7月10日は「納豆の日」。理由は…おわかりですよね? 全国納豆協同組合連合会(納豆連)によると、業務用を含めた2023年の納豆市場の規模は前年から約8.3%増の2695億円。自然健康食品として世界中の注目を集める納豆の売り上げは、金額・数量ベースともに上昇中です。今回のテーマは「納豆の日」。記念日の経緯や由来の他、納豆にまつわる雑学をご紹介。くすっと笑えるトリビアとして、お役立てください!

【目次】

最初は関西限定の記念日でした。
最初は関西限定の記念日でした。

【7月10日は「納豆の日」って知ってる?】

■「納豆の日」は「いつ」「誰が」決めたの?

「納豆の日」は1981年、当時、納豆を食べる習慣が定着していなかった関西地方での納豆の消費拡大を目指し、関西納豆工業協同組合が記念日として制定しました。その後、1992年に改めて全国納豆工業協同組合連合会(現在の全国納豆協同組合連合会)が制定し、全国的な記念日となりました。

■「納豆の日」はなぜ7月10日?

答えはおわかりですよね?…「710(なっとう)」の語呂合わせから日付が決められました。


【「納豆の日」に行われるイベントは?】

■納豆のまち・水戸(茨城県)ではさまざまなイベントが!

納豆の起源の伝承として、平安時代の後期に起こった戦(いくさ)、「後三年の役(1083年)」のとき、武将 源義家が奥州に向かう途中で水戸市渡里町の豪族 一盛長者の屋敷に泊まった折、馬の飼料につくった煮豆の残りを藁で包んでおいたところ、煮豆が自然に発酵し、納豆ができたといわれています。その後、水戸では納豆が盛んにつくられ、1889(明治22)年、小山―水戸間の鉄道開通に合わせ、駅前広場で売り出されました。それがきっかけで評判となり、「小粒大豆」による納豆が、水戸名物としての知名度を高めていきました。水戸では、7月10日の「納豆の日」に合わせた「納豆ウィーク」として、イオンモール水戸内原などの会場でさまざまなイベント等を実施します。

■「納豆イベント」は銀座でも!

東京銀座にある茨城県のアンテナショップ「IBARAKI sense」内の「BARA dining」(東京都中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1F)では、7月10日「納豆の日」に、PRイベント「粘り強さ・オブ・ザ・イヤー2024」が開催されます。フェアの開催にあたり、“納豆の粘り”にかけて、芸能界で粘り強く活躍するダンディ坂野さんとスギちゃんを「粘り強さ・オブ・ザ・イヤー2024」に選出し、表彰。納豆に関するトークセッションやダンディ坂野さんVSスギちゃんによる「納豆まぜまぜ対決」も行われます。さらに、コラボ商品として 「IBARAKI sense」で取り扱いのある納豆の中からダンディ坂野さん、スギちゃんがそれぞれ選んだ「推し納豆」のセレクトセットの限定販売もあります。


【ビジネス雑談に役立つ「納豆」にまつわる雑学8選】

■最初に納豆を食べた人は?

実は、日本人がいつごろから納豆を食べていたのかははっきりしません。しかし、中国大陸から稲の栽培法が伝来した、縄文時代の終わりごろには、既に「納豆のようなもの」が出現していたという説もあり、古い時代から親しまれてきた食品であることは間違いありません。 縄文時代は、今から1万2000年前から2300年ほど前まで、ほぼ1万年間も続いています。当時の人々が暮らしていた竪穴式住居には稲藁(いなわら)が敷かれ、食べ物などを入れる容器としても使われるなど、稲藁は生活に密接に関わるものでした。実は日本産の稲藁1本には、ほぼ1,000万個の納豆菌が、胞子の状態で付着しており、ワラを束ねて「苞」という容器をつくり、その中に煮豆を詰めておけば、煮豆からネバネバと糸を引く可能性が高くなるのです。竪穴住居には一種の“発酵室”のような性格もあり、しかも、稲藁を敷く生活ですから、条件的に図らずも納豆ができる、という可能性は、極めて高かったわけです。

■日本以外にも納豆はあるの?

中国には、北京語で「豆」(タチオ)と呼ばれる、塩辛納豆や寺納豆(後述)に似た食べ物があります。黒色で、匂いは味噌風を基本に、アンモニヤ臭のあるもの、ないもの…と千差万別です。そのほか、アジア諸国にはさまざまな大豆を加工した食べ物がありますが、ネパールの「キネマ」やインドの「バーリュ」などが、味も香りも糸ひき納豆に近いと言われています。

■西日本で納豆を食べない人が多かったのは、なぜ?

納豆を好んで食べるのは、東京、茨城、福島、宮城など関東以北。現在では西日本でも食べられるようになりましたが、消費量は関東以北に及びません。これには、納豆の製造法が関係しています。納豆は煮豆を藁に包んで、糸が引くまで適度に保温してつくります。こうした作業は雪の深い米作地帯で多く行われ、魚・野菜などに代わるタンパク源となっていました。納豆は製造にあまりコストがかからず、身体に必要な栄養が豊富にあることが体験的に知られていたため、関東以北の広い地域で製造され好んで食べられたのです。一方、気候が温暖で、瀬戸内海などから魚がいつでも手に入る西日本ではわざわざ納豆をつくる必要がなかったのです。それが現在でも「あまり納豆を食べない」要因になっているようです。

■納豆の名前の由来は?

