各ブランドから新たに発表された注目のクリエイションを厳選【息を呑む、心を奪う…「最新ハイジュエリー」名鑑】
心を奪う色彩、想像を超える造形、そして鮮やかな輝き。選び抜かれた宝石と卓越した職人技が融合して生まれた、世界のトップジュエラーによるハイジュエリーコレクション。
それは、まさに華麗な進化を続ける「身に纏う芸術」── その最新作を一堂に集めてご紹介します。
「BOUCHERON(ブシュロン)」想像を超えたアイディアと技巧──革新の煌めきで描く「人間の個性」とは
同じフォルムを異なる素材と技巧で表現した5組のネックレスとリング──。「ブシュロン」のハイジュエリーコレクション『カルト ブランシュ』の最新作『ヒューマン ビーイング』は、共通の形に人間の普遍性を、素材や色、光の違いに、ひとりひとりの個性を映し出します。その輝きが讃えるのは、「人間」の多様性と存在の尊さにほかなりません。
【FLOWER】つぼみが開花していく…自然の尊い瞬間を卓越した細密画で描いて
拡大鏡のもとで彩色されたピンククオーツに咲く花々
つぼみから花が開くまでの時間の流れをシンメトリーで表現したロマンティックな『フラワー』。艶消し仕上げのピンククオーツを小さなキャンバスに見立て、熟練の細密画家が拡大鏡を用いて彩色を施した。保護のためのニス仕上げには、気泡が入らないよう細心の注意が払われ、1石が完成するまでに約10時間を要したという。
また、その制作には、正面から爪や留め具をいっさい見せない構造が採用されている。ストーンの色調に合わせて地金にセラミック塗装を施すなど、細部に至るまで完璧な美意識が貫かれた作品。
尊き「人間」という存在へ、「ブシュロン」が捧げた讃歌──それが『カルト ブランシュ』の最新作『ヒューマン ビーイング』です。フランス語で「白紙委任」を意味するこのコレクションは、クリエイティブディレクターのクレール・ショワンヌが何ものにもとらわれず、心のままに発想を形にしていく舞台。これまでも未知の素材や先端技術を大胆に取り入れながら、ハイジュエリーの常識を押し広げてきました。
今回、クレールが見つめたのは、「人間」という存在そのものです。ネックレスとリングからなる5組のジュエリーセットはすべて、伝統的なクラスターネックレスの形を共通の土台としながら、まったく異なる素材と技法によって個性を描き分けています。
雨粒のようなダイヤモンドを宿すロッククリスタル、花々を描いたピンククオーツ、光そのものを意匠化したモルガナイト、タトゥーを刻んだスモーキークオーツ、千鳥格子を纏ったオニキス。その制作に注がれた時間は、延べ1万4千時間以上にも及びます。
かつて宝飾職人としての教育を受けた経験をもつクレールは、人の手にしかなし得ない技術の奥深さを誰よりも理解しています。人の創造性や職人の手仕事に代わるものが現れることは、決してありません。真に尊いのは「人間らしさ」であるという信念を、彼女は至高のハイジュエリーに込め、高らかに宣言しているのです。
【TATTOO】光を透かすたび肌に浮かぶグリプティックが芸術的なタトゥーを刻んで
「沈み彫り」の技法で蘇るメゾンゆかりの動植物
ヴィクトリア朝時代に流行したタトゥー芸術にインスピレーションを得て生まれた作品。メゾンゆかりの動植物のモチーフが、スモーキークオーツの裏面に、グリプティック(宝石彫刻)の「沈み彫り」の技巧で刻まれた。光が石を透過するたびに、彫りの深さと質感の変化だけで描き出されたモチーフが肌の上に浮かび上がる。このネックレスを制作するために、200点を超える専用の工具が特注された。
【CHECKERS】途切れず続く「千鳥格子」が宝石を極上の織物へ・【RAIN】ダイヤモンドを閉じ込めた肌を伝い落ちる光の雫・【LIGHT】幾層にも重なる輝きが生む純粋無垢な光の彫刻
同じフォルムから生まれた三者三様の個性と美しさ
共通のフォルムに、素材と技法の違いで3つの個性を宿したリング。
『チェッカーズ』は、オニキスに時計製造などに用いられるフェムト秒レーザーで「千鳥格子」の柄を刻み、まるで石がファブリックを纏っているような印象に。
『レイン』は空洞にしたロッククリスタルに植物由来のレジンを重ね、ダイヤモンドを雨粒のように浮かべることに成功した。真空下での手作業により、時空を漂うような透明感を実現。
『ライト』は繊細なモルガナイトに圧力をかけないよう、石の周囲のプロング(爪)を極小のネジで固定。小さな造形のなかに、三者三様の美しさと個性が息づく。
〈 Savoir-Faire in Focus 〉古より伝わる宝飾技法「グリプティック」とは?
「グリプティック」とは、宝石そのものに彫刻を施す古代からの技法の総称です。石を彫り沈める「インタリオ(沈み彫り)」と、浮き立たせる「カメオ(浮き彫り)」のふたつが代表的な手法。『タトゥー』には、色を使わず、彫りの深さだけでモチーフを描き出すインタリオが用いられています。
この技術は習得に時間がかかるため、一時、後継者不足が深刻に。しかし近年、トップジュエラーの支援もあり、若い職人も増えてきています。
※文中の表記は、PT=プラチナ、WG=ホワイトゴールド、DIA=ダイヤモンド、PG=ピンクゴールドを表します。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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問い合わせ先
- PHOTO :
- 小野祐次
- 構成・文 :
- 福田詞子(英国宝石学協会 FGA)
- コーディネート :
- 鈴木春恵

















