日々の疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュできる温泉旅。天然資源である温泉はその土地ごとの個性があり、ただ体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれるのを感じられたり美肌に近づけたりなど、普段の入浴では得られないさまざまな恩恵をもたらしてくれます。

そうした温泉のポテンシャルをしっかりと実感できる九州の名宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんがピックアップ。今回ご紹介するのは、福岡県朝倉市にある「原鶴温泉 延命館」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

泡は鮮度の証!多彩な成分を含む“延命の湯”が肌に優しくアプローチ

福岡県の中心部から車で1時間ほど。筑後川のほとりに佇む「原鶴温泉 延命館」は、創業80年以上の歴史を誇る老舗旅館です。九州広域にわたってお湯堀りの仕事をしていた初代館主が地元で温泉を掘り当てたのが宿の起源。湯づかいには格別のこだわりがあり、館内の温泉は全て加水・加温を一切しない源泉かけ流しです。

「原鶴温泉の魅力を一言で表現すると、ダブルで美肌が叶う湯。弱アルカリ性で石鹸のように皮膚表面の古い角質を優しく落としてくれると共に、硫黄成分も含まれるため、美白効果も期待できます。また、入浴中の肌をよく見ると、細かい気泡が付着しているのも特徴のひとつです。この泡は、湯が新鮮でコンディションがいいことの証。湧きたてで鮮度のよい湯は還元力も高いといわれています。さらに鉄分のような香りも感じられ、さまざまな成分がブレンドされた尊い湯との出合いに感動しきりです」(植竹さん)

露天風呂
露天風呂。
内湯
内湯。

「温泉は、内湯と露天風呂を備えた大浴場に家族風呂が3種類あります。同じ敷地内であっても、浴室ごとに湯の個性が異なるように感じられ、露天風呂はより泡付きがあり、家族風呂のほうはツルツルスベスベ感が強め。どの温泉も体温ほどのぬる湯で、ずっと入っていたくなるような心地よさです」(植竹さん)

※貸切風呂3種(陶器風呂、樽風呂、土風呂)のうち、樽風呂は改装工事中です。

家族風呂「土風呂」。
家族風呂「土風呂」。
家族風呂「陶器風呂」。
家族風呂「陶器風呂」。

「湯巡り気分を味わいながら入浴しているうちに、多様な温泉成分がじわじわと浸透するようで、肌も心もご機嫌に。湯上りに肌のトーンが明るくなったように感じられたほか、翌朝もみずみずしい肌のハリを実感できて、宿名のとおり、まさに延命、アンチエイジングの湯だと心が躍りました」(植竹さん)

屋上
湯上りに屋上に出て星空を眺めるのも一興。

全室リバービュー!雄大なる筑後川の河畔で心穏やかなひとときを過ごす

全15室の客室は、和室と和洋室の2タイプ。なかでもゆったり寛ぎたい人におすすめなのは、グレードアップ和洋室です。大きな窓から悠々と流れるな筑後川を一望でき、窓際には、長時間座っても疲れないゲーミングチェアとソファを設置。日常の慌ただしさから隔絶され、ゆっくりと時間の流れる空間は、心身を解きほぐすリラックスタイムを提供してくれます。

グレードアップ和洋室。
グレードアップ和洋室。
筑後川
沈みゆく夕日に感動。

夕食は、旬の素材を生かした月替わりのコース料理。テリーヌやソテーなど洋の要素とお造りや天ぷらといった和の要素が見事に融合され、ゲストの味覚を飽きさせません。

夕食一例
夕食一例。

朝食は、優しい味わいの和食。ふっくらとした玉子焼きや焼き魚、小鉢料理にサラダ、そしてごはんに茶そばも付いて、朝から盛りだくさんです。白味噌の味噌汁もしみわたるようなおいしさで、湯だけでなく心づくしの食事にも癒されます。

朝食一例
朝食一例。

以上、「原鶴温泉 延命館」をご紹介しました。大地から湧き出たばかりの湯に浸かり、自然に発生した泡に包まれる心地よさに出合いたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 原鶴温泉 延命館
  • 住所/福岡県朝倉市杷木志波15-2
    客室数/全15室
    料金/グレードアップ和洋室 朝夕2食付き 2名1室1名¥17,900~ 
  • TEL:0946-62-1133

関連記事

WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)