【目次】
西麻布ってどこにあるの?「場所」「最寄り駅」
「場所」はどこ?広尾までの距離は?
東京都港区西麻布は、六本木通りと外苑西通りが交差する「西麻布交差点」を中心に広がるエリアで、1丁目から4丁目まであります。上の写真は天現寺橋の交差点から西麻布の交差点へ向かう「外苑西通り」。1980年代から90年代まで、南仏料理やイタリア料理などの有名レストランが数多く並んでいたことから「地中海通り」と呼ばれたりもしていました。外苑西通りを南側に10分程度進んでいくと広尾駅があり、渋谷区広尾エリアに出ます。西麻布の東側には複合施設の「六本木ヒルズ」(六本木6丁目) があり、北東側には「国立新美術館」(六本木7丁目) があります。そして、北西側には「根津美術館」(南青山6丁目)、北側には「青山霊園」(南青山2丁目)があります。
高級住宅街として知られている「麻布エリア」は、港区の北東部。西麻布のほか、東麻布、麻布十番、南麻布、元麻布などを包括していて、「西麻布」は麻布エリアの西側。西麻布に駅はありませんが、西麻布交差点周辺には知る人ぞ知る飲食店が数多く集まっていて、夜も賑わいがあります。
西麻布の「最寄り駅」
知名度の高い「西麻布」ですが、「西麻布」という駅はありません。最寄り駅は、エリア東側にある東京メトロ日比谷線と都営地下鉄大江戸線の通る「六本木駅」や、南側にある日比谷線の「広尾駅」、北東側にある東京メトロ千代田線の「乃木坂駅」、南東側にある大江戸線と東京メトロ南北線の「麻布十番駅」です。西麻布の交差点から六本木駅や乃木坂駅までは徒歩で10分程度、麻布十番駅までは20分くらいかかります。そして、六本木通りを西側に歩いて行くと30分程度で「渋谷駅」に到着します。車なら10分程度の距離です。六本木駅から「品川駅」へ行く場合は、日比谷線の恵比寿駅でJR山手線に乗り換えて約20分です。
西麻布の「地図」
西麻布の「歴史」と「由来」
なぜ高級住宅街に? 西麻布の「歴史」
江戸時代、この辺りは大名屋敷が点在する場所でした。現在の六本木ヒルズがある辺りには「長府藩毛利家上屋敷」が、青山霊園の辺りには「美濃国郡上藩青山家下屋敷」がありました。現在の青山霊園は、上の錦絵の右側にある「青山大膳亮」と書かれた辺りです。
また、現在の西麻布1丁目~3丁目辺りにあったのが「白河藩阿部家下屋敷」です。この場所は明治5(1872)年から「麻布霞(かすみ)町」と呼ばれていました。この名前は隣町にある霞山稲荷(現在の桜田神社)に由来しています。麻布霞町には三井家の子弟のための寮「時習舎」がありました。現在は「麻布霞町」という地名は残っていませんが、マンション名などのブランドネームとして使用されています。
また、上の錦絵の下中央に描かれている「長谷寺(ちょうこくじ)」は西麻布2丁目に現存しているお寺です。このお寺の南西側の「丹南藩(たんなんはん)高木家下屋敷」は、現在の「根津美術館」周辺です。「根津美術館」は、明治期には東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎氏の私邸があった場所で、根津氏が収集した日本と東洋の古美術品コレクションが展示されています。
上の錦絵にある長谷寺に沿って流れている川は「笄(こうがい)川」といいます。笄川は大正時代に埋め立てられ、現在は暗渠となっています。この川に架かっていた「笄橋」は平安時代の皇族・源経基や、江戸時代に白金村の名主となった白金長者にまつわる伝説があります。そんな理由からか、小さい橋ながらも有名で、下のように江戸の絵入りの地誌「江戸名所図会」にも掲載されています。
笄橋の「笄」という文字は、付近の小学校や公園の名前としても残されています。
「麻布霞町」と呼ばれていた高台の大名屋敷跡は、明治維新後は寺社地などを除いて畑になり、のちに、その地割が維持されたまま住宅地となり、現在の超高級住宅街へと発展していきました。
西麻布の「由来」
