「遅疑逡巡している間にビジネスチャンスを逃してしまった…」「彼は熟考しているのだと言うけれど、遅疑逡巡しているとしか思えない」――ここで使われている「遅疑逡巡」の意味、なんとなくわかるでしょうか? 四字熟語はそれぞれの漢字がもつ意味を考えたり、二字熟語にばらしたりてみると「なるほど!」とわかることが多いものです。今回は「遅疑逡巡」について解説します。
【目次】
【「遅疑逡巡」の基礎知識】
■読み方
「遅疑逡巡」は「ちぎしゅんじゅん」と読みます。
■意味
「遅疑」は、「疑い迷ってすぐに決断しないこと」を表します。ぐずぐずためらっていること、というほうがわかりやすいですね。「逡巡」もほとんど同じような意味ですが、「尻込み」といった、恐れに近いニュアンスも。このように、意味を強調したいときに類語を重ねて使います。ということは、「遅疑逡巡」はめちゃくちゃ決断力がないことを示す四字熟語だということです。周りにいたらイラっとさせられるタイプの人かもしれませんね。
【「遅疑逡巡」の「対義語」は?「類語」は?】
■対義語
・即断即決(そくだんそっけつ):これも二字熟語の組み合わせです。「即断」も「即決」も、その場ですぐに判断したり決断したりすること。「即断即決」は、素早く決断することを表します。
・迅速果断(じんそくかだん):思い切りよく、すばやくものごとを行うこと。決断力があり、敏速なこと。また、そのさまを言います。
■類語
・狐疑逡巡(こぎしゅんじゅん):「狐(きつね)は疑い深い性質である」というところから(本当!?)、相手たものごとを執拗に疑うことをいいます。
・首鼠両端(しゅそりょうたん):「首鼠」とは、ネズミが穴から首を出して周りの様子をうかがっている様子を表し、どうすべきか決めかねていること、ぐずぐずして態度が決まらないことを言います。「両端」にも、「どちらか一方に決めなければいけないのに、どっちつかずの態度」という意味が。したがって「首鼠両端」は「遅疑逡巡」同様の意味というわけです。
【「遅疑逡巡」「遅疑」「逡巡」を使った「例文」10選】
■1:「ノリだけではプロの仕事と言えないが、遅疑逡巡するより勢いを大切にしたい」
■2:「遅疑逡巡なんて四字熟語でやんわり伝えるのではなく、決断力を鍛えるべきだとバシッと言うべきだ」
■3:「遅疑逡巡するばかりで、結局結論は先送りになった」
■4:「他人に迷惑をかけるとか、誰かを犠牲にしてしまうケースでは、遅疑逡巡してしまう」
■5:「長らく遅疑する様子だったが、ようやく決断にいたったようだ」
■6:「気兼ねして遅疑する必要はない」
■7:「転職すべきか否か逡巡している」
■8:「逡巡しているうちにチャンスを逃してしまった」
■9:「遅疑巡している時間はすでにないのだけれど…」
■10:「逡巡を巡らすという言い方はくどいので、逡巡するのほうがスマートだ」
【「遅疑」「逡巡」の「類語」「対義語」も!】
■「遅疑」の類語
・戸惑う ・惑う ・躊躇(ちゅうちょ) ・ためらう
■「遅疑」の対義語
・敢為(かんい):物事を困難に屈しないでやり通すこと。敢行。「敢為の精神」
・断行(だんこう):困難や反対を押しきって強い態度で実行すること。
■「逡巡」の類語
・先延ばし ・ぐずぐず ・尻込み ・ためらう ・渋る
■「逡巡」の対義語
・果断(かだん):物事を思いきって行うこと。決断力のあること。また、そのさま。
・決断(だんこう):困難や反対を押しきって強い態度で実行すること。
・即断(そくだん):その場ですぐに判断したり決断したりすること。
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今回のお題「遅疑逡巡」は使用頻度は高くないかもしれませんが、ビジネスパーソンとしては知っておきたい四字熟語でした!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『類語類例辞典』(小学館) :