもつセレクトショップ。首都圏には数多く並んでいるイメージがありますが、実は、地方にも個性的なセレクトショップがあるんです。そこでPrecious.jpでは、秋田県の地域に根付いた洗練セレクトショップを取材。

デザイナー・山本耀司氏が最初に設立したブランド、Y’sをはじめ、数々のプレタポルテを取り扱う、秋田県湯沢市のFEMME et MODE(ファムエモード)さんにお話を伺いました。

秋田県湯沢市のFEMME et MODE、店舗2階正面
Q1:ショップをはじめた時期について教えてください

1982年に、湯沢市内の7坪のショップから会社をスタートさせました。その後、秋田県の横手市や秋田市へも出店を続けながら、1999年にこちらに移転しました。

Q2:ショップを始めたきっかけは?

当時の秋田県内のお店は、ラックや棚にびっしりと商品が陳列されているお店が多かった。そこで、当時の洋服屋のイメージとは正反対に、ラックや棚に数枚の商品を丁寧に陳列したショップを始めたんです。

「東京でできることが、なぜ田舎でできないんだ。やってみたら、田舎でも売れるんじゃないか?」という思いが原点であり、始めたきっかけでしたね。

秋田県湯沢市のFEMME et MODE、店舗2階
Q3:Y’s(ヨウジヤマモト)との関係は?

ショップを始めた当初は、Y’sの取り扱いはありませんでした。そもそも、こんな片田舎の無名店ではやれるはずがなかった。始めてから数年が経った頃、取引先の他ブランドの担当者と、たまたま東京のヨウジヤマモトの本社を訪れたんです。そこで、ヨウジヤマモトの方を紹介していただき、そのご縁でY’sの関連ブランドを仕入れるところからスタートしました。

しかし、ご存じのようにY’sは当時から奇抜なスタイルが特徴の洋服。秋田で売れるのかは未知数でした。しかし

、そこから順調に売り上げ実績を作ることに成功し、Y’sも販売できることになったんです。その後、Y’s for men(Y’sのメンズライン)の廃止に伴い、代替のメンズブランドとしてヨウジヤマモトプールオムも取り扱うようになりました。

秋田県湯沢市のFEMME et MODE、店舗中2階左側
Q4:ラインナップの変貌は?

アツロウタヤマやイッセイミヤケのスポーツライン(現在は廃止)、ファイナルホーム(デザイナー・津村耕佑氏のブランド)など、「いいな」と思ったブランドには片っ端から電話をして交渉し、その都度仕入れてきました。2004年のY-3(山本耀司氏とアディダスとのコラボレーションブランド)の発足時には、同じタイミングで取り扱いを始めました。当時、日本では数件しか取り扱い店舗がなかったので、とても貴重なチャンスでしたね。

秋田県湯沢市のFEMME et MODE、店舗2階右側
Q5:対面販売のよさは、どのようなところだと思いますか?

10年ほど前までは、Y-3などの希少価値の高さからか、インターネット通販でも一定の売り上げがありました。ですが、各ブランドが公式通販などを始めてからは、それも徐々に少なくなってきました。

そんな時代だからこそ、直接コミュニケーションをとることができる対面販売が、さらに重要になっていくと思います。やはり、人(スタッフ)に、人(お客様)がつくということが、対面販売の魅力であり、よさなのだと思います。

秋田県湯沢市のFEMME et MODE、店舗中2階シューズコーナー
Q6:お客様はどのような方が多いですか?

ショップを始めた当時から来てくださっていた20代のお客様とともに私たちも年を取った(笑)ので、やはり40〜50代が多いですね。男女比率としては、2:8くらいの割合だと思います。

若い世代の方達はインターネット通販で買うことも多いでしょうし、求めているのはファストファッションブランドで販売されているようなシーズンもの。80年代は皆が競っておしゃれを楽しんでいましたが、いまは物があふれすぎてしまったような気もしますね。

秋田県湯沢市のFEMME et MODE、店舗1階正面
Q7:今後はどのようなお客様に訴求していきたいと考えていますか?

東京都内では、若い方でY-3やヨウジヤマモトを着ている人が最近は増えてきているようですが、秋田の若い世代の所得やファッション感度を考えると、多くの人に買ってもらうことは難しい。元々、取り扱っているブランドは万人受けするものではありませんが、その分、あまりファッションに興味がない人にも良さを知ってもらえる余地があると思います。

ファストファッションが台頭して以降、多くの人がファッションに関心を持つようになりました。ファストファッションに慣れ親しんできた人たちが、さらにファッションに興味をもってくれるようになるといいですね。お店としては、やはり、「周りとかぶりたくない」と考えている人に良さを知ってもらい、購入していただきたいです。テレビや雑誌で取り扱いブランドを目にする機会も増えたこともあり、入り口はなんでもいいと思うので、少しでも興味をもってもらえたらうれしいです。

秋田県湯沢市のFEMME et MODE、店舗外観

Q8:地方のセレクトショップは今後どのようになっていくと思いますか?

洋服だけでなく、カフェの併設や雑貨なども扱う複合的なお店になっていくのではないでしょうか。ですが、「わざわざここで買いたい」とお客様に思っていただける店を目指すということに変わりはありません。

これまでは、洋服だけでそういったビジネスを展開できました。しかし、地方で続けていくためには、特別な「何かがある」といった、プラスαのものが今後は絶対に必要です。特に、秋田県は人口減少が激しいので、他県などからも来ていただけるような魅力的なショップを目指していきたいですね。

Q9:どのようなセレクトショップでいたいと思いますか?

お客様に、「わざわざ行きたい」と思っていただけるような店にならないと意味がないし、そういう店でありたいと思っています。もちろん、勝手に売れてく方がお店にとっては楽ですが、”売れる店”よりも”買ってもらえる店”にならなくてはダメなのだと思います。

格好つけた言い方にはなりますが、自分たちにしかできないようなショップにしていきたい。そのためには、常にお客様のインサイトを探っていくことが大事ですし、その上でお客様に必要としていただけるようになりたいです。

問い合わせ先

  • FEMME et MODE 
    営業時間/10:30~19:00
    定休日/水曜日(祝日を除く)
    TEL:0183-72-2232
    住所/秋田県湯沢市大町1-3-52

この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.2.4 更新
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撮影・文/難波寛彦