日常を離れて向き合う本から、感性と好奇心がフレッシュに刺激される【あの人が「旅に連れていく本」】
自由に過ごせるヴァカンスでは、好きな本を読み耽ることを楽しみにする人も多いもの。次の旅や最近訪れた旅…など、旅先に連れていく相棒本をうかがいました。
「オペラを楽しむために北イタリアへの旅を計画中。訪問先にちなんだ本を用意して行きます」金塚彩乃さん(弁護士)
この夏は、ヴェローナでオペラ『アイーダ』を観るために、北イタリアへの旅を予定。学生時代にオペラサークルに入っていたほどオペラ好きなので、名高い野外劇場、アレーナでの観劇は念願。その日程に合わせ、フランスに寄りながらイタリアに入り、夫と運転をして、各地を巡ろうと計画をしています。
旅行に必ず持って行くのが、その土地の歴史や文化に関係のある本。ゲーテの『イタリア紀行』は、かつての文豪がイタリアを巡った旅行記ですが、彼が訪れた町をどのように見ていたか、その町が200年前はどのような感じだったかなど、読むことで何層にもその場を理解でき、感じられるのが魅力です。そのほかオペラに関する本やイタリアの人々を綴ったエッセイなどを選んでいます。
この4冊に、実はさらに加えるつもり。荷物は増えますが、日頃は仕事に関連した法律の本が中心なので、ヴァカンスで好きな本の世界に浸れるのは大きな喜びなのです。フライト中やホテルでの朝の時間、観光をした後のディナーまでのひととき…などに、至福の読書タイムを味わいたいと思っています。
1.『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』著=ウンベルト・エーコ ジャン=クロード・カリエール 訳=工藤妙子 CCCメディアハウス¥3,080
「青と銀の装丁が美しいこの本は、親友から誕生日に贈られました。イタリア人のウンベルト・エーコが対談者と共に、紙の書物の未来について語り合う知識の広さと奥深さに感嘆します。改めて読むために持参します」
2.『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』著=内田洋子 文春文庫¥935
「大好きな内田洋子さんの作品。本の行商で生計を立てていた北イタリアの小さな村、モンテレッジォの知られざる歴史を、作者と一緒に発見していくような気持ちになれる一冊。この村にも足を運べたら、と検討中です」
3.『イタリアの都市とオペラ』著=福尾芳昭 水曜社¥3,080
「オペラと関係の深いイタリアの主要都市が挙げられ、そこに縁のある著名な曲や、歴史、伝説など、詳しく紹介されています。今回訪れるヴェローナやフェラーラも含まれているので、鑑賞や街歩きの参考にぴったりです」
4.『イタリア紀行(上)』著=ゲーテ 訳=鈴木芳子 光文社古典新訳文庫 ¥1,782
「イタリアに行くたびに持って行く本です。一昨年前、ローマを旅行した際もガイドブックと共に持ち歩きました。今回、訪れる北イタリアについて書かれているのが、この上巻。ゲーテが回った足どりをたどりたい」
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- PHOTO :
- 小池紀行(CASK)
- EDIT&WRITING :
- 長瀬裕起子、遠藤智子(Precious)
- 撮影協力 :
- Getty Images