「不文律」は、なんとなくわかっているけれど自信をもって説明できない単語のひとつではありませんか? “大人の語彙力”を強化するには、曖昧にしている言葉を正しく理解することが大切です。さくっと解説していきます。

【目次】

「我が家の不文律」とは言うけれど、「私の不文律」とは言いません。
「我が家の不文律」とは言うけれど、「私の不文律」とは言いません。

【「不文律」とは?基礎知識】

■読み方

「不文律」は「ふぶんりつ」と読みます。「ふもんりつ」でも「ぶぶんりつ」でもありません。

■意味

「不文律」とは慣習法や判例法など、成文化されていないものの、成文法に準ずる効力をもつ規則や習慣のこと。簡単に言うと文章で表現されていない決まりごとのこと。また、お互いに黙っていても承知している決まりごとを指します。「不文」には、文章や文字に書き表していないことという意味があり、「律」は行動を秩序づけるための掟、定めのことです。

ビジネスでは、契約書などで文章化されてはいないけれど、以前からの慣習や業界内の決まりごとなど、「守らなくてはいけない」と周知されているルールを指します。


【「不文律」はどう使う?「例文」6選】

■1:「担当者が変わるたび不文律が一新されるのでは効率が悪すぎるよ」

■2:「スポーツ界での不文律のひとつは、野球の始球式でのバッターの空振りだ」

■3:「我が家の不文律では、ゴミ出しとお風呂掃除は夫が担う」

■4:「悪しき不文律は改めなくてはいけない」

■5:「業界の不文律を破る、センセーショナルな出来事だった」

■6:「社会経験のない新入社員が、会社や部署の不文律を理解することは容易ではない」

■7:「たとえ不文でも、倫理というものをなくしてはならない」

■8:「簡潔で短い手紙だが、不文の愛情がこもっていた」

7と8は「不文」(文章や文字に書き表していないという意味)を使用した例文です。


【「類語」「言い換え」「対義語」など関連語】

■類語

・不文法:判例法・慣習法など、明確に文章に定められていない法。

・慣習: ある社会で古くから受け継がれてきている生活上の習わし、しきたりのこと。

・掟(おきて):守るべきものとしてすでに定められている事柄。その社会の定め、決まり。

■言い換え表現

・暗黙の了解:口には出さないけれど、お互い承知済みのルールや決まりを言います。

・言葉にせずとも守られる約束

■対義語

・成文律:一定の手続きに従って制定され、文章で明らかにされている法。法律、条例、条約などのこと。制定法・成文法。


【「英語」で言うと?】

「不文律」は[unwritten law][unwritten rules]と言います。

・unwritten law between husband and wife(夫婦間の不文律)

・I don't have the courage to break the unwritten rules in my department.(私には部内の不文律を破る勇気はない)

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「暗黙の了解」とも似た「不文律」は、推し量ったり空気を読むことが得意な日本人らしさの表れかもしれません。とはいえ、ビジネスでは行き違いや勘違い、そして「言った、言わない」を防ぐため、文章化しておくことをおすすめします。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) :