明治の赤レンガ建築が、くつろぎの空間に。「星のや奈良監獄」とは

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旧奈良監獄の歴史を受け継ぐ「星のや奈良監獄」

赤レンガの外壁に、堂々とした門構え。その姿に、思わず足を止めて見入ってしまうような建物が、奈良市にある「旧奈良監獄」です。

国の重要文化財であるこの歴史的建造物を保存・再生し、2026年6月に誕生したのが「星のや奈良監獄」。明治の建築美を間近に感じながら、ゆったりとくつろげるラグジュアリーホテルです。

旧奈良監獄が誕生したのは1908年。明治政府が近代化を進めるなかで建設した「明治五大監獄」のひとつで、当時の全貌を今に伝える貴重な建築です。その後、奈良少年刑務所として更生教育の場を担い、2017年に閉庁。同年には、国の重要文化財に指定されました。

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「星のや奈良監獄」入口

ホテルのコンセプトは「明けの重要文化財」。近代国家として歩み始めた明治の日本が、西洋の文化を取り入れていった時代背景を、空間や食事、さまざまな体験に織り込んでいます。

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施設の周囲をぐるりと囲む赤レンガの外壁
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「奈良少年刑務所」の看板がそのまま残っている

ホテルデザインを手がけたのは、多くの「星のや」を手がけてきた建築家の東利恵氏。歴史を物語る意匠を残しながら、現代の滞在にふさわしい快適さを重ねています。かつての建物が、どのようにくつろぎの空間へと生まれ変わったのか。その工夫を見つけることも、ここで過ごす楽しみのひとつです。

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夜間はライトアップされて雰囲気が変わる
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赤レンガが浮かび上がり、より非日常感のある雰囲気に

2026年10月には、米ナショナル ジオグラフィックが選ぶ「世界のベスト新ホテル20選」に、日本の宿泊施設として唯一選出。文化財を次の時代へと受け継ぐ取り組みとしても、注目を集めています。

今回は、そんな「星のや奈良監獄」に滞在。建築の歴史に触れ、食事や文化体験を楽しみながら、東大寺にも足を延ばしました。Precious.jpライターによる1泊2日の滞在レポートをお届けします。

旅の始まりは、和紅茶とともに。「茜のティーサロン」へ

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重厚な赤レンガの門をくぐると、広大な敷地の中に佇む星のや奈良監獄の建物が

表門をくぐり、館内へ。滞在の始まりに訪れたのは、かつての講堂を再生したメインラウンジです。

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メインラウンジ

高さ約9mの空間を見上げると、天井にはトラス構造の梁が連なります。ここは、かつて奈良少年刑務所の講堂だった場所。ホテルへの再生にあたり、特に大きく手を加えた空間だそうです。

受刑者たちがレクリエーションや様々な節目で集まっていた講堂の「人が集まる場所」としての役割はそのままに、文化庁の許可を得て改修。歴史ある建築の意匠を生かしながら、ゆったりとくつろげるラウンジへと生まれ変わりました。

西洋文化を積極的に取り入れた明治の時代背景を映し、フランスやイタリアなどの家具を配しているのも特徴。テーブルなどには、これまでの「星のや」でも取り入れてきた日本製の家具を組み合わせ、和と洋が調和する空間に仕上げています。

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西洋家具を取り入れたモダンなインテリア
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メインラウンジの印象的なふたつのアート

ラウンジの正面を彩るアートにも、奈良とのつながりが。壁面の絵画「日本の絵-小盆地宇宙-」は、古代の奈良盆地に広がっていた湖の記憶に、大陸からさまざまな文化を受け入れてきた土地の姿を重ねた作品です。

その手前には、地元のクスノキを彫った「移動する山並み」が。奈良の山々をひとつの生命体として捉えた木彫作品が、絵画とともに、この土地の自然や長い歴史を感じさせます。

