【目次】

【「イタリア料理の日」とは?「9月17日」に制定された目的】

「イタリア料理の日」は9月17日。イタリア料理をより身近に感じ、その魅力を広く知ってもらうことを目的とした記念日です。

わたしたちの食生活にすっかりおなじみとなった、パスタやピッツァ、リゾットなどのイタリア料理。とはいえ、その背景にある歴史や地域ごとに異なる食材・料理については、意外と知らないことも多いもの。「イタリア料理の日」は、身近なイタリア料理を入り口に、イタリアの食文化にも目を向けるきっかけとなる記念日と言えそうです。


【「イタリア料理の日」はなぜ「9月17日」? 誰が制定した?】

■なぜ「9月17日」?

「イタリア料理の日」が9月17日になったのは、イタリア語で「料理」を意味する[cucina(クチーナ)]にちなんだ語呂合わせです。「ク(9)チー(1)ナ(7)」と読んで、9月17日なのですね!

■誰が制定した?

「イタリア料理の日」を制定したのは、イタリア料理のシェフを中心に活動する一般社団法人日本イタリア料理協会。日本記念日協会によって、認定・登録されています。ちなみに、[cucina]は、単に「料理」という意味だけでなく、ラテン語で「煮る・料理する」を意味する言葉に由来します。


【「イタリア料理」とは?「歴史」や「食文化」の「特徴」を解説】

■「イタリア料理」は「郷土料理の集合体」

地中海世界の中心に位置するイタリアには、古くからさまざまな文化が流入・混在していました。古代には、エトルリア、ギリシア、ローマ、中世にはビザンティンやアラブなどの影響を受け、料理文化も豊かになっていきます。9世紀には、シチリアを支配したアラブ人から、イネやサトウキビ、サフランなどの栽培法が伝えられました。

中世からルネサンス期になると、イタリア各地で都市国家が発展。それぞれの土地の気候や産物、歴史を背景に、ヴェネツィア、ロンバルディア、エミリア・ロマーニャ、トスカナ、リグリア、ローマ、ナポリ、シチリアなど、特色のある料理が生まれました。

その後、イタリアが統一国家となったのは1861年のこと。長く地域ごとに異なる文化を育んできたため、現在でも「イタリア料理」というひとつの言葉のなかに、多彩な郷土料理が存在しています。日本イタリア料理協会も、イタリア料理を「郷土料理の集合体」と表現しています。

■「特徴」は?

イタリア料理の大きな特徴のひとつが、素材の持ち味を生かしたシンプルな味わいです。トマトソースやオリーブ油はイタリア料理を代表する食材・調味料ですが、地域によって使われる食材や油脂も異なります。北部ではバターや乳製品を使った料理、南部ではオリーブ油を使った料理が発達するなど、土地の自然環境と食文化が密接に結びついているのです。

そのため、「イタリア料理はこういう味」とひとことで表すのは難しいもの。北から南まで、それぞれの土地で受け継がれてきた料理を味わえることこそ、イタリア料理の大きな魅力といえるでしょう。


【「イタリア料理」には何がある?「パスタ」「ピッツァ」「リゾット」などの「代表的料理」】

■「イタリア料理」といえば…「パスタ」!

イタリア料理を代表する料理といえば、まず「パスタ」が挙げられます。パスタはイタリア語で「めん類」を意味し、スパゲッティやマカロニ、ラザーニャ、フェットゥチーネなど、形や調理法によってさまざまな種類があります。

大きく分けると、パスタは、乾燥させて保存性を高めた「乾燥パスタ」と、水分を多く含む「生パスタ」に大別できます。

生パスタには、卵を加えたものや、ラビオリのように具材を包んだものもあります。乾燥パスタには硬質小麦のデュラム小麦が使われるのが一般的。一方、手打ちパスタには卵を加えてつくるものもあり、ラビオリなどの詰め物をしたパスタもあります。トマトソースやミートソースなど、合わせるソースも多彩。日本でもおなじみのパスタですが、実は種類も食べ方も非常に幅広い料理なのです。

■ナポリ生まれの「ピッツァ」

「ピッツァ」もイタリアを代表する料理です。小麦粉、水、酵母、塩などでつくった生地を発酵させ、トマトやチーズをはじめとする具材をのせて焼き上げます。

もともとはナポリを中心とするカンパニア地方の郷土料理で、19世紀末から20世紀にかけてアメリカへ移住したイタリア人の間にも広まりました。その後、アメリカを経由して日本にも伝わり、1970年代以降、各国に広まっていったとされています。ナポリピッツァには、トマト、モッツァレッラ、バジルを使う「マルゲリータ」や、トマト、ニンニク、オレガノなどを使う「マリナーラ」があります。

■米を使った「リゾット」

日本人にもなじみ深い米を使ったイタリア料理が「リゾット」です。米をタマネギやバターなどと炒め、スープや白ワインなどを加えて煮込みます。

代表的な「ミラノ風リゾット」は、サフランで鮮やかな黄色と香りを添え、バターやチーズで仕上げる米料理です。米はポー川流域で生産されることから、リゾットはイタリア北部と深い関わりをもつ料理です。

