宮野真守さん
声優・俳優・アーティスト
みやの・まもる/1983年生まれ、埼玉県出身。2001年に海外ドラマ『私はケイトリン』の吹き替えで声優デビュー。主な主演アニメに『キン肉マン 完璧超人始祖編』(23年-24年/TBS)、『LAZARUS ラザロ』(25年/TX)など。2017年、劇団☆新感線の舞台『髑髏城の七人』season月《下弦の月》で主演を務め注目を集める。以降数々の話題作に出演、トップ声優として登りつめながら俳優として舞台やテレビドラマ、映画など幅広いジャンルへ活躍の場を広げる。2025年には映画『パリピ孔明 THE MOVIE』(松竹)に出演。歌手としては2008年にシングル「Discovery」でメジャーデビュー、2009年に1stアルバム『BREAK』を発表。今年11月19日には8枚目のフルアルバム『FACE』をリリース。11月22日よりライブツアー『MAMORU MIYANO ASIA LIVE TOUR 2025-2026〜VACATIONING!〜』がスタート。11月22日より年内は国内3都市6公演を行い、2026年には上海、台北を含む海外公演が予定されている。
インタビュー_1
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プレイヤー・宮野真守を掘り下げていったら自分の現在地にたどり着きました

宮野真守さんの最新アルバム『FACE』は、宮野さんの顔にアシンメトリーなアートメイクを施した2種類のジャケット写真が印象的。アルバム制作に込めた想いやツアーの演出ビハインドを伺いながら、宮野さんの持つたくさんの“顔”を少しずつ紐解いていきました。

――最新アルバム『FACE』は書き下ろしの新曲を含めた全14曲が収録された聴き応えのある一枚でした。

「フルアルバムは8枚目になるのですが、今作は“時代の顔になってやるぞ”くらいの気合いを込めて作りました。今年で歌手デビュー17年、2009年からは毎年ライブツアーを展開してきたのですが、それらのテーマには常にその時々の自分の想いが反映されるようなワードを掲げてきました。今回はプレイヤーとしてジャンルの枠組みを超え多様なキャラクターに挑み続けてきた今の自分が、さらに強く意識していることを表現してみたいという想いがありました。

 “プレイヤー・宮野真守”をテーマに肉付けをしたらどのようなライブになるのか改めて考えてみたら、声優や俳優、アーティストで自分ならではの表現を求めてどん欲に突き進む様々な顔の“宮野真守”がいたんです。当初、“多様な人が住みそれぞれの異なる生活や顔が見えるマンションをモチーフにする”という案があって、とても面白いと思いました。

昨年の“DRESSING! ”ツアーではファッションをテーマに、自分のスタンスを“目まぐるしく変化するラグジュアリーなビジュアル”で表現したところ大きな手応えを感じました。その“DRESSING! ”をさらに発展させてみようという狙いもあり、マンションモチーフからラグジュアリーなリゾートホテルにイメージをふくらませました。

リゾートホテルにはバラエティに富んだ素敵な部屋があったり、テーマパークのようにエリア内でいろいろ体験できる楽しさがあるじゃないですか。それをファンのみなさんと一緒に過ごす休暇=バケーションととらえたら非日常を感じてもらえる面白いライブになるのではと、タイトルは“VACATIONING!”としました。

そこからアルバム制作に戻って自分が今強く打ち出したいものは何かと突き詰めたら、それはやっぱり僕の根本にある“色々な顔を演じたり、色々な姿を見せること”ではないかと思い至ったんですね。マルチな顔をテーマに置けば気持ちを作る核にもなるし、“時代の顔になる”という言葉は力強い決意の現れにも思えたので、シンプルに『FACE』というタイトルを選びました」

“時代の顔になる”という言葉は力強い決意の現れにも思えた(宮野さん)
“時代の顔になる”という言葉は力強い決意の現れにも思えた(宮野さん)