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メインラウンジを彩るアート「日本の絵-小盆地宇宙-」

ここで楽しめるのが「茜のティーサロン」。お茶を味わいつつ、家具やアートをゆっくり眺めるひとときも、このラウンジならではの贅沢です。

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茜のティーサロン

いただいたのは、渋みが少なく香りがよい奈良・月ヶ瀬の和紅茶。カヌレはクリームをつけていただくのがおすすめとのことでした。

お茶を楽しむ合間には、スタッフから建物や滞在について話を聞く時間も。目の前にある空間の成り立ちを知ると、梁や窓、家具のひとつひとつにも、改めて目を向けたくなります。

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お茶や小菓子がいつでも楽しめる
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お土産が購入できるショップも併設

ラウンジには自由に楽しめるお茶や小菓子も用意され、旅の合間に本を開いたり、散策から戻ってひと休みしたりと、思い思いに過ごせます。お土産を購入できるショップも併設されているので、くつろぎの合間に旅の記念を探してみるのもよさそう。滞在中、何度でも立ち寄りたくなる、もうひとつのリビングのような場所です。

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刑務官(看守)が受刑者の行動を監視するための看守台も残されている

メインラウンジだけでなく、館内を案内していただいて印象に残ったのは、かつて監獄だったとは思えないほどの明るさです。奈良監獄は、更生を支える環境づくりや人権への配慮から、光を取り込むことを意識して設計されたそう。館内には窓が多く設けられ、自然光が差し込んでいました。

ホテルとしての機能性や快適性を備えるために改修を施しながらも、建物全体の基本的な構成は受け継いでいるといいます。

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1階から見た2階の看守台
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看守台から第一~第五寮すべてが見渡せる造り

その特徴がよくわかるのが、中央の看守台から第一〜第五寮が放射状に延びる配置。看守台に立つと、それぞれの寮の廊下を見渡せる造りになっています。現在、第三寮はミュージアムの一部として一般に公開され、それ以外の寮は客室として活用されています。

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二階の看守台からの景色

一般的なホテルではなかなか目にすることのない、監獄ならではの空間構成。ミュージアムで当時の暮らしや建築の背景を知ってから歩くと、窓の配置や廊下の見通しにも意味があることに気づかされます。建物を眺める視点が変わるのも、ここに滞在する面白さのひとつです。

かつての舎房をつなげた、全室スイートの客室

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独居房をつないだ客室

客室は、全48室がスイートルーム。かつての独居房などを9〜11室つなぎ、ゆとりある滞在空間へと再生しています。

ホテルの客室として新しく整えられた部分と、建物の記憶が残る部分。その両方を感じられるのが、ここならではの魅力です。レンガや天井の造りに目を向けながら室内を歩くと、一般的なホテルとは異なる空間の成り立ちが見えてきます。

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ダイニング空間
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ダイニングの奥にベッドルームがある

3タイプある客室のうち、今回宿泊したのは「The 10-Cell」。およそ3畳の独居房10房分をつなげた客室です。入口から左右に広がる横長の空間に、リビング、ダイニング、ベッドルーム、バスルーム、トイレが配されています。

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ソファのあるリビングスペース
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ソファから見た景色
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赤レンガになじむモダンなインテリア

温かみのあるレンガの壁は、もともと表面を覆っていた白い漆喰を剥がし、当時のレンガをあらわにしたもの。このレンガも、かつて職人の指導のもと、受刑者たちが焼き、積み上げたものだそう。一つひとつ色や形が異なり、その不揃いな表情にも味わいを感じます。

頭上には、かまぼこ型の曲線を描くヴォールト天井が連なります。窓から光が差し込み、独居房だったと聞いて想像するような閉塞感はありません。壁を取り払った部分には柱を設けるなど、必要な構造補強を施しているそう。歴史ある意匠を残しながら、ホテルとして使い続けるための工夫が随所に凝らされています。

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洗面台
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バスルーム

バスルームには洗面台と浴槽、シャワーを備え、広さも十分。ゆったりとバスタイムを楽しめます。

一方、寝室はレンガの空間から趣を変え、温かみのある木の壁に囲まれています。心地よい眠りのために断熱性に配慮した木のフレームを採用しているそうで、扉を閉めれば、リビングとは独立した空間に。歴史を感じる造りのなかにも、くつろぎやすさへの配慮が感じられます。

