夏の風物詩といえば、金魚。子どものころ、お祭りのとき、金魚すくいをしたことがある、という方は多いのではないでしょうか? 日本人にとって身近な観賞魚である金魚ですが、馴染みが深いぶん、「高級金魚」と呼ばれるカテゴリーも存在します。高級金魚は、「錦鯉」と同じく品評会が活発に行われており、そこで優勝したものには驚くほどの高値がつくそう。

そこで今回は、1819年創業の金魚の老舗「吉田の金魚」の代表を務める吉田信行さんに、「高級金魚」について伺いました。その種類や価格、一体どんな方がどんな目的で購入しているのかまで、高級金魚についての豆知識をご紹介します。

夏の風物詩、金魚
夏の風物詩、金魚

高級金魚は「品評会で優勝する」と、一気に値段が高くなる?

高級金魚の代表には「蘭鋳(らんちゅう)」、「琉金(りゅうきん)」が挙げられます。

「蘭鋳」は背びれがなく、丸い発達した頭部が特徴で、金魚の王様と呼ばれる品種です。一方、「琉金」は横から見ると体が円形に近く、尾ヒレが長く、口の先が尖っているのが特徴。このふたつの品種は、2才以上で状態が良いものは、1匹1万円前後から販売されています。

品種:蘭鋳(らんちゅう)
品種:蘭鋳(らんちゅう)
品種:琉金(りゅうきん)
品種:琉金(りゅうきん)

琉球ルーツの「玉サバ」に200万円の値がついた

そのほか、天然記念物や人工的に体の色を調整した品種があり、数千円と手ごろな価格で販売されている品種もあるそう。しかし、高級金魚は品評会で優勝すると、価格は一気に高騰すると吉田さんは言います。

「例えば、東京で催される全日本金魚品評会で優勝した金魚なら、1匹約100万円の値がつきます。最近では、新潟県の品評会で『玉サバ(たまさば)』(琉金をルーツに持つ金魚)が、約200万円という価格で売買されました」(吉田さん)

個体により価格は大きく変化しますが、天然記念物の品種なら10〜20万円。高級金魚の代表「蘭鋳」や「琉金」で状態のよい個体のなかには、30〜50万円にもなるものもいるそうです。

品種(左から):キャリコ、ブロードテール琉金
品種(左から):キャリコ、ブロードテール琉金

「弊社で扱った中で最も高価だったのは、昭和53年の全日本観賞魚品評会で優勝した『蘭鋳』です。当時は私の父の時代。お客様に『100万円でぜひ、売ってほしい』と言われたことがありました。ただ、父にとってその金魚は大切な存在。売ることはありませんでした」と吉田さん。

ちなみに、金魚の大ブームが起こった江戸時代の浮世絵には、犬や猫よりも金魚が多く描かれていたそう。金魚には、昔から人々に愛される魅力があるようです。

高級金魚の購入目的の中にはビジネスもある?

では、そんな1匹数十万円以上もする金魚を購入する方とはどんな方なのでしょうか?

「錦鯉の場合は、中国の方やドバイの方など、海外のお金持ちが購入することが多いんです。でも、金魚の場合は、ほとんど日本人の方。金魚は10年、11年と長生きする生き物。金魚が本当に好きだからこそ、高額でも購入するんです」

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ただ、購入の目的はさまざま。例えば、購入した高級金魚をさらに品評会に出すことが目的の方や、いい金魚の血統を受け継いだ金魚をつくり販売する、ビジネス目的の方もいると吉田さんは言います。

品種:江戸錦
品種:江戸錦

見ているだけで癒される、高級金魚3品種

観賞魚は見ているだけで癒しを感じさせてくれる存在です。それは金魚も同じこと。吉田さん曰く、金魚の一番の魅力は「癒し」だそう。それでは最後に、記事内に登場した高級金魚3品種についてご紹介します。いずれも珍しい品種なので、初めて名前を聞く方も多いかもしれません!

■1:「地金(じきん)・六リン」/ 一般的な価格:2万円前後

正式名称は、「地金(じきん)・六リン」ですが、「六リン」と呼ばれることが多い
正式名称は、「地金(じきん)・六リン」ですが、「六リン」と呼ばれることが多い

「地金・六リン」は突然変異から生まれた品種です。生まれた後に、鱗を剥がし色素細胞を除くことによって、体の白さを調節します。尾ヒレがくじゃく型をしていることが「地金・六リン」の大きな特徴。愛知県では天然記念物に指定されています。

■品種2:「ブロードテール琉金」/ 一般的な価格:2万円前後

ブロードテール琉金
ブロードテール琉金

ブロードテールと呼ばれる大きな尾ヒレが特徴的な金魚です。「ブロードテール琉金」の色には赤、紅白、白のものがあり、なかでも紅白で左右対称の模様が品評会では好まれます。

■品種3:「江戸錦 (えどにしき)」/ 一般的な価格:2万円前後

江戸錦
江戸錦

背ビレがなく丸い体型をしており、黒青赤(白)の三色模様が特徴です。「蘭鋳」と「東錦(あずまにしき)」をかけ合わせて作られた金魚で、「蘭鋳」の体型と「東錦」のまだら模様が組み合わさっています。非常に珍しく、珍重される品種です。

なお、3〜5匹一緒に飼育する場合、水槽のサイズは幅60センチ以上のものが必要とのこと。小型の水槽では金魚にストレスを与えてしまいます。また、金魚は耳も聞こえる生き物。音楽を流せば、飼っている金魚にその音楽を聞かせることもできるのです。

観賞魚は見ているだけで、癒しを感じさせてくれる存在。今回ご紹介した品種以外にも、高級金魚はさまざまな魅力を持った種類が存在します。気になった方は「高級金魚」に触れ合いに、専門店に足を運んでみてくださいね。

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WRITING :
澤田絵里
EDIT :
高橋優海(東京通信社)