江戸時代、西麻布周辺には武家地や寺地などがたくさん集まっていました。明治に入ると東京府麻布区が設置され、この辺りは霞町や笄町、桜田町、三軒家町と呼ばれるようになります。「麻布」とは、この辺りが麻の産地であり、その麻を使った織物も盛んであったことから生じた地名であるといわれています。
1943(昭和18)年、東京都制施行により東京都麻布区となりました。そして、昭和22年に芝区・赤坂区と合併して東京都港区ができ、麻布区はなくなります。このときに、町名の頭に「麻布」と冠が付き、「麻布霞町」や「麻布笄町」などと呼ばれるようになりました。
昭和42年に住居表示が行われると、「麻布霞町」と「麻布笄町」の大部分に、「麻布材木町」や「麻布桜田町」、「麻布三軒家町」、「赤坂青山南町」、「赤坂青山高樹町」などの各一部を合わせて「西麻布」が誕生しました。
住みやすさは?西麻布の「魅力」
■1: 休日に楽しめる文化施設が多くあります
先に紹介した「根津美術館」のほかにも、六本木7丁目には「国立新美術館」があります。ガラス張りの美しい建物は、建築家・黒川紀章氏によるもの。生前に完成した最後の美術館として知られます。 ちなみに、「根津美術館」の設計は、建築家・隈研吾氏です。
■2: 最新のショップが揃う複合施設が複数ある、注目度の高いエリアです
西麻布から徒歩圏内で行くことができる「六本木ヒルズ」や「東京ミッドタウン」(赤坂9丁目)、「麻布台ヒルズ」(麻布台1丁目)などの高層ビルには、人気のレストランやカフェ、アパレルショップ、雑貨店などが集結しています。これらのビルには薬局やスーパーマーケット、医療施設なども揃っています。「夜」のイメージが強い西麻布ですが、新しい商業施設も次々と誕生しており、街の姿もどんどん変化していくことでしょう。
■3:西麻布には名店が集まっています
西麻布周辺は和食のレストラン「西麻布野口」(西麻布1丁目)や、紹介制のダイニング「NoCode」(西麻布2丁目)など、大通り沿いから路地裏まで、名立たるレストランが集結していることも魅力です。その歴史は古く、西麻布の通称「地中海通り」に1982年にオープンした「ひらまつ亭」が、現在は南麻布5丁目でフランス料理を提供する人気店「レストラン ひらまつ 広尾」です。上の写真の「龍土軒」(西麻布1丁目)は1900年に創業したという歴史のあるフランス料理店です。
■4: 交通の便がよいエリアです
六本木通り沿いには、首都高速3号渋谷線や高速都心環状線が通っています。西麻布エリアには渋谷線の出入り口の「高樹町」があり、アクセスもとてもよい場所です。渋谷や新宿、品川までは車で15分程度、羽田空港は40分、成田国際空港は90分程度。楽々と遠出ができます。
■5: 開発が進み、不動産価値が下がりにくいエリアです
港区の物件は東京都内で人気が高く、西麻布の近隣にある「南麻布」などは、国土交通省による「令和4年地価公示 標準地価格高順位一覧表(住宅地)」において10位以内に複数ランクインしています。また、麻布台には「麻布台ヒルズ」が完成し、麻布エリアは注目度の高いエリアです。西麻布でも大規模な開発が進んでいます。
西麻布4丁目の六本木通りに近いエリアには高級マンションなどが現在も建設中です。六本木ヒルズの目の前の西麻布3丁目も再開発が進められています。ここには、ファミリー層をターゲットにした住宅施設や商業施設、高級ホテルなどが入った複合施設ができる予定。
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港区西麻布エリアは駅から離れていて、著名人などが集まる隠れ家的なレストランが数多く集まる「夜の街」というイメージでしたが、路地に入った高台には閑静な住宅地が広がり落ち着いた雰囲気がありました。再開発が行われており、工事中のビルも複数あり、未来が楽しみなエリアです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- AC,柳堀栄子
- WRITING :
- 柳堀栄子