■肉や魚介類を使った料理も豊富

肉料理としては、薄切り肉にハムやセージなどを合わせた「サルティンボッカ」や、骨髄を含む仔牛のすね肉の輪切りを煮込んだ​「オッソ・ブーコ」などが知られています。また、三方を海に囲まれたイタリアでは魚介類もよく食べられます。エビ、カニ、イカ、タコ、アサリ、ムール貝、イワシ、マグロなどを使った料理が各地にあり、魚介のスープや煮込み料理なども豊富です。

こうして見てみると、イタリア料理はパスタやピッツァを中心に、米料理、肉料理、魚料理まで、実に多彩。しかも、その土地でとれる食材によって料理が大きく変わるところも、イタリア料理の面白さなのです。


【「北イタリア」と「南イタリア」の料理はどう違う?「地域別」の特徴を紹介】

イタリア料理の大きな魅力のひとつが、地域によって料理の特徴が異なることです。北部と南部を比べると、食材や調理法にも違いがあります。

■「北イタリア」は…

北イタリアでは、アルプス山脈やポー川流域の豊かな平野などを背景に、米やトウモロコシ、小麦、乳製品などを使った料理が発達しました。ロンバルディア州などでつくられる米を使った「リゾット」や、トウモロコシ粉を練ってつくる「ポレンタ」は、北部を代表する料理です。

また、食用油にも地域差があり、北部ではバターやラード、オリーブ油などが使われてきました。バターやチーズなどの乳製品を使った、比較的コクのある料理も特徴です。

■南イタリアは…

一方、南イタリアでは、硬質小麦の栽培が盛んだったことから、スパゲッティやマカロニなどの乾燥パスタが発達しました。ナポリ周辺のカンパニア地方は、パスタを自然乾燥させるのにも適した気候だったとされています。さらに、南部ではオリーブの栽培が盛んで、料理にもオリーブ油が多く使われます。ナポリを中心に栽培されたトマトも、南イタリアの食文化を特徴づける食材。トマトソースの登場によって、乾燥パスタやピッツァも発展していきました。

つまり、大まかにいえば、北イタリアではバターや乳製品、米などを使った料理、南イタリアではオリーブ油、硬質小麦、トマトなどを使った料理が発達してきたのです。ただし、これはあくまで、ごくざっくりとした傾向です。実際のイタリア料理は、北と南だけで単純に二分できるものではありません。都市や州、さらには町ごとに特色があり、土地の気候や農産物、歴史が料理に反映されています。


【「イタリア料理」の「コース」の順番は?「アンティパスト」から「ドルチェ」まで解説】

■基本のコースは?

イタリア料理のフルコースは、
・前菜の「アンティパスト」
・パスタやリゾットなどの「プリモ・ピアット」
・肉や魚料理の「セコンド・ピアット」
・野菜料理やサラダなどの「コントルノ」
・チーズ、ドルチェ、コーヒーなど

という構成となっています。

ただし、家庭の食事やカジュアルなレストランでは、すべての料理が順番に出されるとは限りません。

■前菜から「プリモ・ピアット」へ

最初に登場するのが「アンティパスト(antipasto)」です。イタリア語で「食事の前」を意味し、生ハムや魚介、野菜などを使った前菜が中心です。

続く「プリモ・ピアット(primo piatto)」は「第一の皿」という意味。スープやパスタ、リゾットなどがここに含まれます。日本ではパスタをメイン料理のように考えることもありますが、イタリア料理のコースでは、肉や魚のメイン料理の前に食べる一皿という位置づけです。

■メインの「セコンド・ピアット」から「ドルチェ」へ

「セコンド・ピアット(secondo piatto)」は「第二の皿」で、肉料理や魚料理など、コースの中心となる料理です。その後に野菜料理やサラダなどの「コントルノ」、チーズ、デザートの「ドルチェ(dolce)」などが続きます。

最後はコーヒーや食後酒で締めるのが一般的。フルコースでは、食前酒の「アペリティーボ」から始まり、食後酒の「ディジェスティーヴォ」まで、食事の時間そのものを楽しむ構成になっています。


【「イタリア料理の日」に知っておきたい豆知識】

■「イタリアン」の基本マナーとは?

イタリア料理のマナーで、まず覚えておきたいのがパスタの食べ方です。日本ではスプーンの上でパスタを巻くこともありますが、ロングパスタは、ひと口分をフォークで巻き取って食べるとスマートです。スプーンを併用するかどうかや、パンで皿のソースを味わう「スカルペッタ」の扱いは、地域や店の格式によっても異なります。高級店では周囲の様子に合わせると安心です。

また、イタリア料理では、料理を味わいながら、同席する人との会話を楽しむことも、イタリアの食文化を知るひとつの方法です。

■「イタリア料理」と「フランス料理」の違いとは?

