イタリアの高級宝飾ブランド「ブルガリ」のハイジュエリーイベントと、そのイベントを記念してのガラディナーに参加するために、京都に行ってきました。
ガラディナーの会場は、なんと「京都迎賓館」。京都迎賓館は平安遷都1200年を記念して、2005(平成17)年、海外の賓客をもてなす内閣府所管の施設として、京都御苑内につくられました。
東京の迎賓館 赤坂離宮(1909年完成 片山東熊設計、国宝)が近代名建築として洋風なのに対して、こちらの京都迎賓館は「現代和風」をコンセプトにしているだけに、そこかしこに日本の美しさ、日本の工芸技能の粋を感じることができます。
2016年からは通年で一般公開されるようになりましたが、それでも通常は海外国賓(国王や国家元首)の歓迎晩餐会などを行う場所ですから、一般人にとってなかなか立ち入る機会はありません。しかも海外の賓客と同じようにその空間でディナーをいただくなどということはほとんどない・・・ということで、今回はそんな貴重な京都迎賓館の内部をレポートさせていただきます。
英国メイ首相も歩いた「庭園の橋の上からの絶景」に感動
京都迎賓館の設計コンセプトは、前述の「現代和風」と、もうひとつ「庭屋一如(ていおくいちにょ)」なのだとか。この「庭屋一如」、難しい言葉ですが、要は庭と建物が一体となった調和のある空間を示す概念。
確かに、京都迎賓館に足を踏み入れて一番感じるのは、建物の内側から見渡せる庭園の美しさ、そしてその庭園のさらに先にみえる建物と庭園の見事なハーモニー。アペリティフのシャンパン片手に眺めているうちに、徐々に日暮れてくる夕景のなんと美しいこと!
2017年8月に来日にしたイギリスのメイ首相と安倍首相も歩いた、庭園の池にかかる橋の上に身を置くと、なおさらこの京都迎賓館のコンセプト「現代和風」「庭屋一如」の素晴らしさ、その意義に心打たれることでしょう。
建物の内装も見事です。日本の職人の技でつくりあげた建物だけに、日本の木の持つ木肌、木目の美しさ、障子にはられた和紙の美しさ、壁の漆喰の美しさに、思わずため息が漏れます。少しずつ日が陰るに従って表情を変えるこれらの日本の建材に、「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」の国の美を、誇らしく思うのでした。
ディナー会場に使用されたのは「藤の間」。京都迎賓館の中でも最も大きな晩餐室。ここに今回は、京都府知事、京都市長をはじめとするVIP140人が招待され、ディナーをいただきました。
西陣織の大型壁面装飾、ニッポンの工芸、スゴイ!
ディナー会場となった藤の間の一番の見所は、壁面を飾る西陣織の装飾。日本画家、鹿見喜陌(しかみきよみち)氏の「麗花」を下絵に織られており、藤をはじめとした39種類もの日本の草花が織り込まれています。今回のガラディナーが、爽やかな4月の開催、まさに藤の花が咲き始める頃だけに、この壁面装飾がいっそう心に響きました。
もうひとつの見所は、正面舞台の扉に施された截金(きりかね)と呼ばれる装飾。京都生まれの人間国宝、故江里佐代子(えりさよこ)氏の作品で、木の上に施された金箔とプラチナ箔の繊細な美しさは息をのむばかり。その芸術作品ともいえる扉が開かれて、この日のサプライズゲスト、板東玉三郎さんが登場したときは、会場が騒然と。その後玉三郎さんの舞いが始まると今度は一転静寂に包まれ、140人もの招待客は舞台に吸い込まれるように見入って。なんと素晴らしい特別なガラディナーなのでしょう!
さてさて、この日本美と日本工芸の粋を凝縮した京都迎賓館で開催された今回のガラディナー。イタリアのクラフツマンシップにこだわり続けたブルガリが、この場所をあえて選んだ理由がわかったような気がしました。
日本の伝統工芸、京都の職人技と、イタリアの最高級宝飾を支えるクラフツマンシップとの奇跡の邂逅! それは京都迎賓館という場所でしか、なし得なかったことなのだと今さらのように納得! ああ、それにしても贅沢で、美しい古都の夜でした!
さて、京都迎賓館の参観については、内閣府の京都迎賓館のホームページから。自由参観方式とガイドツアー方式の参観があり、それぞれ有料。参観可能日もホームページ内にカレンダー表示されていますので、ご参照を!
参観申し込み
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- アンドリュー橋本 Precious非公式キャラクター