――ファンと一緒にバケーション感覚で楽しめるステージで、宮野さんの多彩な顔や活動の魅力が堪能できるライブなのですね。

「1stアルバム『BREAK』で音楽の道を切り開いて以降、常にそのときの自分が大切にしているキーワードを打ち出してきたので、アルバムやツアータイトルを振り返ってみたら当時の僕が思っていたことを読み解けるかもしれません。3年ぶりの今作では初めてご一緒するクリエイターの方と新たな方向性や新しい宮野真守の顔を模索してみました」

――そのアルバムの先行配信曲の『ジャンプしてみて』は、キャッチーで軽快なソウルファンクナンバーですが、SNSでの総再生数が遂に1億回を突破したそうですね。

「『ジャンプしてみて』は、実はフェス用の曲として作ったんです。去年初めて出演した『イナズマロック フェス2024』でフェスの世界観を身をもって知ったのが始まりでした。音楽フェスは僕を初めて見てくださる方が多い場であるからこそ、セットリストは自己紹介をふまえた盛り上がる楽曲をそろえたのですが、今後も出演するのであればそのための曲が欲しいよね、と。今年出演するフェスに向けて楽曲を作り、アルバム先行曲として先日配信しました。

こうした楽曲の作り方は今作の『FACE』のテーマにもすごく合致しているんですよ。新しいクリエイターの方と出会って、アーティストとしての自分の新たな一面を切り拓きたい。そう思ってアルバム制作のためにコンペを開いて新しいクリエイターと楽曲を求めたんです。自分たちがこれまでやってきた音楽の流れとは異なる新しい風を吹かせたくて、それこそ、“フェスで盛り上がれる曲を求めています、ジャンルもテンポもこだわりません、歌詞にもメッセージ性は特にいりません”みたいな打ち出しで広く募らせていただいたんです。

いつもなら“僕はこんな想いを伝えたいです!”と歌詞に込めるメッセージには人一倍こだわって依頼をするタイプなのですが、今回は“宮野真守を見た通りすがりの初見の方でも楽しめる曲”を欲していました。だからこそ“あえて意味のない楽曲を作ろう”とも思っていて。その結果、ロックもあればポップスもありと本当にバラエティに富む様々な表情の候補が集まり、その中から僕の琴線に触れたのがこの『ジャンプしてみて』でした」

声優の宮野真守さん
今回は“宮野真守を見た通りすがりの初見の方でも楽しめる曲”を欲していました(宮野さん)

「ソウルファンクのリズムは色褪せない良さがありますし、70年〜80年代の世界観は今エモいと捉えられたりするじゃないですか。僕もブルーノ・マーズが好きだったりするので、この曲ならフェスで老若男女世代を問わずに楽しんでいただけるのではと思いました。何より“ジャンプして”というワードが強いですよね。とにかくジャンプしていれば楽しいみたいな実にシンプルな歌詞構成なんです。MVも個性的に作ってみたのでまだの方はぜひ視聴してみてください(笑)」

“気分はサマーバケーション”のようなステージをお見せします

――『FACE』のテーマとして書き下ろされた「Mirror」についても教えてください。

「プロデュースしてくださるstyさんとはずっと一緒に曲作りをしてきた仲なのですが、今回も今の僕の想いや、アルバム『FACE』で何を表現したくてツアーの先には何があるのかまで含めて細かく打ち合わせをさせていただいたんですよ。それを『Mirror』の歌詞にメッセージとして落とし込んでくださったんです。

“Mirror”とは顔を映すことで自分の本心や自分自身まで透けてみえる鏡のイメージ。特に英語で書かれた部分の歌詞には今までにないぐらいの強い言葉をあえて置いてくれて。“その顔に絶対の自信を持っている”“自分が一番輝いてるからフィルターや加工はいらない” とか。styさんはそれらのワードを僕から強く感じとってくださったそうなんです。 “ああ、宮野くんは遂に大海原に漕ぎ出したんだな。世界に飛び出した強さみたいなものが今の宮野くんから感じられる。だからこの曲が生まれた”とおっしゃってくださったことがとてもうれしかったです」

声優の宮野真守さん
世界に飛び出した強さみたいなものが今の宮野くんから感じられるとおっしゃってくださったことがとてもうれしかった(宮野さん)

――その『Mirror』はサウンドにも中毒性の高い魅力が感じられます。一方でツアータイトルともリンクする曲『VACATIONING』は聴く人に高揚感を与えてくれますね。

