四六時中」と聞いて、サザンオールスターズの「真夏の果実」の歌詞を思い浮かべた人は多いかもしれません。では、どうして 「四六時中」が「いつも」という意味になるのか、ご存じですか? 今回は「四六時中」という四字熟語の意味や由来、その使い方から英語表現までを、さくっと解説します!

【目次】

四六時中とは?ヒント。四則演算を使っています。
四六時中とは…?ヒント。四則演算を使っています。

【「四六時中」とは?「読み方」や「意味」「由来」】

「読み方」

「四六時中」は「しろくじちゅう」と読みます。

■「意味」 

「四六時中」は「一日中」、あるいは「いつも」という意味です。この「いつも」は、「ふだん」という意味ではなく、「数日間にわたって、昼も夜もいつも」「常に」という意味の「いつも」です。

■「由来」

実は「四六」は、かけ算の「四×六」を意味しています。「4×6=24」、で「24時間」。だから「一日中」「いつも」ということになるのですね! 


【「使い方」がわかる例文3選】

「四六時中」の「いつも」は、「数日間にわたって、昼も夜もいつも」「常に」という意味なのですが、それがよくわかる例文をご紹介しましょう。

■1:「イベント開催期間中は、実行委員のスタッフと四六時中、顔を突き合わせている」

■2:「彼はここのところ四六時中、スマートフォンの着信を気にしていて、仕事にまったく集中できていないように見える」

■3:「資料室の入り口には監視カメラがあり、四六時中、入室者の有無を管理している」

3つの例文で「四六時中」が「数日間にわたり、いつも」を意味していることがおわかりいただけると思います。また、例文3は文字通り24時間体制で途切れがありませんが、例文1や2のように、「断続的であっても数日間続けて非常に頻繁に」という意味で使われることも多いですね。


【「二六時中」とは?四六時中との「違い」】

「四六時中」に似た四字熟語に「二六時中」があります。この「二六時中」は、「四六時中」とまったく同じ意味で使われます。日本では、1872(明治5)年に、国の暦が太陰太陽暦から太陽暦に改暦される以前は、1日を12に分けて「(時)刻」を表していました。昼が6刻、夜が6刻で、1日は12刻だったのです。この12刻に十二支を当てはめた「丑の刻」「子の刻」「丑三つ時」などの表現は、時代劇などで聞いたことがありますよね。このように、1日を12に分けていたから、「二×六」で「十二」。ここから「いつも」「一日中」という意味になったのです。「四六時中」は、暦が太陽暦になったあとに、日本で生まれた四字熟語です。


【「類語」「言い換え」表現】

「四六時中」同様、「いつも」という意味をもつ言葉を、いくつかご紹介しましょう。さっと思いつくだけでも、たくさんありますね。

■同じような意味の四字熟語

・常住坐臥(じょうじゅうざが)
「座っているときも横になっているときも」から、「日常的にいつも」という意味に。もともとは仏教の経典でよく使われる「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」や「常住不変(じょうじゅうふへん)」「常住不滅」といった言葉が混じり合って生まれたとされています。ただし、「常住坐臥」自体は、仏教の経典での使用例はありません。

■言い換え表現

・常時:いつも

・常々:普段。いつも

・始終:たえず

・しょっちゅう:いつも。始終

・絶えず:(途切れず)いつも。休みなく

・寝ても覚めても:寝ている時も起きているときも。いつも

・年がら年中:一年中、いつも。うんざりするほどいつもその状態が繰り返される様子

・明けても暮れても:いつでも。毎日毎日。同じことが毎日続くさま


【「英語」で言うと?】

「いつも」という意味の「四六時中」は、[all the time]または[day and night]、[twenty-four hours a day]あるいは[always]などで表現できます。

・She plays with her smartphone all the time.(彼女は四六時中,スマホをいじっている)

・He is always grumbling.(彼は四六時中、何かぶつぶつ言っている)

また、[24-7 (読み方はtwenty four seven)]という表現を使うと、「いつも」をより強調した表現となります。[24-7]は、「1日24時間・週7日ずっと」という意味の[twenty-four hours a day, seven days a week ]を短縮したフレーズです。

You play with your smartphone 24-7. (四六時中、スマホいじってるよね)

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「四六時中」は、江戸時代に使われていた「二六時中(2×6=12)」を、新しい時代に合わせてアレンジした言葉です。江戸時代には、このように算数を使って「しゃれ」を意識した、言葉遊びがたくさんあったようです。例えば櫛などを販売する小間物屋さんは、「く(9)+し(4)=13」だから「十三屋(じゅうさんや)」、1合12文でお酒を飲めるお店は「二六(にろく)屋」と呼ばれていたとか。「四六時中」と言えば「24時間働けますか?」という印象的なキャッチコピーで、バブル期の象徴とも言われていた栄養ドリンク「リゲイン」の主力品の出荷が、2024年4月に終了したそうです。「働き方」への意識改革は、こんなところにも表れているのですね! ビジネス雑談の話題にぜひ使ってみて下さい。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) /『四字熟語ときあかし辞典』(研究社) :