ときどき無性に食べたくなる、イタリアン。イタリアといえば、ローマ、ミラノ、シチリア島、ナポリ、ヴェネツィアなど、美食と歴史的遺産の両方が魅力的な都市名が思い浮かびますが、そのうちのひとつがトスカーナ州の州都・フィレンツェ。ここは実は、イタリアのなかで「美食の街」として最も有名な地域なのです。

そんなイタリアン、日本に数多くレストランがありますが、”本場のトスカーナ料理とワイン”を楽しめるお店は、それほど多くありません。一度は、日本にいながらフィレンツェにワープしたような気分を堪能したいと思いませんか?

今回、レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんに、直球美食を味わえる、東京のイタリア料理店をセレクトしていただきました。犬養さんによると、都内のイタリアンは「予想不能な領域に突入している」のだとか。この1、2年で劇的に増えているのが、薪焼きイタリアン。つまり、薪火で焼いた肉料理が堪能できるお店が急増しているとのこと。つまり今は、炭火焼きではなく、薪火焼きがブームなのだそうです。

そこで、おいしい薪焼きが食べられるイタリアンと、3ツ星リストランテの遺伝子を受け継いだイタリアン、おまけとして最後にイタリアワイン専門バーをご紹介したいと思います。

■1:「Tacubo(タクボ)」代官山駅

¥13,500コースのメインより。十勝田くぼ牛100g。塩とペッパーのマリネ、グリル野菜、葉もののサラダ。肉には適度にサシも入っていますが、なにより焼いた面のクリスピー感と香りのよさは別格。薪だと少量でも焼ける、15分という短い時間でも焼き上がるなど、懐が深いところがポイント。これも田窪シェフの技術によるものだそうです。
¥13,500コースのメインより。十勝田くぼ牛100g。塩とペッパーのマリネ、グリル野菜、葉もののサラダ。肉には適度にサシも入っていますが、なにより焼いた面のクリスピー感と香りのよさは別格。薪だと少量でも焼ける、15分という短い時間でも焼き上がるなど、懐が深いところがポイント。これも田窪シェフの技術によるものだそうです。

1軒目は、「Tacubo」。薪火だけでなく、オリジナルの牛肉・タクボ牛まで特注しているイタリアンです。田窪大祐シェフは、今話題の薪焼きにいち早く着手。薪焼きは、「炭火よりもやわらかく全体に、そして芯に火が入る」のだとか。そのため、2017年に新店舗に移るときに、理想の薪焼き台を作製。「これだと100gの小さな肉でも焼けます」と田窪シェフ。

「Tacubo(タクボ)」店内の様子
「Tacubo(タクボ)」店内の様子

そんな「Tacubo」は、北海道の生産者と提携して送っていただく限定肉・十勝田くぼ牛をはじめ、全国各地の赤身牛を使用。その日、最も状態のいい肉を焼いてくれます。注目メニューは、コースのメインに登場する薪焼きビステッカ! 犬養さん曰く、「表面をパリパリッと香ばしく焼く技術は田窪シェフがナンバーワン」とのこと。

問い合わせ先

  • Tacubo(タクボ)
  • 住所/東京都渋谷区恵比寿西2-13-16 ラングス代官山1F
  • TEL:03-6455-3822
  • コース/¥10,500~(牛は¥13,500~)
  • 営業時間/12:00~13:00(L.O./土曜・不定期で祝日のみ)、18:00~21:30(L.O.)
  • 定休日/日曜(※翌月曜が祝日の場合は営業、月曜休)

■2:「Ristorante Kurodino(リストランテ クロディーノ)」銀座一丁目駅

手延べパスタ・ピーチ 島根県産 天然イノシシの赤ワイン煮込み¥2,593。煮込みソースにはジェニパーベリー、クローブ、黒コショウ、ローズマリー、パセリ、ローリエ、セージなどが入り、クセのあるにおいを消しています。ピーチのもちもち感にも手打ちのよさが100%出ているところがポイントです。
手延べパスタ・ピーチ 島根県産 天然イノシシの赤ワイン煮込み¥2,593。煮込みソースにはジェニパーベリー、クローブ、黒コショウ、ローズマリー、パセリ、ローリエ、セージなどが入り、クセのあるにおいを消しています。ピーチのもちもち感にも手打ちのよさが100%出ているところがポイントです。

 

続いては、フィレンツェ名門の味を伝える銀座の隠れ家。オーナーソムリエの黒田敬介氏、丸山孝一シェフともに、かつて銀座にあった「エノテカ・ピンキオーリ」(フィレンツェ本店は現在も3ツ星)のスタッフ。3ツ星リストランテらしい洗練の郷土料理は最も得意とするところ。

「Ristorante Kurodino(リストランテ クロディーノ)」店内の様子
「Ristorante Kurodino(リストランテ クロディーノ)」店内の様子

