6月の記念日のひとつ、「傘の日」は6月11日。なぜでしょう? 語呂合わせ…ではなさそうですね。今回は「傘の日」について、誰が制定したのか、その由来は?を深掘り! 傘にまつわる雑学もご紹介します。

【目次】

傘の日の由来は?ヒントは…「入梅」です。
傘の日の由来は?ヒントは…「入梅」です。

【6月11日は「傘の日」。なぜ?いつから?「由来」】

■「傘の日」は「誰が」「いつ」決めたの?

「傘の日」は、日本洋傘振興協議会(Japan Umbrella Promotion Association = JUPA)が、1989(平成元)年に制定した記念日です。日本洋傘振興協議会は、1963(昭和38)年3月に全国の洋傘製造業者有志により設立された団体。洋傘の品質向上と安全性の確立はもとより、ファッショントレンドの研究や機能性の向上を追求し、高付加価値製品の開発に貢献しています。

■なぜ「傘の日」は6月11日なの?「由来」は?

「傘の日」の日付は「入梅(にゅうばい)」に由来します。6月11日は暦の上で「梅雨の時期に入る日」を意味する「入梅」にあたる日。この日を「傘の日」と定め、日本洋傘振興協議会では毎年、ファッション性や機能性など、傘のもつ多様な魅力の紹介に努めています。実は暦上の「入梅」の日付は固定しているわけではなく、現在では太陽黄経80度の日(6月11日ごろ)となっています。「立春」や「夏至」などと同様、国立天文台が毎年2月初めに「翌年の暦」として発表しています。ちなみに、2024年の暦上の「入梅」は6月10日です。


【ビジネス雑談に役立つ「傘の日」と「傘」の雑学 8選】

■1:洋傘は和傘とどう違う?

中国から(和)傘が日本に伝えられたのは、平安時代前後。仏教やお茶、漢字などと一緒に入ってきたといわれています。広く一般に使われ出したのは江戸時代中期以降。江戸の浮世絵にも傘を差している町人の姿が多く見られますね。明治時代に洋傘が輸入され、西洋化に伴い普及すると、和傘は急速に衰退してしまいました。洋傘と和傘の大きな違いは、まず材料です。洋傘が通常ビニールやポリエステル、スチールなどの人工素材であるのに対し、和傘は和紙、竹、木などの自然素材が主材料。また、洋傘は骨数が通常8本であるのに対し、和傘は30本~70本と非常に多いのが特徴です。開いたときのシルエットにも違いがあり、洋傘は丸みを帯びて深いアールを描きますが、和傘はすっきりシャープに、末広がりに広がります。

■2:日本に初めて洋傘が入ってきたのはいつ?

日本で最古の洋傘の記録は、江戸後期の1804(文化元年)年、長崎に入港した中国からの唐船の舶載品目の中にあった「黄どんす傘一本」との記述。安土桃山時代に堺の商人が豊臣秀吉に傘を献上した記録など、これ以前にも洋傘が海外から日本に持ち込まれた形跡はありますが、はっきり洋傘だと断定できるのは、この「黄どんす傘」が初めてです。

■3:洋傘の輸入はいつ始まった?

洋傘の本格的な輸入が始まったのは1859(安政6)年。米・英・露・独など計6か国と締結された日米修好通商条約が発効され、イギリス商人の手によって国内に持ち込まれました。ここから洋傘の輸入が始まりましたが、江戸時代において洋傘は、いわゆる舶来品であり高嶺の花。一部の武士や医師、洋学者たちが使用していた程度で、庶民には手の届かない代物でした。普及するようになったのは、時代が明治へと変わる頃。輸入本数も目に見えて増え、文明開化の波と供に洋傘は一気に市民の手に渡り始めます。そして鹿鳴館時代を経て、ついに国産洋傘が誕生することになるのです。

■4:鹿鳴館が国産洋傘誕生に関係してたって知ってる?

