今年の夏も、各地で気温35度以上の猛暑日が続いています。なかでも、7月23日は全国的に大変な暑さに見舞われ、例年は涼しいはずの北海道の11か所で観測史上1位の気温を記録しました。この日に最も暑かったのは、京都府福知山と福島県伊達町の38.7度でした。
日本で「暑い地域」というと、沖縄を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は、沖縄が気温35度以上の猛暑日になることは珍しいのです。
「日本最高気温の日」は「いつ」「どこで」記録されているのでしょうか。ほかにも、「日本でいちばん涼しい場所」はどこ?、「熱中症警戒アラート」って何? など、最高気温にまつわる話題をお届けします。
【目次】
【2025年現在の「日本最高気温の日」は?何度?】
■2025年(7月31日現在)、いちばん暑かった日は「いつ」「どこ」で「何度」?
「日本でいちばん暑い日」が観測されたのは、2020年8月17日の静岡県浜松市と、2018年7月23日に観測された埼玉県熊谷市が、「41.1度」で同率1位でした。が、昨日7月30日、兵庫県丹波市で、41.2度を観測。今季初めての国内40度越えであり、国内の観測史上最高気温が更新されました。
【最高気温「歴代全国ランキング」】
気象庁では、観測地点における観測史上1位の値を使い、「歴代全国ランキング」を発表しています。最新のデータをご紹介します。
同率1位の静岡県浜松市と埼玉県熊谷市に続く3位には、昨年7月29日観測の栃木県佐野のほか、3か所がランクイン。気象庁HPに掲載されているトップ20までのすべてが40度超え! 人によっては体温を5度以上も上回る、すさまじい暑さとなっています。
順位 都道府県 地点 観測値(気温) 日付
1 静岡県 浜松 * 41.1 2020年8月17日
1 埼玉県 熊谷 * 41.1 2018年7月23日
3 栃木県 佐野 41.0 2024年7月29日
3 岐阜県 美濃 41.0 2018年8月8日
3 岐阜県 金山 41.0 2018年8月6日
3 高知県 江川崎 41.0 2013年8月12日
7 静岡県 天竜 40.9 2020年8月16日
7 岐阜県 多治見 40.9 2007年8月16日
9 新潟県 中条 40.8 2018年8月23日
9 東京都 青梅 40.8 2018年7月23日
9 山形県 山形 * 40.8 1933年7月25日
12 山梨県 甲府 * 40.7 2013年8月10日
13 新潟県 寺泊 40.6 2019年8月15日
13 和歌山県 かつらぎ 40.6 1994年8月8日
15 群馬県 桐生 40.5 2020年8月11日
15 群馬県 伊勢崎 40.5 2020年8月11日
15 山梨県 勝沼 40.5 2013年8月10日
18 三重県 桑名 40.4 2024年8月9日
18 新潟県 三条 40.4 2020年9月3日
18 山形県 鼠ケ関 40.4 2019年8月15日
18 埼玉県 越谷 40.4 2007年8月16日
注)観測所には、気象台のほか、気象台と同様の観測装置を使う測候所、気象観測所、特別地域気象観測所とアメダスの2種類があります。*印の地点は特別地域気象観測所です。
【「最高気温」にまつわる雑学7選】
■1:「猛暑日、真夏日、夏日」は気温何度のこと?
最高気温が35度以上の日を「猛暑日」、30度以上の日を「真夏日」、25度以上の日を「夏日」といいます。ここ数年では、「7月から8月に真夏日なのは普通」といった感覚になりつつありますね。ちなみに、0度未満の日は「真冬日」です。
■2:熱帯夜ってどんな夜?
「熱帯夜」の定義は、「夕方から翌日の朝までの最低気温が25度以上になる夜」です。
■3:観測史上「最も暑い夏」はいつ?
気象庁によると、2024年の日本の夏の平均気温は、平年より1.76度上回り、2023年夏から2年連続で「最も暑い夏」と記録されました。これで、1898年の統計開始からの記録を塗り替えたことになります。今年は、さらに記録を更新しそうな勢いの暑さが続いていますね。
■4:沖縄の「過去最高気温」は?