「納豆」という名前の由来は諸説あります。そのひとつは、寺の納所(なっしょ=台所)でつくられたことに由来するとした説。肉食が禁じられていたお坊さんたちにとって、納豆は非常に重要なタンパク源でした。納所で大豆を原料につくるから「納豆」。実にシンプルなネーミングですね! そのほか、煮豆を神棚に備えたところ、しめ縄に付着していた納豆菌のはたらきで納豆になったことから、「神に納めた豆⇒納豆」という説もあります。

■納豆は朝食べるといいってホント?

私たちの体は寝ている間、脳や体のエネルギーが消耗し、目覚めたころには余力が少なくなっています。脳のエネルギー源となるのは、ブドウ糖だけ。そのため、朝ごはんとしての炭水化物が重要なのです。朝の食事の場合、米とパンとでは、タンパク質などの栄養面では米に軍配が。しかも、米には記憶力をよくするうえで欠かせないレシチンも含まれています。日本人は江戸時代以来、朝ごはんに納豆をかけて食べる習慣をつくってきましたが、頭脳力を高める上では、非常に有効なメニューです。特に注目なのが、卵入りの納豆かけごはんです。鶏卵、納豆、米飯には、脳をいきいきさせる成分であるレシチンがたっぷりと含まれ、脳の栄養学からも理想的な朝ごはんと言えます。人間は加齢により脳の中の神経伝達物質が減少していきますが、これが記憶力低下の一因。脳の若返りをはかるためにも、卵入り納豆かけごはんの朝食は、きわめて効果的な食事法です。

■糸を引かない納豆もあるってほんと? 

納豆には、お馴染みのネバネバした糸をひく「糸引き納豆」と、糸を引かない「寺納豆」があります。「寺納豆」とは、唐から渡来し発達した発酵食品。唐納豆、塩辛納豆、浜納豆とも呼ばれ、京都の大徳寺納豆や、浜松の浜納豆などが有名です。「寺納豆」は、大豆を煮て炒り麦をまぶし、2~3日カビを繁殖させてから発酵させ、塩、香料、調味料などを加えて乾燥させます。そのままお茶うけとして食べたり、調味料としても使われます。

■ひきわり納豆と普通の納豆の違いは?

私たちがよく口にする「糸引き納豆」は、「丸大豆納豆」と「五斗納豆」、そして「ひきわり納豆」の3つに分けることができます。「丸大豆納豆」は、大豆を丸ごと煮て納豆菌で発酵させた、いちばんポピュラーな納豆です。「五斗納豆」は、山形県米沢地方の郷土食。挽き割り納豆に、麹や塩を混ぜて樽に仕込み熟成させます。そして最後の「ひきわり納豆」ですが…「ひきわり納豆って、普通の納豆を細かく砕いたものでしょ?」と思っている人も多いのですが、実はこのふたつは製造工程に違いがあります。大豆をまるごと煮る「丸大豆納豆」に対して、「ひきわり納豆」は大豆を煎って粗く砕き、表皮を取り除いてから煮るのが特徴。青森、秋田、岩手などで、江戸時代以前からつくられていました。粒状の「丸大豆納豆」は、豆のふっくらとした食感や歯応えを楽しむことができる一方、「ひきわり納豆」はうまみの元となる成分が多いため、うまみを強く感じるといわれています。

■「糸引き納豆の日」もあるって知ってた?

「糸引き納豆の日」は1月10日です。こちらも「納豆の日」同様、全国納豆協同組合連合会が制定し、日本記念日協会によって認定・登録されています。大豆を納豆菌により発酵させた糸引き納豆は、健康効果や美容美肌効果などが得られるとされ、日本を代表する食品のひとつ。日付は1と10で糸引きの糸(いと)の語呂合わせに由来します。また、この時期は受験の時期にあたるため、糸引き納豆の特徴であるその粘り強さで合格を祈念するという意味もあるそうです。

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「最初に納豆を食べた人って勇者だなぁ」と考えたことはありませんか? 縄文時代、人間の主食はクリやトチ、クルミ、ドングリなどのナッツ系と、アワやヒエといった雑穀、そしてヤマイモやナガイモ、サトイモなどのイモ類であったと考えられています。ヤマイモのトロロ汁同様、ネバネバがうま味となっているのが、大豆発酵食品の納豆です。ヤマイモをすりおろし、生で食べるような食体験を重ねていた縄文人であれば、糸を引く豆も、それほど抵抗なく食べることができたのかもしれませんね!

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館) 全国納豆協同組合連合会 納豆PRセンターHP(https://natto.or.jp/index.php) タカラフーズHP(https://www.takanofoods.co.jp) 茨城県(https://www.pref.ibaraki.jp/somu/hodo/hodo/pressrelease/hodohappyoushiryou/2203/documents/240628puromo.pdf) :