イノシシのソースと手延べパスタ・ピーチは、トスカーナ地方では定番パスタ。普通につくればクセのあるソースを、丸山シェフはよけいな脂をとって軽く仕上げています。ワインリストの充実度もさすが。犬養さんは、「フィレンツェの3ツ星レストラン仕込みのおもてなしが素晴らしい! ワインの充実度と値段は、銀座とは思えない!」と大絶賛しています。

問い合わせ先

  • Ristorante Kurodino(リストランテ クロディーノ)
  • 住所/東京都中央区銀座3-4-17 銀座オプティカ6F
  • TEL:03-5579-9815
  • ランチ¥1,805~、ディナーコース¥5,417~
  • 営業時間/11:30~14:00(L.O.)、18:00~21:30(L.O.)
  • 定休日/日曜、第1・3月曜

■おまけ:「Deposito Bagagli(デポーズィト・バガーリ)」三軒茶屋駅

「Deposito Bagagli(デポーズィト・バガーリ)」店内の様子
「Deposito Bagagli(デポーズィト・バガーリ)」店内の様子

最後は、ひそやかに熱くオープンしたイタリアワイン専門バー。店主は、異業種から転職、自らが大のイタリアワイン好きで店を始めた佐久間氏。ストックは100種類前後で、赤ならトスカーナとピエモンテ、白はアルト・アディジェが充実しています。

流行りのビオや自然派にはこだわらないタイプ。毎日、泡1、赤5、白5種類のグラスワインを用意しています。軽くつまめるものもあるので、食前と食後に気軽に楽しむことが可能。以下は佐久間氏がセレクトしたキャンティワインの楽しみ方の一例です。細かい説明はぜひ、お店でどうぞ!

●まずは基本から! 左から/伝統と革新のサンジョヴェーゼの味を知るために。『ブローリオ アンティ・クラッシコ』¥1,100(グラス・以下同)と『ブローリオ アンティ・クラッシコ リゼルヴァ』¥1,800は、P.252~255で紹介した「バローネ・リカーゾリ」から。リゼルヴァは熟成期間が長く、熟成の風味がわかる。『ピアン・デル・チャンポーロ』¥1,000は、標高の高い畑で栽培されたサンジョヴェーゼを使用。『キアンティ・クラッシコ・ベラルデンガ』¥1,000はサンジョヴェーゼ100%の男性的ワイン。
●まずは基本から! 左から/伝統と革新のサンジョヴェーゼの味を知るために。『ブローリオ アンティ・クラッシコ』¥1,100(グラス・以下同)と『ブローリオ アンティ・クラッシコ リゼルヴァ』¥1,800は、P.252~255で紹介した「バローネ・リカーゾリ」から。リゼルヴァは熟成期間が長く、熟成の風味がわかる。『ピアン・デル・チャンポーロ』¥1,000は、標高の高い畑で栽培されたサンジョヴェーゼを使用。『キアンティ・クラッシコ・ベラルデンガ』¥1,000はサンジョヴェーゼ100%の男性的ワイン。
●上級者におすすめ! サンジョヴェーゼの個性派左から/『オルマテッロ ロマーニャ サンジョヴェーゼ・スペリオーレ・リゼルヴァ』¥1,400はロマーニャ地方の注目株!『モレッリーノ・ディ・スカンサーノ リゼルヴァ』¥1,200は栽培地域最南端で果実味MAX!『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ』¥2,800はサンジョべーゼ・グロッソでつくる重心の低いワイン。
●上級者におすすめ! サンジョヴェーゼの個性派左から/『オルマテッロ ロマーニャ サンジョヴェーゼ・スペリオーレ・リゼルヴァ』¥1,400はロマーニャ地方の注目株!『モレッリーノ・ディ・スカンサーノ リゼルヴァ』¥1,200は栽培地域最南端で果実味MAX!『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ』¥2,800はサンジョべーゼ・グロッソでつくる重心の低いワイン。

問い合わせ先

  • Deposito Bagagli(デポーズィト・バガーリ)
  • 住所/東京都世田谷区上馬1-32-10 ハイツ三軒茶屋201
  • TEL:03-6450-9611
  • グラスワイン¥800~
  • 営業時間/火~金曜18:00~24:00(L.O.)、土・日・祝15:00~22:00(L.O.)
  • 定休日/月曜

以上、都内で本場のトスカーナ料理とワインが楽しめるレストラン&バーを3軒ご紹介しました。

「Tacubo(タクボ)」も「Ristorante Kurodino(リストランテ クロディーノ)」も、ランチメニューがあります。ただし、「Tacubo」のランチ営業は基本的に水曜と土曜のみ。たまに祝日も営業しているそうですが、要確認です。「Ristorante Kurodino」は定休日の日曜、第1・第3月曜以外はランチ営業しているので、まずは昼に本場の味を楽しんでみてはいかがでしょうか? 食のプロが絶賛するお店なので、よくあるイタリアンとの違いに驚くはずですよ。

※紹介した価格はすべて税抜です。

PHOTO :
田中 雅
WRITING :
犬養裕美子、寺尾妙子
EDIT :
遠藤智子