イタリア料理とフランス料理は、どちらもヨーロッパを代表する料理ですが、発展してきた背景や料理の組み立て方には違いがあります。

イタリア料理では、オリーブオイルやトマト、ハーブなどを使い、素材そのものの持ち味を生かす料理が多く見られます。一方、フランス料理では、バターや乳製品、フォンやソースなどを組み合わせ、調理技法によって素材を引き立てる料理が発達しました。

コースにも違いがあります。イタリア料理では「プリモ・ピアット」としてパスタやリゾットなどが独立した一皿になり、その後に肉や魚の「セコンド・ピアット」が続きます。一方、伝統的なフランス料理のコースでは、前菜、スープ、魚料理、肉料理、チーズ、デザートなど、料理の役割がより細かく分かれています。

ただし、どちらも地域によって食材や調理法が異なるため、「イタリア料理はこう、フランス料理はこう」と一括りにはできません。両国の料理は歴史的にも交流があり、イタリア料理がフランス料理の発展に影響を与えたともいわれています。

■実は「トマト」は新顔なんです

パスタやピッツァといえばトマトソースを思い浮かべますが、トマトがイタリア料理に欠かせない食材になったのは、比較的新しい時代のことです。トマトは新大陸からヨーロッパにもたらされた植物で、17〜18世紀ごろにトマトソースが登場すると、乾燥パスタの普及にも大きな影響を与えました。特にナポリ周辺でトマトの品種改良が進み、現在のイタリア料理を象徴する組み合わせが育っていったのです。

■「フォーク」はイタリア料理と縁が深い?

パスタを食べるのに欠かせないフォークですが、フォークがヨーロッパで広まるきっかけのひとつとなったのが、イタリアのヴェネツィアです。『世界大百科事典』によれば、11世紀にはビザンツ帝国からヴェネツィアにフォークが伝わったとされています。現在では当たり前の食器も、長い食文化の歴史のなかで少しずつ定着していったのですね。

■イタリア料理を「ひとつの料理」にまとめた人物とは?

現在の「イタリア料理」というイメージが形づくられるうえで、大きな役割を果たした人物がペッレグリーノ・アルトゥージです。イタリアでは1861年の統一まで、各地に都市国家や王国などが存在し、料理も地域ごとの特色が強く残っていました。そんななか、アルトゥージは1891年に『La scienza in cucina e l’arte di mangiar bene(料理の科学と美味しく食べる技法)』を出版。各地の料理をイタリア語で紹介した同書は、近代イタリアの食文化を語るうえで重要な料理書となりました。

「イタリア料理」というと、昔から全国共通の料理があったように思えますが、実際には地域料理の積み重ねから現在の姿ができあがったのです。

■パスタは「スパゲッティ」だけじゃない!

イタリアには、形や太さ、調理法によってさまざまなパスタがあります。細長いスパゲッティやフェットゥチーネ、筒状のマカロニやリガトーニ、蝶の形をしたファルファッレ、貝殻のようなコンキリエなど、実に多彩。さらに、ラビオリやラザニアのような詰め物や板状のパスタもあります。

パスタの形には、ソースをからめやすくするなど、それぞれに適した役割があります。レストランでパスタを選ぶときは、ソースだけでなく「形」に注目してみるのも楽しそうです。

■日本で「イタリアン」が広まったのは?

日本でもすっかりおなじみのイタリア料理ですが、現在のように広く親しまれるようになったのは、それほど昔のことではありません。明治時代後期にマカロニが輸入されるようになり、その後、1970年代ごろからピッツァやスパゲッティなどを中心にイタリア料理が広く普及していきました。

■イタリア料理はユネスコ無形文化遺産に

2025年、イタリアの料理文化がユネスコ無形文化遺産の代表一覧表に登録されました。登録されたのは特定の料理やレシピではなく、食材を大切に扱う姿勢や手仕事による調理、家族や地域で味、技術、記憶を受け継ぐ文化的・社会的な営みです。地域や家庭によって異なる料理を囲み、人と人とのつながりを育むことも、イタリア料理を形づくる大切な要素とされています。料理全体が国や地域の枠を超えて無形文化遺産に認定されるのは、世界で初めての快挙です。

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会社の親睦会やちょっとした集まりのとき、「おしゃれな店が多いけどフレンチほど堅苦しくならないし、嫌いな人は少ないから」という理由で、イタリア料理のレストランが選ばれること、多くないですか? 私たち日本人にとって、イタリア料理は外食だけでなく家庭料理としても、すっかり定番の存在です。

イタリアが統一国家となったのは1861年ですから、日本だと江戸時代の終わり頃。それ以前は小国家に分かれていたため、「郷土料理の集合体」といわれるほど、バラエティ豊かな料理が育まれました。そんな多彩さも、イタリア料理の魅力のひとつ。「イタリア料理の日」には、お気に入りのレストランに出かけるもよし、得意の一品をつくるのもよし。キリッと冷えたイタリアの白ワインで「Cin cin(チン・チン)!」といきたいものですね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /伊和中辞典『小学館』 /日本イタリア料理協会(https://www.a-c-c-i.com/index.html) /一般社団法人日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp/)
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