連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、聴覚障がい者と手話通訳者をつなぐ助け合いのマッチングアプリを開発された「CO:SIGN.LAB」合同会社の代表・仙波妙子さんにインタビュー!

ろう学校を卒業後「資生堂」松山支店に入社し、その時に出会った支店長の助言によって、キャリア形成を順調に重ねてきた仙波さん。障がい者の問題解決のため自ら起業し、コワーキングスペースの開設や、聴覚障がい者と手話通訳者をつなぐマッチングアプリ開発などを手がけてきました。

「ろう者が自分の能力を限定することなく、進みたい方向へ歩くための可能性を広げていく」ことができるようにと話す仙波さんに、今後の目標などについて詳しくお話しをうかがいました。

仙波 妙子さん
「CO:SIGN.LAB」合同会社 代表
(せんば たえこ)愛媛県生まれ。出生時からの聴覚障がいを抱える。’20年、耳が聞こえない人でも活躍できる場所をつくるため、「CO:SIGN.LAB」合同会社を起業し、大阪・十三にコワーキングスペース店舗開業。’22年、規模拡大のために三国に移転。「2U」店舗にて「手話Cafe+」オープン。聴覚障がい者と手話通訳者をつなぐマッチングアプリ「Sign-mi」を開発。

【Osaka】聴覚障がい者と手話通訳者をつなぐ助け合いのマッチングアプリを開発

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「ろう学校を卒業後、資生堂の松山支店に企画統括部事務員として入社。その支店長が『システムの仕事ができるから、活躍の場を広げたほうがいい』と進言してくれて、大阪工場へ異動。最終的に貿易に関わり、アメリカやフランス、ベトナム工場とのやりとりほか、多くの業務を把握する立場にまでなりました」

聴覚障がいというハンディキャップがありながら、周囲に手話ができる人がいたことも力となり、持ち前の判断力で会社員としてのキャリアを順調に積み重ねてきた仙波さん。それがプライベートで続けてきたボランティアや、知人への起業サポート、また会社の早期退職制度などさまざまな要因が重なって、自ら起業家として歩き始めることに。

「障がい者の問題解決に取り組んでいきたいという気持ちが芽生え始めていたのは事実でした。そのためには、自分が起業するのがいちばん早いという判断にいたったんです」

まずはろう者のためのコワーキングスペースをオープンするところから始め、スタッフやゲストなどそれぞれの要望を叶える形で、手話レッスンサロン、木材工房、カフェなどを開設。さらに聴覚障がい者と手話通訳者とをつなぐマッチングアプリまで開発した。

「美容室の予約アプリを参考に、指一本で通訳を頼んだり、受けたりすることができるアプリ『Sign-mi(サインノミ)』をつくりました。これがあれば、手話通訳士という資格所有者はもちろん、手話を学んでいる人の活躍の場を増やすことができるし、聴覚障がい者は仕事や病院という目的でなくても、気軽に通訳を頼むことができます。ほかにも手話ができることがひと目でわかる手話マークを制作して展開中。私の目標は、ろう者が自分の能力を限定することなく、進みたい方向へ素直に歩くための可能性を豊かに広げていくこと。この立場での起業は簡単ではありませんでしたが、だからこそ得られた知見を生かして、私のあとに続く人を増やしていきたいと思っています」

◇シャンテルさんに質問

Q. 朝起きていちばんにやることは?
お気に入りのサーモカップでコーヒーを飲む
Q. 人から言われてうれしいほめ言葉は?
「外見よりも深い魅力があるね」
Q. 急にお休みがとれたらどう過ごす?
親を連れて自然を巡り、おいしいものを食べたい。富士山に行きたいけど登るのは難しそうなので、眺めながらごはんを楽しめたら。
Q. 仕事以外で新しく始めたいことは?
茶道。日本文化を感じる茶室で、静寂に包まれたい。
Q. 10年後の自分は何をやっている?
ろう者の女性起業家が増え “不可能が可能となった世界” を見ている。’25年に手話推進法も施行され、未来は変わるはず。
Q. 自分を動物に例えると?
ヒョウ。一つひとつの出会いをご縁につなげるため、迅速に行動するところが似ています。

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PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
本庄真穂
取材 :
木佐貫久代