毎年3月、東京・表参道が緑色に染まる日があるのをご存じですか? 緑の帽子や洋服を身につけた人々によるパレードは、日本で30年以上の歴史をもつ「聖パトリックの祝日」を祝うイベントなのです。実は「ハロウィン」と同じく、アイルランド発祥の祝祭なんですよ。今回は「聖パトリックの祝日」を深掘り。その由来や歴史、日本でのイベント情報をご紹介します。
【目次】
【「聖パトリックの祝日」で知ってる?「基礎知識」】
■「聖パトリックの祝日」って何?「意味」
「聖パトリックの祝日」は、キリスト教カトリック教会の祭日であり、アイルランド共和国のナショナルデー(国の記念日)です。5世紀にアイルランドにキリスト教を布教したアイルランドの守護聖人、聖パトリックの命日にちなんだ祝祭で、本国アイルランドで1200年以上にわたって祝われているほか、アイルランド移民の多い国や地域でも、盛大な行事が開催されています。アメリカでも260年以上の歴史があり、近年ではアイルランドの文化を理解し楽しむ祭りとして世界各地に広がりつつあるようです。
■「いつ」?
3月17日です。日本では「聖パトリックの祝日」あるいは「セント・パトリックス・デー」と呼ばれています。〔パトリック〕は英語読みで、ラテン語読みでは〔パトリキウス〕、ケルト語に起源をもつアイルランド語では〔ポーリク〕など発音されているようです。
■聖パトリックの功績とは?「起源」
聖パトリックはアイルランドの守護聖人であり、アイルランドを象徴する人物のひとりです。4世紀末にウェールズのケルト系クリスチャンの両親の元に生まれた彼は、若いころにアイルランドの海賊にさらわれ、奴隷として苦しい時期を過ごしたという経験をもちます。神の啓示を受け、脱走した後にヨーロッパ大陸に渡り神学を学ぶと、「自分を虐待したアイルランド人にキリスト教を伝道する使命を与えられた」と語りアイルランドに渡りました。キリスト教の布教に努め、アイルランド各地に教会や修道院を建設し、多くの人々にキリスト教を広めたと伝えられています。
【「聖パトリックデー」にはなぜ「緑」?】
「聖パトリックデー」のシンボルカラーは「緑」ですが、その理由は諸説あります。美しい緑の風景にちなみ、アイルランドが「エメラルドの島」と呼ばれていることに由来するという説、かつて聖パトリックが三位一体を説いた際、手に〔シャムロック〕と呼ばれる三つ葉のクローバーをもっていたことに由来するという説、などが有名です。
【「聖パトリックの祝日」には何をする?】
■「現地アイルランド」の様子
何世紀も前から、アイルランドでは聖パトリックを祝う伝統行事がありましたが、イギリスからの独立後、正式な国の祭礼日として徐々に大規模化し、現在ではアイルランドの全域で「聖パトリックデー」のイベントが盛大に催されています。例えば、アイルランドの首都ダブリンでは、数日間に渡ってフェスティバルやパレードが行われます。かつては宗教的な色彩の濃い厳かな祝日だったようですが、現在ではクリスマスやハロウィン同様、誰もが楽しめるお祭りとなっています。
三つ葉のクローバー〔シャムロック〕はアイルランドの国花です。「シンボルカラーである緑色の物を身につけていると幸せになれる」という言い伝えから、人々は緑の服を着てミサに行き、緑の食べ物を食べ、緑のビール(アイルランドですから、当然「ギネスビール」です)を飲むのが習わし。街中に緑の旗やペインティングが施され、街は緑色1色に染まります。そのため、この日は別名「緑の日」とも呼ばれていますよ。
■世界の「聖パトリックデー」
アイルランドだけではなく、アイルランド移民の多い国や地域では、「聖パトリックデー」を祝うイベントが開催されています。例えばアメリカでは、東海岸地域、特にニューヨークやボストンなどといった大都市を中心に大規模なイベントが定着しています。シカゴでは、川を塗料で緑色に染め上げるのが有名。また、ボストンの野球チームであるボストンレッドソックスは、この日ばかりはチームカラーである赤を脱ぎ捨て、緑色のユニフォームとキャップを使用することも知られています。ニューヨークやダブリンに次ぐ大規模なイベントが開催されるのが、イギリスのバーミンガム。ニュージーランド・オークランドではスカイタワーが緑に変わり、オーストラリア・シドニーのオペラハウスのイルミネーションも緑に変更されますよ。アイルランドを象徴する緑をまとうことで、世界各国のアイルランド人が、心をひとつにするのでしょう。
【「日本」では?】
日本では、アイリッシュ・ネットワーク・ジャパンによって、毎年「セント・パトリックス・デー・パレード」が開催されています。実は、東京・表参道で開催される『セントパトリックスデーパレード東京』は、アジアでの中で最も長い歴史を持ち、最大規模を誇るイベント。毎年、明るく活気に満ちたパレードの参加者たちが、数千人の観客を楽しませています。2024年は3月17日(日)13時から。そのほか40以上のパレード、イベント、グリーニングが、東京、横浜をはじめ日本各地で開催される予定です。
2024年のセント・パトリックス・デー関連イベントスケジュール
3月3日(日)
10時30分~、14時~:海外文化体験 in ふくろい第2弾「一緒にアイリッシュダンスを踊ってみませんか」(静岡県袋井市)
12時~、14時~:セント・パトリックス・デー パレード in 岡山(岡山県岡山市)
3月9日(土)
14時~:第18回セントパトリックデーパレード横浜元町(神奈川県横浜市)
14時30分~:第18回セント・パトリックス・デイ・パレード熊本(熊本県熊本市)
3月10日(日)
14時~:大阪セントパトリックデーパレードと交流会(大阪府大阪市)
10時~:アイリッシュ・フェスティバル in Matsue 2024(島根県松江市)
3月16日(土)
18時30分~:第28回エメラルドボール~チャリティ晩餐会~ (東京都目黒区)
アイルランドフェスティバル2024 in いわてまち(岩手県岩手郡岩手町)
12時~:St. Patrick's Day in Kobe 2024 アイルランドフェスティバル(兵庫県神戸市)
3月17日(日)
13時~:第29回 セントパトリックスデーパレード東京(表参道)
18時30分~21時30分:セント・パトリックスデー・ケーリー(東京都世田谷区)
11時~:St. Patrick’s Day in HIROSHIMA 2024(広島県広島市)
13時~15時:セント・パトリックス・デー パレード in 福岡(福岡県福岡市)
3月24日(日)
13時~:第9回セントパトリックス・ディ・パレード海浜幕張2024(千葉県千葉市)
13時~15時:セントパトリックデーパレード松本(長野県松本市)
14時~:ふくいパトリックスデー 2024(福井県福井市)
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「聖パトリックデー」は「みどりの日」とも呼ばれるアイルランド共和国の祝祭日です。日本各地でもこの日を祝い、さまざまなイベントが開催されます。パレードの中には、スマートで美しい長毛の赤毛がトレードマークのアイリッシュ・セターの姿も。あなたも何か緑のアイテムを身につけて、参加してみてはいかがでしょう。東京、札幌、遠軽、山梨、名古屋、京都などでもイベントを予定しています。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:デジタル大辞泉』(小学館)/PRTIMES「2024年、日本で行われるセント・パトリックス・デー関連イベント」(アイルランド大使館2024年2月7日)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000017681.html :