大地から湧く名湯で疲労を回復し、心尽くしの料理に舌鼓を打つ…。温泉旅行といえば、その時期にしか味わえない季節ならではごちそうもお楽しみです。そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、春の味覚を満喫できる温泉宿をピックアップしてもらいました。

今回ご紹介するのは、宮城県・蔵王町にある「温泉山荘だいこんの花」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

蔵王で採れた山菜尽くしのコース料理に感動!

標高330メートルの高原に湧く宮城蔵王の・遠刈田(とおがった)温泉。今回ご紹介する「温泉山荘だいこんの花」は、約1万坪の自然林の中に離れの18室が点在し、おこもり旅行にぴったりです。自家菜園や地元で採れた新鮮な食材を使った料理の評判もよく、春は生命力に満ちた滋味に富む料理が食卓を彩ります。

「温泉山荘だいこんの花」の外観
広大な自然林の中に佇む「温泉山荘だいこんの花」。

「まず印象に残っているのは、『山菜の食べ比べ』。蔵王でその日に採れた数種類の山菜が小皿に少しずつ盛り付けられているのが見た目にも美しく、みずみずしい食感や爽やかな香りがたまりません。付け合わせにも旬のホタルイカが使われており、まさしく春満載のメニューで気分が上がります」(植竹さん)

山菜の食べ比べ
山菜の食べ比べ。特製ソースが春の味覚のおいしさを引き立てる。

「また、蔵王の手作りソーセージと春野菜を煮込んだスープ煮や、シメの筍ご飯も絶品。素材のよさもさることながら、ソースや出汁がその魅力を引き立てているようで、おいしく・美しく・ヘルシーという三拍子揃ったごちそうに大満足です」(植竹さん)

※メニューは月替わりの献立です。詳しくは公式ホームページでご確認ください。

春採り新野菜のスープ煮
「春採り新野菜のスープ煮」は春の名物料理。
彩り鮮やかな春のごちそうに舌鼓!
彩り鮮やかな春のごちそうに舌鼓!

「また、食事だけでなくラウンジのサービスも充実しています。ラウンジではソフトドリンクやビールの提供があるほか、夜食のサービスもあり、私が訪問したときのメニューはゆでたまごと蒸しパンでした。蒸しパンは、蒸し器で蒸したての熱々の状態で食べられるというこだわりぶりで、こうしたきめ細やかな対応にも、宿のおもてなし精神が現れていると思います」(植竹さん)

湯上り処「小とりサロン」
湯上り処「小とりサロン」ではコーヒーや紅茶、アイスキャンディなどの提供がある。
野生のリス
「小とりサロン」の窓辺に、野生の小鳥やリスが姿を現すことも。

蔵王の自然に囲まれた自家源泉露天風呂にも癒される

「温泉山荘だいこんの花」では、豊かな自然と一体になれる自家源泉かけ流しの湯も自慢です。

貸切露天風呂「朝かぜ」
貸切露天風呂「朝かぜ」。

「広大な敷地内に貸切露天風呂が4か所あります。予約制ではなく、先客がいなければ自由に入ることができ、“使用中”の札をかけるというスタイルです。もともと客室数が少ないこともあり、貸切露天風呂が混み合うことはありませんが、もし訪れた先が“使用中”だったとしたら、別の湯処へ向かいます。宿が森の中にあるので、新録を眺めながら散歩するのも気分爽快です」(植竹さん)

「温泉山荘だいこんの花」の敷地内
森林浴しながらの湯巡りでリフレッシュ。

「泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉。三大美人の湯泉質のうち、炭酸水素塩泉と硫酸塩泉の成分を含むことから、美肌効果も期待できます。

炭酸水素塩泉は、皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流すクレンジング作用があるとされ、肌がつるつるなめらかに。硫酸塩泉は、保湿効果が期待でき、しっとりふくら肌に近づきます。さらに、天然の保湿成分のメタケイ酸や、洗浄作用がありニキビ対策への効果が期待できるメタホウ酸も豊富。まるでオールインワンジェルのような贅沢な湯で、お肌もご機嫌になりました!」(植竹さん)

貸切露天風呂「雪待ち」「通り雨」「星の林」
貸切露天風呂「雪待ち」「通り雨」「星の林」。さまざまな角度から宮城蔵王の自然を味わい尽くせる。

まるで別荘のよう!居心地のよい客室で心身ともにリフレッシュ

客室は、それぞれ趣が異なる設え。広さは39平米~56平米で、18室中14室は露天風呂付きです。

客室「杉」の露天風呂と茶室
客室「杉」の露天風呂と茶室。

一番大きな露天風呂を備えているのは、「杉」の部屋。手足を伸ばして入浴できるゆとりのある大きさで、プライベートな空間で思う存分リラックスできます。また、リビングベッドルームの奥に茶室のような小部屋があるのもユニーク。

客室「おぼろ月」の露天風呂
客室「おぼろ月」の露天風呂。

「おぼろ月」は、湯船の一部がテラスからせり出すような造り。まるで森に浮かぶような自然との一体感を味わいながら湯浴みするという非日常体験を叶えられます。室内はすべて畳敷きですが、寝室にはシモンズのベッドを採用。ゆっくりと時間の流れる居心地のよい空間で、疲れやストレスを浄化するのに最適です。

客室「おぼろ月」の寝室
客室「おぼろ月」の寝室。

その他のゲストルームも部屋ごとの風情があり、どれを選ぶか迷ってしまうほど。一度足を運べば何度でも訪問したくなる人も少なくないようです。

客室「もみじ」のサンルーム
客室「もみじ」は大きな窓から心地よい風が吹き込む開放的な造り。

以上、「温泉山荘だいこんの花」をご紹介しました。蔵王の自然のなかで、春の美食と美肌の湯に癒されたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)