雑誌『Precious』1月号では、【時代を超えて愛される「Precious名品」の新定義】と題して、「名品」を巡るさまざまなストーリーを織り交ぜながら、プロフェッショナルな審美眼が時代を読み解き、新しい定義をもって探り当てた「名品」をご紹介しています。
今回はその中から、独自のスタイルをもつ時代のアイコンたちに愛用された名品を一挙にお届け。
時代に選ばれし人たちのイメージと重なり合う名品の魅力を探ります。
身につけるものはときに本人以上に“その人らしさ”を雄弁に語る|「スタイル」が伝説に…「名品」と生きたアイコンたち
タイムレスな輝きを放つ名品は、独自のスタイルをもつ時代のアイコンたちに愛用されて、さまざまなエピソードに彩られながら、伝説となっていくもの。時代に選ばれし人たちのイメージと重なり合う名品の魅力を探ります。
【規格外の魅力でありきたりの価値観にとらわれることなく名品を慈しむ】
■1:Jane Birkin|“エルメス”の『バーキン』
1984年、パリからロンドンへ向かう機内で偶然隣り合ったジェーン・バーキンと、「エルメス社」のジャン=ルイ・デュマとの会話から生まれた35cmの『バーキン』。母親としてのニーズを満たすバッグは、彼女のあまりに無造作な使い方によって、さらに象徴的な存在に。
■2:Serge Gainsbourg|“レペット”の『ジジ』
セルジュ・ゲンズブールはいつも素足でこの白い靴を愛用。ダンサーだったジジ・ジャンメールのためにデザインされたモデルで、タキシードにも合わせていた。実は最初に履き始めたのは妻のバーキンだったとも。
【“コンサバ”をスパイスのように効かせる彼女はいつも名品使いが最先端】
■3:Diane Keaton|“ラルフ ローレン”の白シャツ
アカデミー賞主演女優賞を受賞した1977年の映画『アニー・ホール』で、メンズ服を自由に纏い、ファッション史に残るスタイルを生み出したダイアン・キートン。特に“ラルフ・ローレン”のアメリカン・トラッドへの彼女らしい解釈は、白シャツの可能性を広げてくれた。
■4:Jacqueline Kennedy-Onassis|“グッチ”の『ジャッキー』・“カルティエ”の『タンク』
『G1244』という名称で1961年に生まれたホーボースタイルのバッグ。彼女のクラシックな装いにカジュアルなこなれ感を添える小物として、素材を変えてあらゆるシーンに登場し、いつしか『ジャッキー』と呼ばれるように。
アメリカの夢を体現したスタイルアイコン、ジャクリーンがパーム・ビーチのイベントで義兄から贈られたといわれる『タンク』。以来、さまざまなシーンで身につけたことから、知的でシックでオールマイティなウォッチという印象が生まれて。
■5:Catherine Deneuve|“ロジェ ヴィヴィエ”の『ベル ヴィヴィエ』
映画『昼顔』で、カトリーヌ・ドヌーヴが履いていた大きなスクエアバックルのパンプス。ロジェ・ヴィヴィエがデザインしたこの靴は、1960年代のパリシックなコーディネートを完成させるアイテムとして欠かせない存在。
■6:Grace Kelly|“エルメス”の『ケリー』
モナコ公国の王妃となったグレース・ケリーが、妊娠中のおなかをこのバッグで隠したスナップで知られる『ケリー』。『バーキン』のもつカジュアルさと、『ケリー』に漂う端正なエレガンスを、ふたりのアイコンが象徴しているようで面白い。
■7:Diana,Princess of Wales|“ディオール”の『レディ ディオール』・“トッズ”の『ゴンミーニ』
ダイアナ元妃が1995年にフランスを訪れた際、当時のシラク大統領夫人から贈られたのが、未発売だった『シュシュ』という名のこのバッグ。すぐにお気に入りとなり、愛称レディ・ダイ(Lady Di)にかけて、翌年『レディ ディオール』と改名された。
ペブル(突起)ソールにドライビングシューズの特徴を留める“トッズ”のモカシン。地雷撲滅キャンペーンでアフリカのルワンダを訪れた際、ソフトで歩きやすいこの靴を、清潔感のある白シャツに合わせた洗練カジュアルが注目を集めた。
■8:Meryl Streep|“バーバリー”のトレンチコート
映画『クレイマー、クレイマー』は、1970年代末のニューヨークの洗練されたリアルスタイルが楽しめる。母子の再会シーンでメリル・ストリープが着ていたのが“バーバリー”のトレンチコート。ボタンをきちんと留めた緊張感のある纏い方にシングルマザーになろうとする力強い意志が感じられる。
■9:Audrey Hepburn|“ルイ・ヴィトン”の『スピーディ』
モノグラムの『スピーディ』を愛用していたオードリー・ヘップバーン。自分に似合うものと似合わないものを熟知していたといわれる彼女は、華奢な体型にバランスのいい、ちょうど膝の上に乗る程の小型サイズ『スピーディ25』を特注した。
■10:Elsa Peretti|“ティファニー”の『ボーンカフ』
元モデルで“ティファニー”のジュエリーデザイナー、エルサ・ペレッティは、自身がファッションアイコンとして輝いた女性。有機的で大胆なフォルムのジュエリーは革命的。なかでも『ボーンカフ』は、アーティスティックな彼女の魅力そのもの。
■11:Ashley Olsen|“ザ・ロウ”の『マルゴー』
双子の妹、メアリー=ケイトと共に“ザ・ロウ”を手掛けるアシュレー・オルセン。小柄なふたりが生み出すオーバーサイズの服は、現在のトレンドを牽引。
■12:Sofia Coppola・Romy Schneider|“シャネル”のツイードジャケット
学生時代にパリの「シャネル社」でインターンを経験したソフィア・コッポラ。卒業後も縁深く、キャンペーン撮影も手掛ける関係。ベーシックなセンスに定評があり、特に彼女が選ぶクラシックな“シャネル”スタイルは、プレシャス世代の参考になるものばかり。
ロミー・シュナイダーは、マドモワゼル・シャネルに認められ、愛された数少ない女優のひとり。ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『ボッカチオ’70』では、“シャネル”のツイードスーツを着用。床に寝そべっても滲み出る、気品溢れる姿は今見てもうっとり。
【お気に入りの靴は大人の女性の生きる原動力に!】
■13:Sarah Jessica Parker|“マノロ ブラニク”の『ハンギシ』
ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でサラ・ジェシカ演じるキャリーは、筋金入りの“マノロ・ブラニク”ラバー。紆余曲折あっての2度目のプロポーズで、指輪でなくサムシング・ブルーの『ハンギシ』を履かせてもらったシーンは涙を誘った。
※掲載した「名品」の写真は、過去の『Precious』および『MEN'S Precious』に掲載したものを再掲載したものです。各ブティックへのお問い合わせはお控えください。
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- PHOTO :
- 戸田嘉昭(パイルドライバー)、唐澤光也(RED POINT)、小池紀行(CASK)、国府 泰、佐藤 彩、 小林美菜子、島本一男(BAARL)
- STYLIST :
- 三好 彩
- EDIT :
- 奥山碧子・木村 晶・遠藤智子(Precious)
- 写真提供 :
- Getty Images
- 文 :
- 藤田由美