『Precious』20年の人気企画でひも解く「かっこいいのにかわいい」は創刊年からのテーマでした!

創刊当時から、凛として「かっこいい」大人の女性像を目指しながらも、どこかに「かわいさ」や「幸福感」を感じさせるおしゃれを提案し続けてきた『Precious』の20年を振り返り、変わらぬエレガンスの条件を探ります。

雑誌『Precious』の過去記事
 

1.『Precious』2004年12月号(撮影/中込一賀):創刊年にはすでに、かっこいい黒だけでなく、「かわいい黒」を意識した特集が。
2.『Precious』2005年6月号 (撮影/浅井佳代子):創刊から1年後、いよいよ「かっこいいのにかわいい」というフレーズが決定打に。
3.『Precious』2017年4月号(撮影/熊澤 透):女性誌でよく使われる「大人かわいい」という言葉も、リアル・ラグジュアリーを求める本誌ではさらに趣を増して。
4.『Precious』2016年1月号(撮影/石倉和夫):モデルの熊沢千絵さんの気品溢れるかわいい笑顔は「幸せオーラ」の象徴。

クールに着こなしても滲み出る上品な甘さは「エレガンスの基本」

『Precious』が歩んできた20年の歴史を振り返ると、エレガンスの基本にはいつも、「女性が幸福であるべき」という考えがありました。

創刊当時、モード界ではスーパーモデル時代が終わり、モデルたちは無表情にツンと澄まして歩き、ラグジュアリーブランドもストリートの影響を受けて次なる時代へ、変革に手探りの状態。そんななかで、美しいものを自分らしく楽しみたいという目の肥えた大人の女性たちの日常に寄り添う、リアルなラグジュアリーをどう伝えていくのかが、『Precious』の課題でした。

女性像を考えるにあたって参考にしたのは、どんなシーンでもブレない知的なスタイルを貫きながら、上品で幸福な甘さが滲み出るジャクリーン・ケネディや、アナ・ウィンターなど、キャリア女性が憧れるファッションアイコンたち。

ただ、若年層向けの女性誌で活躍していた日本のモデルたちが、背伸びをすることなく、ラグジュアリーを堂々と着こなすために、撮影では笑顔を封印したことも! 当初はできるだけクールな表情で、かっこいい女性像を探っていました。

ところが豊かさをまとうのに、幸福感を後回しにはできないと気付き、大人の “甘さ” こそ魅力と考えて、笑顔も復活。半年後には「かっこいい」と「かわいい」が両立した企画が登場するのです。

【Anna Wintour】アナ・ウィンターのブレないコンサバぶりに働く女性読者たちが注目!

アナ・ウィンターを掲載した雑誌『Precious』の過去記事
 

1.『Precious』2005年4月号:ワンパターンでも新鮮なアナスタイルに注目。
2.『Precious』2010年3月号​:その名も「春の わっ、かわいい! 流行図鑑」特集。映画『ファッションが教えてくれること』でフロントローを飾る姿が。
3.『Precious』2020年2月号:肩掛けカーディガンも定番。

アナ・ウィンター
(C)Getty Images

きれい色のツイードドレスはキャリアのお手本。

【Jacqueline Kennedy Onassis】永遠のベーシックジャッキースタイルこそ大人の甘さの象徴!

雑誌『Precious』の過去記事
 

1.『Precious』2007年10月号(撮影/唐澤光也):早くからジャッキーのマチュアな甘さに着目。
2.『Precious』2016年1月号(撮影/唐澤光也):ジャッキー特集はすっかり『Precious』の人気企画に。

ジャクリーン・ケネディ・オナシス
(C)Getty Images

都会でもリゾートでもサングラスとスカーフで華やぐ。

人気アイテムと彩りで検証!流行を超えて生かされてきた「絶妙な甘辛バランス」

創刊から20年の間に、「ニューフェミニン」や「ノームコア」といった流行を経て、ラグジュアリーはシンプルなリラックス感を伴うように変化してきました。同時に、『Precious』の表現もかわいい笑顔の魅力に頼らなくとも、気負うことなく、自然にゆとりのある雰囲気が醸し出されるように進化しています。

昨年、急浮上した「クワイエット・ラグジュアリー」は、まさに『Precious』が提案してきたシンプル・ラグジュアリーに近いと、共感した方も多いと思います。ただそれはあくまで “トレンド”。創刊以来ずっと貫いてきた「エレガンスを生きる」という揺るぎない “姿勢” があるからこそ、どんな流行にも自分らしく向き合えるしなやかさを身につけてきたのです。

