博多発祥といわれる「もつ鍋」。記念日があるのをご存じですか? 実は11月7日は「もつ鍋の日」なんです。 外食でも家庭でも、鍋料理がうれしい季節が到来! 今回はビジネス雑談や鍋を囲んでの食事の会話に役立つ、もつ鍋の雑学をお届けします。
【目次】
【なぜ?誰が?「もつ鍋の日」の基礎知識】
■11月7日は「もつ鍋の日」
2011(平成23)年に11月7日を「もつ鍋の日」と制定したのは、一般社団法人日本畜産副産物協会。日付は「いい(11)もつな(7)べ」という若干苦しげな語呂合わせと、11月7日は立冬であること多く、鍋料理が恋しくなる時期だから、というのが理由のようです。
また、もつを含む食肉を扱う株式会社丸協食産(長崎県)も、同様の理由で11月7日を「もつ鍋の日」として一般社団法人日本記念日協会に申請し、認定されています。
■7月13日は「もつ焼きの日」
ちなみに7月13日は、「な(7)い(1)ぞう(3)」と読んで、「もつ焼きの日」です。
【そもそも「もつ鍋」って?発祥や火付け役など「もつ鍋雑学」】
「もつ鍋」とは、牛や豚の内臓(もつ、ホルモン)を、たっぷりのキャベツやニラと共にスープで煮込んだ料理。その発祥やレシピ、ブームなどについて解説します。
■発祥は博多!
もつ鍋の起源は朝鮮料理ともいわれていますが、第二次世界大戦後の食糧難の時代に、福岡県福岡市で安価なもつとニラをアルミの鍋で炊いたのが発祥といわれています。スープはしょうゆ味で、もつ独特の臭みを和らげるためにニンニクを用いたのだとか。現在でも、土鍋ではなくアルミやステンレスの鍋で提供する店が多いようです。
■「もつ=内臓」だけれど…
もつは牛でも豚でもかまいませんが、豚もつは臭みが強く下処理が難しいため、牛もつを使用するのがおいしくつくるコツ! 専門店の多くが牛もつを使用しているようです。もつにもさまざまな部位がありますが、もつ鍋に使用されるのは、小腸、大腸、ハツ、センマイ、ギアラ、ハチノスなど。なかでも小腸が欠かせないのは、おいしい脂を蓄えていることと、柔らかくぷりぷりした食感が好まれるから。小腸メイン、小腸オンリーという店も多いようです。
■何味のスープが正解?
発祥時がしょうゆ味だったので、長らくスープの主流はしょうゆベースでした。豚骨スープがブームになれば豚骨スープによるもつ鍋が人気になった時期もあり、現在ではあっさりした塩味スープ、コクのあるみそスープなど、さまざまな味が楽しめるように。ちなみに、液体やキューブ状の鍋スープの素でも、各社が「もつ鍋の素」を販売しています。
■もつ鍋ブームは「おやじギャル」が牽引!?
1990年代前半、福岡の専門店が大阪や東京に進出したことで火が付いたもつ鍋ブーム。お手ごろ価格でボリューム満点、お酒も進むということから、当時中年サラリーマンと同じライフスタイルを楽しむ若いOL「おやじギャル」をはじめ、若者の間でも大ブームに。1992年にはユーキャン新語・流行語大賞で「もつ鍋」が新語部門銅賞を受賞するほどでした(ちなみにこの年の年間大賞は「きんさん・ぎんさん」、金賞は「ほめ殺し」、銀賞は「カード破産」です)。
■飲食店の「ヘルシー打ち出し」や「アメニティグッズ」はもつ鍋店が先駆け!
福岡の郷土料理であった「もつ鍋」が全国区になったのは、1991年7月に東京の銀座8丁目にオープンした「もつ鍋元気」がきっかけといわれています。大衆居酒屋など“おやじっぽいもの”をおもしろがって受け入れる時代ではありましたが、「もつ鍋元気」の成功は、若いおしゃれな女性を意識したおかげだったよう。
店内は、ニラと赤唐辛子を意識した緑と赤のインテリアに黒いテーブルというスタイリッシュな雰囲気。もつは高たんぱくで低カロリーなヘルシー食材であることを解説した冊子を置いたり、化粧室には使い捨ての歯ブラシを常備。いまでこそ化粧直しなどに利用できるアメニティグッズを用意する飲食店は珍しくありませんが、これも「もつ鍋元気」が先駆けといわれています。
【2024年2025年も鍋ブーム!? 鍋料理雑学】
■日本全国、郷土鍋あり!
土地の食材や調味料を用いたご当地鍋は、全国各地に存在! 店や家庭によって味付けや食材に違いがあったりもして、鍋談義は食事時の鉄板ネタですね。ほんの一部の有名どころを挙げてみると…。
・石狩鍋(北海道) ・きりたんぽ鍋(秋田) ・芋煮鍋(山形) ・あんこう鍋(茨城)
・どじょう鍋、ちゃんこ鍋、ねぎま鍋(東京) ・うどんすき(大阪) ・湯豆腐、すっぽん鍋(京都)
・かにすき鍋(福井) ・牡蠣の土手鍋(広島) ・ふぐ鍋(山口) ・もつ鍋、鶏の水炊き(福岡)
■世界各国の鍋料理
鍋料理の定義を「食材とスープを鍋で煮る」とすると、世界中にさまざまな鍋料理が存在しています。
フランスを代表する鍋料理といえば、魚介類とトマト、玉ねぎなどを炊き、アイオリソースでいただく「ブイヤベース」。かたまり肉と野菜を煮込む「ポトフ」は、スープと具を別皿に盛っていただくのが正式とか。中国料理なら、激辛ブームで人気の「麻辣火鍋」がありますが、「火鍋」自体はさまざまなスープや食材でバリエーションの多い料理です。
「鍋」あるいは「鍋料理」を意味する「チゲ」といえば韓国料理。「キムチチゲ」「トゥブ(豆腐)チゲ」「テンジャン(みそ)チゲ」「チョングッチャン(納豆鍋)」「プデ(部隊)チゲ」などは、韓国料理店でおなじみでしょうか。「参鶏湯(サムゲタン)」も鍋料理ですね。
■お世話になります、鍋スープの素!
味の素、エバラ食品、カゴメ、ミツカン、モランボン、ヤマキなど、食品メーカー各社からさまざまな「鍋用のスープの素」が販売されているので利用している人も多いのでは? TBS系列の番組「ジョブチューン」では、2022年12月17日に「超一流和食料理人がモランボン社員イチオシの鍋スープをジャッジ」という企画が放送されました。その際にモランボン社員が推した1位から10位の鍋用スープはこちら!
1位:キムチチゲ用スープ マイルド
2位:もつ鍋用スープ しょうゆ味
3位:スタミナきゃべつ鍋用スープ
4位:完熟濃厚トマト鍋用スープ
5位:バターチキンカレー鍋用スープ
6位:おろし肉しゃぶ鍋用スープ
7位:ごま坦々鍋用スープ
8位:クリームフォンデュ鍋の素
9位:サムゲタン用スープ
10位:糀にんにく鍋用スープ
ちなみに2位の「もつ鍋用スープの素」はしょうゆ味ですが、モランボンにはみそ味の「もつ鍋スープの素」もあります。
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11月7日の「もつ鍋の日」にちなみ、もつ鍋や鍋料理についての雑学をご紹介しました。さて…今夜は何鍋にしましょうか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/ モランボンHP https://www.moranbong.co.jp/ :