明治の建築の面影と、現代のホテルに求められる快適さ。その両方を、実際に過ごすことで感じられる客室です。

泊まる場所の歴史を知る。「奈良監獄ミュージアム」へ

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放射線状に収容棟が並ぶ旧奈良監獄

客室でひと息ついた後は、同じ敷地にある「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」へ。

コンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」。建築や歴史を紹介するだけでなく、受刑者の暮らしやアートを通して、「自由とは何か」といった問いを投げかけます。監獄という日常から離れた場所を知ることが、自分自身の暮らしや価値観を見つめ直すきっかけにもなるミュージアムです。

当時の面影を残す「保存棟」

保存棟として公開されているのは、96室の独居房が連なる「第三寮」。ホテルの客室へと生まれ変わったほかの寮とは異なり、監獄として使われていた頃の姿を伝えています。

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近代化の象徴として建築された旧奈良監獄をそのまま残している
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3畳ほどの独居房
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かつてのお風呂があった場所

廊下に並ぶ重厚な木製扉には監視窓が設けられ、頑丈な鍵も。当時ここに収容されていた青年たちの暮らしを想像しながら、建物の細部に目を向けたくなります。

一方、天井の曲線や、高い位置の窓から差し込む自然光にも注目。同じ建築の特徴が、ホテルではどのように生かされているのか。宿泊した客室と見比べる楽しみもあります。

展示エリアA:「歴史と建築」から、監獄の成り立ちを知る

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当時、レンガは囚人の手で造られていた
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レンガの様々な積み方を展示

A棟では、奈良監獄の誕生から、奈良少年刑務所としての歩みまでを紹介しています。

なぜ、監獄にこれほどの建築が必要だったのでしょうか。その背景にあったのは、近代国家として諸外国に認められようとした明治政府の取り組み。人権に配慮した監獄の整備も、その重要な一環でした。

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奈良監獄の模型
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江戸時代の奈良奉行所にあった木製の古い牢舎「ギス監」

模型でわかりやすく紹介されているのが、「ハヴィランド・システム」と呼ばれる監獄の構造です。中央看守所を起点に5つの舎房が放射状に延び、一か所から各舎房の廊下を見渡せるようになっています。ホテルの館内で目にした独特の空間構成にも、効率よく見守るための工夫があることがわかります。

さらに、近代化以前との違いを伝えるのが、「ギス監」と呼ばれる旧牢舎の展示。刑の執行を待つ人を一時的に収容していたもので、キリギリスを入れる虫かごに似ていることが、その名の由来なのだそう。狭い空間を囲む格子と、自然光を取り込む工夫が施された奈良監獄を見比べると、建築とともに、収容される人々の処遇も変化してきたことがうかがえます。

展示エリアB:受刑者の暮らしから考える「規律」と「自由」

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「規律」をテーマとした展示
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「食事」をテーマとした展示

B棟のテーマは「規律とくらし」。食事や衛生、作業など、7つの切り口から刑務所での生活を紹介しています。

例えば「規律」の展示で取り上げられるのは、起床から就寝までの行動や、布団の畳み方にまで及ぶ細かなルール。日々の何気ない動作も、自分の判断だけでは決められない暮らしが伝わります。

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「自由」をテーマとした展示

その一方で、「自由」の展示は、塀の外にいる私たち自身にも問いを向けます。予定に追われたり、「こうあるべき」という思い込みに縛られたり。行動を制限される生活を知ることが、自分にとっての自由を考える入口になります。

受刑者の日常を遠い世界の出来事として眺めるだけでは終わらない、自分の暮らしと重ねて考えたくなるエリアです。

展示エリアC:アートを通して、塀の内側の声に触れる

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西尾美也氏の作品「声を縫う」

かつての医務所を活用したC棟は、「監獄とアート」がテーマ。5組のアーティストによる作品と、受刑者自身が制作した作品を展示しています。

そのひとつが、奈良県出身のアーティスト・西尾美也氏による「声を縫う」。奈良少年刑務所にいた若い受刑者たちの詩を、200人を超える人々が刺繍し、布に刻んだ作品です。