読者はもとより、編集部や撮影スタッフにも甘口派と辛口派がいて、20年の時代の変遷のなか、そのどちらに偏ることなく、絶妙な甘辛バランスをとってきました。

流行にかかわらず、常に “推し続ける” 最愛のカラーやアイテムがあるのも『Precious』の特徴ですが、そのいずれにも「成熟した甘さ」のさじ加減が発揮されてきたのです。例えば「白シャツ」。シンプルな白シャツをいかに女らしく見せるかという課題から始まり、今では逆に、白シャツはかわいいアイテムを引き締めるモードな存在に。

またフェミニンな「スカート」は、最も流行を反映するもの。甘い膝丈スカートから、旬のボリュームシルエットまで、常にエレガンスを基軸に厳選してきました。

アナ・ウィンターの例もあるように、凛として上品な迫力が生まれる「ワンピース」も定番企画。シャープなデイタイムから、優雅なドレスアップまで振れ幅が大きいほど、女性は魅力的に。

白、黒、ベージュ、グレージュといった最愛のベーシックカラーに加えて、春を心待ちにしながら、毎年のように3月号に登場するのが「大人のピンク」。そういえば創刊号の小雪さんのページも、ピンクで始まりました。

凛とした大人の女性が見せるチャーミングなアティチュード。『Precious』のエレガンスには、やはり女性たち幸福なオーラが似合うのです。

【White Shirt】凛とした白シャツもチャーミングに着こなして品格ある甘さを表現!

雑誌『Precious』の過去記事
 

1.『Precious』2007年10月号(撮影/浅井佳代子):白シャツ一枚でも、艶やかなパールでシンプルに大人の甘さを表現。
2.『Precious』2011年3月号(撮影/浅井佳代子):モデルの藤井敦子さんは創刊当時からその清潔感溢れるキュートさで、『Precious』の “甘口派” おしゃれの旗手に。
3.『Precious』2015年5月号( 撮影/水田 学):白シャツをサーキュラースカートで華のあるシルエットに仕上げて。

【Pink】幸福オーラ溢れる洗練された大人ピンクを迷うことなく取り入れて

雑誌『Precious』の過去記事
 

1.『Precious』2013年3月号(撮影/浅井佳代子):撮影時のネイルカラーが上品で控えめなピンクベージュ一択だった頃も。
2.『Precious』2018年3月号(撮影/小林幹幸):「春待ちピンク」と題して、コクのあるピンクが人気だった年も。
3.『Precious』2008年3月号(撮影/熊澤 透):例年のように3月号ではピンクのページを企画。「春色」を集めた企画のなかでも、ピンクのオーラは特別。
4.『Precious』2021年3月号(撮影/岡本充男):最近では大政絢さんが凛として柔らかなピンクをモードにまとって。

【Skirt】「大人かわいい」のベースはスカート。シルエットは時代の気分に寄り添って

雑誌『Precious』の過去記事
 

1.『Precious』2005年4月号(撮影/増田勝行):膝丈スカートに低めヒールを合わせる甘さが新鮮だった。
2.『Precious』2011年7月号(撮影/水田 学):タイトスカートが主流の時代はふんわりブラウスで甘さを。
3.『Precious』2014年7月号(撮影/浅井佳代子):風をはらむプリーツがボリューム時代の到来を告げて。
4.『Precious』2018年3月号(撮影/生田昌士):夏の黒チュールスカートに白スニーカーでかわいい抜け感を。
5.『Precious』2022年5月号(撮影/生田昌士):ワントーンでマキシ丈スカートを提案したのは2年前。今も素敵!

【Dress】オンからオフ、ドレスアップまで着映えワンピースで叶えるかわいいインパクト

雑誌『Precious』の過去記事
 

1.『Precious』2008年1月号(撮影/NAOKI):ワンピースの美人力を1週間コーディネートで検証。
2.『Precious』2010年7月号(撮影/浅井佳代子):夏にはワンピースにウェッジソールを合わせる提案を。一枚で勝負するワンピースだからこそ、足元のインパクトや、トレンド感が重要。
3.『Precious』2023年7月号(撮影/生田昌士):昨夏はワンピースで特集を組み、オンタイムの知的なデザインから、クチュール並みのロングドレスまで一堂に!

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PHOTO :
(C)Getty Images
EDIT&WRITING :
藤田由美、喜多容子(Precious)