今年創業250周年を迎え、春から毎月のように珠玉の新作を発表している「ブレゲ」。これまでは男性的なモデルのリリースが続きましたが、いよいよ待望のレディスモデルが登場しました! 長い間『クイーン・オブ・ネイプルズ』としてメゾンのエレガンスを体現してきた名品が、『レーヌ・ドゥ・ナープル』とフランス語読みに変わり、2モデルの新作でさらなる美の進化を果たしました。
創業250周年を祝う「ブレゲゴールド」の2モデル
独創的なエッグシェイプのケースがアイコニックな、『クイーン・オブ・ネイプルズ』改め『レーヌ・ドゥ・ナープル』。その着想源は、1810年から1812年にかけてナポリ王妃であるカロリーヌ・ミュラのために、初代ブレゲが制作した時計。そのことから人々から「王妃の時計」と呼ばれ、憧憬を集めてきました。
これまでも毎年のように異なるアプローチでエレガントなエッグシェイプを彩り、新たな魅力を開花させ続けてきた名品ウォッチですが、創業250周年という特別な年である今年は、既存のモデルの色や素材違いではなく、全く新しい2モデルを同時にリリース! 月相を表示する「ムーンフェイズ」を備えた『レーヌ・ドゥ・ナープル 9935』と、時分表示のみのシンプルな『レーヌ・ドゥ・ナープル 8925』です。
いずれのモデルも、ケースやブレスレットに、250周年を記念して発表された独自の「ブレゲゴールド」を採用。
「ブレゲゴールド」は、初代ブレゲにならい、18世紀の時計職人が使用していたゴールドからインスピレーションを得たそう。メゾンのマニュファクチュールで考案・開発された「ブレゲゴールド」は、ゴールドが75%、ほかには、シルバー、コッパー、パラジウムが配合されており、その独特な色味と輝きだけでなく、耐変色性にも長けているのが特徴です。
それでは1モデルずつ、それぞれの魅力をご紹介していきましょう。
大きめなムーンフェイズが印象的な『レーヌ・ドゥ・ナープル 9935』
文字盤の上部にあしらわれた大きめの「ムーンフェイズ」が印象的な『レーヌ・ドゥ・ナープル 9935』。これまでもムーンフェイズ搭載モデルを展開してきた『レーヌ・ドゥ・ナープル』ですが、今回はムーブメントの動力残量を示す「パワーリザーブ」を引き算して、より「ムーンフェイズ」の存在感を際立たせました。
また、中心をずらして配置された「オフセンター」の時刻表示では、立体的な植字の「ブレゲ数字」インデックスの間にペアシェイプのダイヤモンドによる6個のインデックスが配され、これもコレクション初の意匠になります。
また、ケースバックにも数々の特別なエレガンスが散りばめられています。
サファイアクリスタル越しに鑑賞できるムーブメントのおよそ半分を占める半月形の「ローター」という部品には、このモデルのために生み出された「プチ・トリアノン」模様のギョウシェ彫りが施されています。また、クローズドの「ブレゲゴールド」部分にも、サファイアクリスタルの窓に沿うように、「ケ・ド・ロルロージュ」模様のギヨシェ彫りが。いずれも熟練の職人の手作業で、ひとつひとつ丹念に仕上げられています。
完璧な美を追求してやまない「ブレゲ」のエレガンスと矜持は、通常は人の目に触れない部分にも確かに息づいているのです。
シンプルな分フォルムの美しさが際立つ『レーヌ・ドゥ・ナープル 8925』
18世紀末から、デザインの基本法則の中心に「明快さ」と「視認性」を置いてきた初代ブレゲの理念へのオマージュといえるのが、時分表示のみを備える『レーヌ・ドゥ・ナープル 8925』。シンプルな分、『レーヌ・ドゥ・ナープル 9935』よりも小ぶりなケースと新デザインのブレスレットが流麗に響き合い、よりジュエリーウォッチとしてのエレガンスを色濃く漂わせます。
ブレスレットモデルのみの展開となる『レーヌ・ドゥ・ナープル 8925』ですが、文字盤の素材、カラーによって全く異なる表情に!
これまでにない表現に挑んだのは、文字盤にも「ブレゲゴールド」を採用したモデル。つまり、時計全体のほぼすべてが「ブレゲゴールド」の輝きに満ち溢れ、随所にあしらわれたダイヤモンドと壮麗な対比を見せます。
対照的に、「コントラスト」をテーマにしたダークな文字盤のモデルは、ミステリアスで官能的な印象。時刻を表示する部分は、繊細なギョウシェ装飾を施したゴールドにブラックラッカーを施し、その上部のブラック・アベンチュリンと美しく呼応します。
また、ホワイト・マザー・オブ・パールを用いたモデルは、より「王妃の時計」のイメージに近いノーブルな雰囲気。時刻表示部分には、ギョウシェ彫りで「ケ・ド・ロルロージュ」模様をサークル状に施し、ゴールドの「ブレゲ数字」インデックスの輝きをより強く印象づけます。
ケースバックの基本的なデザインは『レーヌ・ドゥ・ナープル 9935』と同様、下部のサファイアクリスタル部分から美しい仕上げのムーブメントを目で楽しむことができます。
創業250年を記念した『レーヌ・ドゥ・ナープル』2モデルですが、ほかにも特別感漂わせる「初めて」のディテールがあります。それはケースとブレスレットを繋ぐ6時位置下の「センターラグ」という球体のパーツに施されたスノーセッティングダイヤモンド。
さまざまな大きさのダイヤモンドを隙間なく滑らかにセッティングする非常に高度な宝飾技術で、このことからも、早くから女性のための時計を手がけてきた「ブレゲ」の歴史を伺い知ることができます。
1775年にフランス・パリで創業した「ブレゲ」。フランス語読みに名を変え、さらなるエレガンスをまとった『レーヌ・ドゥ・ナープル』は、美しく気高く、名品伝説を刻み続けます。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- TEXT :
- 岡村佳代さん 時計&ジュエリージャーナリスト

