沖縄の新聞『琉球新報』によれば、2024年7月19日、那覇市で気温36度を観測。これは、沖縄では観測史上における最高気温。同日に西表島でも35.9度を記録し、こちらも統計開始から最も高い気温となりました。さらに、“最高気温35度以上の「猛暑日」”が3日続くという、沖縄では珍しい事態になりました。
沖縄の皆さんは大変だったことが想像できますが、全国的に見ると意外と暑くないように感じるのではないでしょうか。
気象庁のデータによると、沖縄県石垣島の史上最高気温は、2024年7月18日に観測した30.4度。これは、「夏の最高気温」が低い順の全国ランキングでは、新潟県や鳥取県に次いで7位に入っています。もはや「一年を通して温暖だけれど、夏に暑すぎないのが沖縄」なのかもしれません。
■5:日本でいちばん涼しい場所は?
「いちばん涼しい」の定義を「夏の最高気温が低い」と考えた場合、最も涼しい場所は、静岡県の富士山です。気象庁によると、2024年の富士山山頂の8月の最高気温は16.1度。平均気温で見ると、7月は8.4度、8月は11.2度でした。山麓が30度近い暑さであっても、五合目では15度前後、山頂は10度未満、夜間はさらに気温が下がります。
富士山に続いては、北海道の釧路地方、青森県、北海道の網走や北見、紋別地方、根室地方と、北海道の各地が続きます。
■6:新聞掲載の最高・最低気温と、気象庁発表の最高・最低気温が異なるのはなぜ?
気象状況によっては、1日の最高気温が夜間に観測されたり、最低気温が日中に観測されたりする場合もあります。しかし新聞では、例えば最高気温は15時まで、最低気温は9時までに観測された値を掲載するなど、各社で基準が異なり、気象庁が発表する「1日を通しての値」とは異なる場合があります。このため、新聞と気象庁発表の最高・最低気温が異なることもあるのです。
■7:「熱中症警戒アラート」って何?
最近、よく聞くようになった「熱中症警戒アラート」は、2024年から気象庁と環境省が運用を開始した警戒警報で、今年は4月23日から運用が始まりました。気温と湿度、日差しなどから算定した「暑さ指数」が33以上になると予想されると「熱中症警戒アラート」が発表されます。全国の58の予報区ごと、前日17時と当日5時頃に発表されることになっています。さらに、「暑さ指数」が35以上になると出されるのが「熱中症特別警戒アラート」です。この夏、4月24日から7月29日までに「熱中症警戒アラート」は、665回も発令されています!
「気候変動」って何?簡単に解説!
最後に、世界的に大きなトピックである「気候変動」についておさらいしましょう。「気候変動」とは、海洋の変動や火山の噴火によるエーロゾル(大気中の微粒子)の増加、太陽活動の変化といった自然要因のほか、人間活動による二酸化炭素などの温室効果ガスの増加や森林破壊などの人為的要因によって、さまざまな規模で気候が変動することです。
近年、人間の活動による温室効果ガスの増加などによって、地球全体の気温は上昇し続けています。現在、さまざまな対策が進められていますが、ある程度の気温の上昇は避けられないと予想されています。
気温の上昇によって、自然の生態系や私たちの社会に大きな影響が生じます。身近なところでは、大雨や短時間強雨が頻繁に発生したり、海面水位が上昇したり、台風が大規模化したり…などが挙げられます。気候変動を低減させるための社会全体での対応が急務となっています。
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8月も目前、皆さま夏の旅行のプランはお決まりでしょうか? 全国的に暑い今は、“意外と暑くない”沖縄へGO!という選択肢もアリかもしれません。とにかくも、日々、全国各地で最高気温が更新されています。暑さ対策、熱中症への警戒をどうぞ怠りなく!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:気象庁 https://www.jma.go.jp / 熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp / 熱中症ゼロへ https://www.netsuzero.jp / 朝日新聞 https://www.asahi.com / 琉球新報 https://ryukyushimpo.jp :