連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、福岡で「地域の事業者を応援したい」と、自治体ごとに独自のスマートフォンアプリを開発し、電子化した「プレミアム付電子商品券」を発行して “人” と “お金” を循環させる仕組みを提供している「株式会社まちのわ」代表取締役の入戸野 真弓さんにインタビュー!

4年目の今では、北海道から鹿児島まで全国122か所でサービスが導入されるほどに成長し、「今後の目標は、300の自治体となんらかの形で関わること」と話す入戸野さんに、詳しくお話しをうかがいました。

入戸野 真弓さん
「株式会社まちのわ」代表取締役
(Iritono Mayumi)神奈川県横浜市生まれ。大学卒業後、三菱UFJ銀行、住信SBIネット銀行を経て、福岡県久留米市の筑邦銀行に出向し、デジタル戦略を担当する。’21年5月にSBIホールディングス、九州電力、筑邦銀行の3社共同で「まちのわ」を設立、’24年12月には「まちのわホールディングス」を設立し、両社の代表取締役社長に就任。

【Fukuoka】地方にある日本の風景を守るため、デジタルの力で人とお金を循環させる

「株式会社まちのわ」代表取締役の入戸野 真弓さん
「株式会社まちのわ」代表取締役の入戸野 真弓さん

全国で運用が増えている地域通貨やプレミアム付電子商品券。始まりは'21年に設立された「まちのわ」からだ。インターネット専業の住信SBIネット銀行から、福岡県久留米市の筑邦銀行に出向していた入戸野さんが、「地域通貨サービスをつくりたい」とあちこちで話したところ、考えを同じくする企業人が集まり、プロジェクトがスタートした。

「福岡には縁もゆかりもなかったんです。赴任当初は、お客様の『ばってん』から始まる方言が理解できないこともありましたが、その日にとれた野菜や、焼いたパンなどをいただいたりして、日本人の原点みたいなものを感じました。地銀の行員として、地域における金融機関の役割とは? と考え続けるなかで、地元の会社を支援するためには、融資すれば売上が上がる時代ではないだろう、と。地域の外からも人を呼んで、地域内で “人” と “お金” を循環させる仕組みをつくって、事業者を応援したい。SBIホールディングスがブロックチェーンを、筑邦銀行が営業を、九州電力がアプリを担当して、3社共同で『まちのわ』を設立。39歳のときでした」

社員は10人に満たず、関わっていた地域は6か所。そこからどんどん広がって、2年目に50か所、4年目の今は北海道から鹿児島まで全国122か所でサービスが導入されている。現在社員は35人。今後の目標は、300の自治体となんらかの形で関わること。

「私はずっと都会暮らしでしたが、福岡に来て初めて、日本全体を見ると地方の力が圧倒的に重要だと気付きました。食糧も文化も、日本人らしさを感じるものは、地方にある。それを失いたくない。そのためには、地域の事業者がきちんと利益を得て、人が暮らしていけることが大前提です。そうしないと、気付けばどこに行っても同じ景色…なんてことになってしまう。この風景を守りたい。その想いを、一見かけ離れたデジタルの力で叶えていくことが、私の使命だと感じています」

◇入戸野 真弓さんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
2歳の子供をトイレに連れていく。トイレトレーニングの真っ最中です。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「一緒に仕事がしたい」
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
手間のかかる料理をゆっくりと。例えば海老しんじょを、だしからとって丁寧につくって、きれいな器に盛り付けたい。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
福岡の自宅のベランダで家庭菜園を。余った食材はコンポストに入れて堆肥をつくり、循環させる。
Q.10年後の自分は何をやっている?
「まちのわ」で別の事業を立ち上げているかも。今は農家の支援にも関心がある。
Q.自分を動物にたとえると?
インパラ。動きがすばやくて、心配性で、意外とみんなの顔色を気にしている。

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PHOTO :
石川浩太郎
取材 :
佐々木恵美