『Precious』半期に一度の恒例企画として、今季のトレンドを徹底リサーチ。
雑誌『Precious』9月号では、特集【大人に優しい「2025秋冬トレンド」の最適解】と題して、上質で洗練されたスタイルを軸にもつ大人にとって必要な“旬のエッセンス”だけを抽出してお届けしました。
今回は、スタイリスト・大西真理子さんに、今季のトレンドと取り入れ方について解説していただきました。
ほんの少しの変化を楽しみ、いつものスタイルに新しい風を!
「トレンド」との向き合い方、大人の正解は?
新しいトレンドは心が躍る反面、方向性を見失えばスタイルの軸がブレてしまうことも。今季の傾向を総ざらいしたうえで、本当に必要な「旬」を選び抜くアプローチ術を、スタイリスト・大西真理子さんと考えました。
情報が溢れる時代に、どう取捨選択していくべきか――大西さんと共に、まずは「思考の整理」を!
表面的に流行を追いかけず、取捨選択するひと手間を!

感度よくおしゃれを楽しみたいキャリア女性にとって、どのようなスタンスでトレンドを取り入れるかは腕の見せどころ。そのさじ加減を見極める審美眼が問われます。
そこで、本誌の創刊当時から“シンプルラグジュアリー”を提案し続けるスタイリスト大西真理子さんと共に、今季のトレンドを一度俯瞰し、大人が取り入れるべき旬のエッセンスとは何かを考えました。まず、大西さんにうかがいたいのは、ご自身のトレンドとの向き合い方。

「私はどちらかというと、コレクション速報を逐一チェックするというよりも、日々の撮影準備でブランドにリースを依頼するなかで、今季の流れを肌で感じとっていくタイプです。実際に手にして、大人が輝いて見えるかどうかを想像できるアイテムだけを取り入れるように。トレンドだからと鵜呑みにせず、大人の装いに無理なく映えると確信できるものだけを抽出しています」(大西さん)

「気分を変えたいときは旬の色を取り入れるのがおすすめ。今季のトレンドカラーであるブラウンを着こなしのベースに」―大西さん
旬色やクラシック要素などトライしやすいものに目を向けて

今季は、クリエイティブ・ディレクターの交代が相次ぎ、多くのブランドが自らの原点に立ち返るようなコレクションを展開し、ルーツに根ざした美意識が再定義されました。
「伝統やクラフツマンシップへのリスペクトが感じられる原点回帰の傾向が顕著に。今季は、上質なレザーのアウターや、ノーブルな気配をまとうクラシックなワードローブが多く登場して、大人にとってもうれしい傾向です」

また、今の気分を取り入れたいときは、まずベースとなる色を変えてみるのも有効だそう。
「この秋は、久しぶりにブラウンが新鮮に映ります。ベイクドされたようなリッチなトーンが揃い、黒の延長として楽しめるのも魅力のひとつです。加えて、ブラウンと親和性の高い、バーガンディも充実。秋の始まりにふさわしい、落ち着いた流行色は、大人にとって心強い味方になります」
自分に合った流行を見極める思考の積み重ねがスタイルとなる

「自分の目指す方向性を明らかにして、手もちのワードローブの棚卸しをするのも効果的です。そして、旬のシックカラーやクラシックなテイストなど、抵抗なく取り入れられるところから挑戦するのがおすすめ。また、バッグや靴のように少量の面積ながら、着こなし全体のイメージを変える小物なら、失敗する心配がありません。
洋服でも、フリルやビジュー、フリンジなどのディテールのみにトレンド要素を絞ったものは、全身の印象は大きく変えずに、さりげないアップデートが叶います。仕事をもつ大人にとって、大胆な変化は必ずしも必要ではなく、料理のスパイスのように、着こなしに少量効かせる程度がちょうどいいバランスであるという認識を。
特集では、『全身の30%』ほどに印象の変化をもたらすトレンドを、6つのベクトルでピックアップしました。この秋の着こなしを更新する、“大人に優しいトレンド”をぜひ、積極的に取り入れてみてください」(大西さん)

「経験を重ねた大人にとってトレンドは追いかけるものでなく、戦略的に取り入れるべきもの。自分らしさを大切にしながら、旬のバランスでアップデートを」―大西さん
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- EDIT&WRITING :
- 川口夏希、遠藤智子(Precious)