6月から真夏日があったり、梅雨入りも梅雨明けもなんだかピンとこない近年では、いつからが本格的な夏なのか判然としませんね。けれど、街中やテレビなどで「土用の丑の日はうなぎで暑気払い」といったキーワードを見聞きすると「おー!夏本番だなぁ」と感じる人も多いのでは? さて、この「土用」と「丑の日」、意味を知っていますか? また、どうして「うなぎ」を食べるのでしょう。 今回は今年、2024年の「夏の土用の丑の日」が7月24日であることにちなんで、「土用の丑の日」にまつわる雑学をご紹介します。
【目次】
【「土用の丑の日」はいつ?基礎知識】
■読み方
「土用の丑の日」は「どよう-の-うし-の-ひ」と読みます。
■「土用」の意味
「土用」は暦の雑節(季節を示す目印)のひとつ。中国では、陰陽道の五行説の分類基準である「木」「火」「土」「金」「水」を「春」「夏」「秋」「冬」の四季それぞれに「春=木」「夏=火」「秋=金」「冬=水」とあてたうえで、各季の終盤の18日程度を「土」とする考えがあります。これこの「度」の時期を「土用」というののです。日本では、「夏の土用」が有名ですが、「春の土用」「秋の土用」「冬の土用」もあるのです。
■「丑の日」の意味
「丑の日」とは、十二支の「丑」にあたる日のこと。一般的に「土用の丑の日」と言ったら夏のものを指します。「夏の土用の丑の日」は、その年によって多少ずれますが、おおよそ7月20日前後から8月5日前後の約18日間を言います。
■2024年の「土用の丑の日」はいつ?
約18日間の土用の期間中、12日に一度の「丑の日」は1回か2回訪れます。2024年の「夏の土用の丑の日」は2回で、一の丑が7月24日(水)、二の丑が8月5日(月)です。「土用の丑の日にはうなぎを食べよう」という宣伝文句が有名ですが、うなぎの消費量を考えると「夏の土用の丑の日」が2回ある年のほうが、うなぎ関係者にはありがたいでしょう。ちなみに、この先、2025年は7月19日と7月31日の2回、2026年は7月26日の1回、2027年は7月21日と8月2日の2回、「夏の土用の丑の日」がやってきます。
【なぜ「土用の丑の日」にうなぎを食べる?】
夏の「土用の丑の日」には、夏バテ予防にうなぎなど脂肪の多いものを食べるとよいとされています。『万葉集』には大伴家持がうなぎのことを「夏痩に良しといふ物そ」と詠んだ句が。すでに奈良時代にはうなぎの栄養価は認められていたということですね。
■うなぎ以外にはこんなものも
夏の土用の丑の日には、頭に「う」のつく食べ物、例えば梅干しやうりなどを食べるのもよいとされています。「うなぎ」は栄養価が高く、梅干しは塩分補給に、きゅうりやゴーヤ、スイカなどのウリ科の野菜は体の熱を取り水分補給になります。つまり、とても理に適っているのです。ほかにも、消化の良いうどん、鉄分やカルシウムが豊富などじょう汁なども、土用の丑の日に食べるとよい「う」の付く料理とされています。また、江戸時代のころから、土用の丑の日に「土用餅」と呼ばれるあんころ餅を食べる風習もあります。小豆の赤い色には古くから厄除けの力があるとされているため、暑さでバテやすい夏の時期、無病息災を願って食べるのだとか。
【ビジネス雑談に役立つ「土用の丑の日」の豆知識】
■長野県の「寒(かん)の土用の丑の日」って?
長野県の諏訪湖のほとりにある岡谷市は、うなぎの漁獲量が多い地域。冬季もうなぎの消費量を増やそうと、冬の土用の丑の日を「寒の土用丑の日」として商標登録し、うなぎの普及活動を行っています。うなぎは、ビタミンA群・B群を豊富に含み、夏バテや食欲減退防止の効果も期待されますが、実は晩秋から初冬にかけてが旬だと知っていますか? 「寒の土用の丑の日」のほうが、おいしさでは勝っているかもしれませんね。
■「土用の丑の日=うなぎ」は平賀源内の仕込みだった!
「土用の丑の日」にうなぎを食べることが広まったのは、江戸時代の中期にマルチプロデューサでもあった蘭学者の平賀源内の発案によるものという説が。夏季に売上が伸びず困っていたうなぎ屋から相談された平賀源内が、その店主に“本日、土用丑の日”と書いた紙をお店の前や中に貼るよう提案。さっそく試してみたところ、たちまち店は大繁盛。これが風習として広まったというのです。
■購入したうなぎのかば焼きのおいしい食べ方
さて、スーパーマーケットなどで購入したうなぎのかば焼きのおいしい食べ方をご紹介しましょう。オーブントースターやフライパンで温め直す場合、クシャクシャにして広げたアルミホイルに皮面を下にして載せます。そうすることでアルミホイルとうなぎの皮の接着面が少なくなり、アルミホイルに皮がくっつくのを防げます。たれが付属されている場合は、うなぎのかば焼きを流水でやさしく洗い、ペーパータオルなどで水けを取ったあと、たれを塗り直してから温めるとおいしいのだとか。
■日本産と外国産のうなぎの違い
養殖うなぎのなかでも、日本産と、中国や韓国などの外国産では価格が大きく違います。実は日本産も外国産も種類は“ニホンウナギ”。なので、うなぎそのものの質に大きな違いはありません。中国や韓国では、自然の池で養殖されるのがポピュラーですが、日本では衛生品質管理された養殖場で育てるため、ボイラーの光熱費なども大きくかかり、それが価格に反映されているのです。
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この記事を読んだらうなぎが食べたくなった…のではないでしょうか。養殖うなぎでも、年々気軽に食べられる価格ではなくなっていますが、やはり「土用の丑の日」には食べたいですね!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『世界大百科事典』(平凡社)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『デジタル大辞泉』(小学館) :