洋傘の国産化が実現したのは、1889〜92(明治22〜25)年ごろといわれています。当時は豪華絢爛な欧風文化が花開いた鹿鳴館時代。 1883(明治16)年に政府の欧化政策の一環として落成した公設の社交場・鹿鳴館の影響は大きく、上流階級のみならず、広く一般の人々にまで欧風の文化が広まる一因になりました。こうした時代の流れを追い風に、洋傘の普及は一段と加速し、国産化の時代へと突入していったのです。

■5:「正しい傘の使い方」を知ってる?

傘は、その1本1本が40から50個のパーツからできています。「丈夫であることが当たり前」と思われがちなアイテムですが、実は非常にデリケートなものでもあるのです。もちろんメーカーも使いやすさと耐久性の向上については十分に研究し、製品に反映させていますが、長持ちさせるためには丁寧に扱ってあげることが重要です。以下にNG行為をご紹介します。日頃、何気なくやっていませんか?

NG1:無理やり傘を開こうとする……生地が絡んで骨が折れたり、傘全体に負担がかかったりする原因に。
NG2:傘を振り回す……遠心力がかかり、傘全体に過剰が負荷がかかる。
NG3:ハンドクリームや日やけ止めがついた手で傘を持つ……クリームによってハンドルが色落ちしてしまうことも。
NG4:使用後に強く水切りする……傘全体に負担がかかる。
NG5:傘を車中に放置する……骨が錆びたり、熱で曲がってしまうことも。
NG6:傘を濡れたままにする……骨がさびたり、生地が傷んだりするので、使用後は必ず陰干しを。

■「晴雨兼用傘」の定義は?

紫外線からお肌を守り、急な雨に対応可能な「晴雨(せいう)兼用傘」は、すっかりお馴染みとなったアイテムです。実は「晴雨兼用傘」は、分類としては「パラソル(日傘)」に入り、「撥水加工を施した日傘」を指します。最近では、本来はパラソルの機能がメインであり、繊細な生地が使用されているものも多いので、雨傘に比べると 撥水・防水効果は低め。本格的な雨のシーズンは雨傘のご使用を。

■「遮熱・遮光マーク」って知ってる?

日本洋傘振興協議会では、2012年から遮熱加工を施した生地に関して、遮熱指数の試験を実施し、指数35以上をクリアしたものに対して、品質ラベルに「遮熱・遮光マーク」を表示しています。遮熱加工はないものの、遮光率が99%以上の生地を使用した商品を「遮光傘」、99.99%以上の生地を使用したものを1級遮光傘と呼び、一部の商品を除き、「遮光マーク」が表示されています。

■「折りたたみ傘の日」って?

 「折りたたみ傘の日」は、3月16日です。岐阜県関市に本社を置き、産業機械用部品の製造販売と供に、海外の優れた商品の輸入販売などを手掛ける株式会社 イマオコーポレーションにより制定されました。この会社の輸入商品のひとつにドイツのハンス・ハウプト氏が世界で初めて発明、特許を取得して「Knirps(クニルプス)」と名付けた折りたたみ傘があります。記念日を通じて、折りたたみ傘がドイツ発祥であり「Knirps(クニルプス)」は折りたたみ傘の代名詞であることを、より多くの人に知ってもらうのが目的です。日付はハンス・ハウプト氏が特許を取得した日、1928年3月16日にちなみます。

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江戸時代に描かれた浮世絵に見られるように、歌舞伎や日本舞踊には和傘が巧みに取り入れられ、古くから傘は単なる実用品としてだけではなく、装いにアクセントを加えるファッションアイテムとして親しまれてきました。素材からデザイン、そして機能まで、さまざな洋傘が手に入る今、改めておしゃれの小道具としての傘を見直してみるのもいいですね。「夜目遠目笠の内(よめとおめかさのうち)」なんて言葉もありますが、自分を最高に魅力的に見せてくれる一本を見つけたいものです。

この記事の執筆者
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参考資料:/『デジタル大辞泉 プラス』(小学館) /JUPA日本洋傘振興協議会(https://www.jupa.gr.jp/pages/about_jupa) /一般社団法人日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp) :
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