ムーブメントを自社内で一貫生産できる稀少なマニュファクチュールである、スイスの名門ウォッチメゾン「ゼニス」。2025年、創業160周年というアニバーサリーを迎え、新たなコレクションを発表! 伝説的ムーブメントを復活させ搭載した、ジェンダーレスなサイズ感のプラチナ製ウォッチ “G.F.J.”がここに誕生しました。
プラチナの輝きと「ゼニス」ブルーのグラデーションが知的に呼応

創刊以来、「時計の真価」のひとつの答えとして、機械式ムーブメントを搭載した本格ウォッチの魅力をお伝えし続けてきた『Precious』。以来、21年の間に女性たちのムーブメントに対する意識は徐々に高まり、2025年はさまざまなメゾンから機械式ムーブメントを搭載したレディスモデルが発表されています。
そんな昨今、機械式ウォッチの魅力に開眼し、「時計の真価」を追求するマチュアな女性たちから、憧憬とリスペクトの的となっているメゾンのひとつが「ゼニス」。「大ぶりの時計をあえて女性がつけるのがクール」という、現在のジェンダーレスウォッチ人気の礎を築いた名門は、160年の歴史のなかで数々の偉業を成し遂げてきました。
そのひとつが、 スイスの「ヌーシャテル 天文台」をはじめ、ヨーロッパ各地の天文台によるクロノメーターコンクール ── かみ砕いて言うと、「正確な時計選手権」で、その黄金時代である1950年から1954年まで5年連続で1位を獲得を獲得した“キャリバー135”です。

ちなみに当時は、天文台が行う時計精度の試験は非常に重要視されており、これらの時計コンクールがもたらす名声は大きなものでした。天文台は熟練の時計職人が自らの手掛けた時計の精度の高さを披露し、証明する場だったのです。時計ブランド各社はこの栄誉を求め、入念に準備したムーブメントをもって試験に臨みました。
そんな、各社入魂! 気合いが入りまくったコンクールで、「ゼニス」は他ブランドを凌ぐ2,333 件ものクロノメトリー賞を受賞。そのなかでも傑出した存在感を示している“キャリバー135”が蘇り、新コレクションの心臓であり核となったわけです。
クラシカルモダンを体現するデザインと至高のムーブメント
思わず、 “G.F.J.”! と歌いたくなるこの新コレクションの名前、その由来は、時計界の歴史に名を刻む「ゼニス」の創業者であり稀代の時計師、 ジョルジュ・ファーブル=ジャコのイニシャルです。
時計の「顔」となる文字盤は、「ゼニス」のシグネチャーカラーであるブルーのグラデーションからなる3つのパートで構成されています。

まずは、文字盤を囲むリング。ギョウシェ模様に、ファセットカットのホワイトゴールド製インデックスがあしらわれ、秒を示す「ミニッツトラック」としてホワイトゴールド製ビーズ40個が手作業でセットされています。
そして中央のメインダイヤルはディープブルーのラピスラズリ。このストーンに含まれるパイライトという鉱物によるゴールドの煌めきは、星空を思わせます。使用されているラピスラズリは天然石のため、当然まったく同じ模様はこの世にひとつも存在しない、いわばすべての時計がユニークピース!
最後に、文字盤下部で秒を刻む大ぶりのサブダイヤル。ここにはブルーに染め上げられたマザー・オブ・パールがあしらわれ、程よい華やぎとエレガンスを演出します。
そして搭載されている“キャリバー135”!

もちろん、ただ単に復刻したわけではなく、可能な限り最新の技術と素材を取り入れ、現代的にアップデート。飛躍的な精度向上のほか、例えば1950 年代版のパワーリザーブが40時間であったのに対し、今作は72 時間ものパワーリザーブを実現しています。

1865 年、最も正確で、最も信頼性の高い時計、つまり「完璧な時計」を製造することを志し創業した「ゼニス」。完璧な時計への追求は、天空の頂点を意味する「ゼニス」というブランド名にも表れています。

創業160周年と、時計製造のあらゆる分野で卓越性を追求してきた道のりを讃え誕生した “G.F.J.”。1950年代のエッセンスをとらえたヴィンテージのエレガンスと、モダンなアクセントを融合した本格機械式ウォッチは、手元で非凡な個性と存在感を発揮します。
今回は「ゼニス」の創業160周年を祝う新コレクション、 “G.F.J.”をご紹介しました。会期も半ばを過ぎ、活況を見せる“WATCHES & WONDERS GENEVA 2025”から、次回は「シャネル」のオート オルロジュリー(高級時計)、今しか出合えないカプセル コレクションをお届けします。お楽しみに!
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- TEXT :
- 岡村佳代さん 時計&ジュエリージャーナリスト