塀の内側で生まれた言葉を、別の誰かが読み、一針ずつ縫い留める。その手仕事を通して、かつてここで過ごした人々の思いと、今を生きる人々がつながっています。布に表された言葉をたどりながら、一人ひとりの声に耳を澄ませたくなる作品です。

ほかにも、花輪和一氏が実体験をもとに描いた「刑務所の中」や、キュンチョメによる「海の中に祈りを溶かす」などを展示。歴史資料とは異なる表現を通して、監獄や、そこで生きる人々を捉える視点が広がります。

ミュージアムカフェ&ショップで、見学の余韻を楽しむ

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ミュージアムに併設されたショップ

展示を巡った後は、ミュージアムカフェでひと休み。赤レンガをかたどった「レンガカレーパン」や、明治のレシピをヒントにした「チーズケーキ 1908」など、この場所にちなんだメニューが揃います。奈良県のご当地ソーダもあり、見学の合間の休憩にもぴったりです。

ショップでは、ポストカードや雑貨、アパレルなどのオリジナルグッズを販売。全国の刑務所作業製品を紹介するギャラリーも併設されており、気に入った品は購入できます。

日本の西洋料理の歩みを味わう「ガストロノミー・クロニクル」

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ダイニングラウンジ
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アペリティフ

夕食は、日本における西洋料理の歩みをたどる「ガストロノミー・クロニクル」をいただきます。「クロニクル」とは年代記のこと。料理を通して時代の変化を楽しむ、ホテルのコンセプトとも結びついたディナーです。

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食事の席

コースは、ダイニングラウンジでのアペリティフからスタート。その後、食事の席へと移り、「黎明期」「成熟期」「現代」「未来」の4つのテーマに沿った料理を味わいます。

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黎明期「始まりのパナシェ」

最初の「黎明期」を表すのは、西洋料理が日本に広まり始めた頃に思いを馳せる「始まりのパナシェ」。時計をモチーフにしたオリジナルの皿には、フルコースを一皿で楽しめるよう、少しずつ料理が盛り付けられています。

1時の位置から時計回りに並ぶのは、魚介のアスピック、コーンポタージュスープ、サーモンのマリネ、鶏肉のクロケット。時計の針を進めるように、順にいただきます。

さらに、目の前に置かれていたキャンドルが、実は最後の一品だったというサプライズも! ホワイトチョコレートでコーティングしたフォアグラのテリーヌをキャンドルに見立てており、切り分けて、皿に添えられた甘夏のピューレとともに味わいます。

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成熟期「舌平目のブレゼ ソース・アルベール」

続く「成熟期」では、日本で育まれてきたクラシックなフランス料理の世界へ。「舌平目のブレゼ」を、濃厚なソースとともにいただきます。ブリオッシュのパン粉が使われており、ふくよかな香りも魅力。舌平目の下にはほうれん草のソテー、手前にはザリガニが添えられ、味わいに変化を添えています。

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現代「赤レンガと植木鉢」

そして「現代」を表すメインディッシュは、「赤レンガと植木鉢」。その名の通り、赤レンガの上に植木鉢がのった姿で登場します。

植木鉢の中に入っているのは、マッシュポテトと野菜。さらに、その下の赤レンガのようなものは、実は赤ワインや奈良漬けで色付けされた塩釜です。ハンマーで叩いて割ると、中から柿の葉に包まれた牛ヒレ肉が現れました。一緒に包まれた黒トリュフの香りも、ふわりと広がります。

現代のフレンチで重視される発酵の要素として、奈良漬けを取り入れているそう。見た目の楽しさに、この土地の食文化を重ねた、遊び心あふれる一皿です。

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未来「カカオの環」

最後は、「未来」を表現したデザート「カカオの環」。ムースやクランブル、カカオの果肉を使ったソルベなど、カカオのさまざまな部分を生かしています。ひとつの素材の可能性を広げ、余すことなく味わうという発想にも、未来への思いが込められています。