「冬のツアーなのに南国のビジョンを作ったところが自分でもけっこう面白いなと思っていまして。よく芸能人の方はみなさん冬に常夏のハワイに行きますよね。そんなギャップに満ちたトリップ感、冬だからこそ味わえる非現実感をファンのみなさんと一緒に楽しむツアーにできたらいいなと。デビューからご一緒している作曲家のJin Nakamuraさんとも、人がVACATIONを欲する瞬間について語りました。

心も体も疲弊してしまうような状況が続く中で、“その体験やその思い出”さえあればいつどこにいても素敵でかけがえのないVACATIONにアクセスできる。このツアーがそんなひとときになればいいな、という願いを込めて、聴いてくださる方に寄り添いあたたかな繋がりを感じられるような楽曲を目指しました。僕のライブに来てくださった方にある種の癒しやビタミンを提供できるような、そんなエンタメをやっていきたいという想いも込めていたりします」

――コロナ禍開けの2023年に開催されたライブツアー“SINGING!”を視聴したとき、宮野さんのステージはまさに大人の観客の目も耳も満たしてくれる、フルセットの極上エンターテインメント時間であるように思えました。

「ありがとうございます。毎回がエンターテインメントショーであるということは、1stライブから自分がすごくこだわり続けて演出してきた部分ではあります。今回も多種多様な楽曲を準備しているので、それらを演出するだけでもすでに目まぐるしいものになってきています。その上で“VACATIONING!”をどう表現するのか。会場に来てくださる方にはぜひ楽しみにしていていただきたいなと思っています」

――ファンの方も宮野さんの趣向を凝らしたステージに毎回期待されていると思うのですが、ライブ後の反響はどのようにキャッチされているのですか。

「出演していたラジオ番組に素直な想いをいただくこともありましたし、ライブの最中に感じることもあります。コロナ禍のさなかは声出し禁止で、マスクでみなさんの顔を見ることができなくて辛かったですが、今は声も出せるし、みなさんのピッカピカの笑顔を見ることができます。客席にいてくださるたくさんの笑顔を目の当たりにすることは何より僕自身の大きな力になっているんです。それを共有できるように、演出の中に何かしらみなさんとコネクトできる瞬間みたいなものを今回も考えていますので、ご期待ください」


長身に上質なジャケットを軽やかにまとってスタジオに現れた宮野さん。少年のようにチャーミングな表情を見せたかと思えば、大人の上品な色気がふっと自然ににじむ瞬間も。短時間のフォトセッションのうちに様々な“顔”を見せてくれました。Vol.2では宮野さんの求めるアーティスト活動のゆくえに迫りますのでお楽しみに。

■MAMORU MIYANO ASIA LIVE TOUR 2025-2026 〜VACATIONING!〜

 

開催日程/会場
11月22日(土)開場 17:00 開演 18:00 会場 宮城・ゼビオアリーナ仙台
11月23日(日)開場 15:00 開演 16:00 会場 宮城・ゼビオアリーナ仙台
11月29日(土)開場 17:00 開演 18:00 会場 兵庫・神戸ワールド記念ホール
11月30日(日)開場 15:00 開演 16:00 会場 兵庫・神戸ワールド記念ホール
12月13日(土)開場 17:00 開演 18:00 会場 神奈川・横浜アリーナ
12月14日(日)開場 15:00 開演 16:00 会場 神奈川・横浜アリーナ
※海外公演(上海・台北)の詳細は後日お知らせいたします

・チケット料金:12,100円(税込)/各プレイガイドよりプレオーダー申し込み受付中!

詳しくはこちら

■8thアルバム「FACE」2025年11月19日(水)発売!

<初回限定盤(CD+Blu-ray)>
税込¥4,950(税抜¥4,500)※フォトブック封入&スペシャルケース仕様
<通常盤(CD Only)>
税込¥3,630(税抜¥3,300)

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PHOTO :
高木亜麗
STYLIST :
横田勝広(YKP)
HAIR MAKE :
saya(C+)
WRITING :
谷畑まゆみ