連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介している連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、韓国でハングルを書で表現する「書芸」に携わり、書芸家、カリグラフィー作家として精力的に活動しているチェ・ルシアさんに注目! 筆と紙をコミュニケーションツールにして、ハングル書芸で世界の人と友情を築くルシアさんにお話しをうかがいました。

チェ・ルシアさん
書芸家
中学・高校時代からペン字クラブで文字に親しみ、大学1年生から本格的にハングル書芸を学び始める。伝統的な書芸を現代的に再解釈し、国内外でワークショップを開催。アーティストとして即興ダンスを取り入れた書芸パフォーマンスも精力的に行っている。'14年に『カリグラフィー3つの秘密』を出版。

【Seoul】筆と紙がコミュニケーションツール。ハングル書芸で世界の人と友情を築く

書芸家のチェ・ル シアさん
書芸家のチェ・ルシアさん

「みなさん驚かれるんです。ハングルにも書道があるの?って」

自身の作品の前に立ち、気さくな笑顔でそう語るルシアさん。韓国には、ハングルを書で表現する「書芸」というジャンルがある。日本でいえば、かな書道に似たものだ。ルシアさんは書芸家、カリグラフィー作家として精力的に活動し、焼酎『좋은데이(チョウンデイ)』のラベルをはじめ、多くの広告作品も手掛けてきた。また、ペ・ヨンジュン主演の映画『スキャンダル』では、劇中でチョン・ドヨンが文字を書く場面の代役も務めた。

「15年間、書道教室を運営していました。子供たちにハングル書芸と漢字を教えながら平穏に暮らしていたのですが、ふと、いろいろな国の人々とハングル書芸を通じて出会いたいと強く思うようになったんです」

きっかけは15年前、大阪に住む友人の出版記念会に参加したこと。年に一、二度、大阪、京都、奈良で、ハングル書芸を紹介する活動を始めた。以来、海外の友人に会いに旅をするたびに、「ハングル書芸を教えてほしい」というリクエストが増えていき、現在は日本、台湾、香港、シンガポール、オーストラリアなどでワークショップを行っている。

「書体や、子音と母音のバランスを説明し、一緒に筆を動かすことで、私自身もハングルの美しさと表現の幅広さを再認識しました」

呼吸に合わせてリズミカルに動く筆から次々と生み出されるハングルは、初めて見る人には意味がわからなくても、その美しさと軽やかさは、国を超え鮮やかに伝わってくる。

「あるがままに。変化の早い韓国社会で自然体で生きるのは難しいですが、国内外を問わず、たくさんの人とバランスのいいライフスタイルを共有したいですね。筆と紙が私のコミュニケーションツール。どこにでも行けます」

ハングル書芸を通じて、世界中の人々と美しい友情を築き、ハングルを世界の人々に伝える。書芸家としてのルシアさんの旅は続く。

◇チェ・ルシアさんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
インスタグラムをチェック。ストレッチをする。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「カッコいい」という言葉はうれしいです。
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
ただ、空、雲、木を見ながら過ごしたい。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
ハンドパンを習いたい。スイスで生まれた金属製の大きな打楽器で、とても幻想的な音色がします。CM出演もしてみたいです。
Q.10年後の自分は何をやっている?
旅行をしているでしょうね。そして、自分がやりたいと思うことをやり続けていると思います。
Q.自分を動物にたとえると?
猿。申年生まれなので。

関連記事

PHOTO :
Mio Matsuzawa
EDIT&WRITING :
剣持亜弥、喜多容子・木村 晶(Precious)
取材 :
Rumiko Ose