器は、ワイングラスをアップサイクルしたもの。未来へとつながるメッセージボトルをイメージしているそうで、料理だけでなく器にも、コースのテーマが息づいています。

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ペアリングも楽しめる

料理とあわせて楽しみたいのが、ワインペアリングです。「赤レンガと植木鉢」には、長期熟成の「シャトー・クロ・ド・サルプ 1996」と、爽やかな果実味あふれる「レミ・ジャニアール シャンボール・ミュージニー 2023」の2種類が登場。同じ料理に異なるワインを合わせることで、味わいの変化を楽しめました。

建物を通して触れた明治の時代を、今度は食卓からたどり、未来へと思いを巡らせるひととき。料理のおいしさはもちろん、意外な仕掛けや背景にある物語も、記憶に残るコースです。

蓄音機の音色に耳を傾ける、夜の「響きのソワレ」

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蓄音機から流れる音楽と共にお酒を楽しんで

夕食後は、ダイニングラウンジで行われる「響きのソワレ」へ。蓄音機から流れる音楽を聴きながら、グラスを傾ける夜の時間です。

建築や食事に続き、ここでは音楽を通して、かつての時代に思いを馳せます。観光や食事で満たされた一日の終わりに、腰を落ち着けて音に耳を傾ける。そんな過ごし方ができるのも、宿泊するからこその楽しみです。

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オリジナルカクテルで夜を愉しむ

柿の葉をイメージしたオリジナルカクテルと、おつまみとしてドライフルーツやナッツをいただきました。

客室へ戻るまでのひとときも、旅の記憶に残る場面に。翌朝の予定を考えながら、奈良での夜をゆっくりと過ごしました。

少し早起きをして東大寺へ。朝の法要に参列

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早朝の奈良公園には鹿たちの姿が

翌朝は少し早起きをして、東大寺へ向かいました。ホテルで明治の歴史に触れた前日に続き、今度は奈良で受け継がれてきた祈りの文化に触れる時間です。

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東大寺大仏殿
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僧侶の皆さんが続々と

早朝の奈良公園を通って南大門をくぐり、東大寺の金堂(本堂)大仏殿へ。

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大仏殿内に鎮座する大仏さま

今回参列したのは、大仏で月に2日行われている月例法要(寺役)。7時30分の開門に合わせて参拝し、8時になると、大仏さまの前で僧侶による読経が始まりました。

空は気持ちよく晴れ渡り、修学旅行シーズンとあって学生たちの姿も。朝早い時間ながら境内はにぎわっていましたが、大仏殿に響き渡る読経は力強く、厳かな空気のなかで、自然と背筋が伸びる思いがしました。

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境内を歩く鹿たち

観光で訪れるだけでは触れる機会の少ない、東大寺の営み。拝観するだけでは気づかなかった東大寺の一面に触れ、少し早起きした甲斐がありました。

※月例法要が行われるのは毎月8日と15日(ただし、8月15日と10月15日はなし)。4月~10月は8:00~、11月~3月は8:30~。大仏殿参拝は、4月~10月は7:00~17:30、11月~3月は8:00~17:00。

朝の光が差し込む別棟のダイニングで、和朝食を

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ダイニングの前の中庭

東大寺からホテルへ戻った後は、別棟のダイニングで朝食をいただきました。

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ダイニング

かつての拘置監の独居房や接見所などを再生したダイニングは、半個室の落ち着いた空間。高い位置にある窓にも、当時の建築の特徴が残っています。朝の光のなかで眺めると、前夜のディナーとはまた違った表情が見えてきます。

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和朝食

今回選んだのは、豆乳鍋をメインとする和朝食です。

ぐつぐつと煮込まれた「豆乳と胡麻豆腐の精進鍋」のほか、利休ごぼう、切り干し大根、干瓢胡麻和え、ひじき旨煮の4種の口取り、鮭の酒粕幽庵焼き、味噌汁、温泉卵、ヨーグルトなど、朝の胃腸にぴったりな和の品々が並びます。

朝の外出を終え、席についてゆっくりと食事を楽しむ時間。食後は館内や中庭を散策して、出発までのひとときを過ごしました。

訪れるたびに、新たな奈良の魅力に出合う

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奈良の大仏さま

今回訪れた星のや奈良監獄と東大寺は、JR東海の観光キャンペーン「いざいざ奈良」の第10弾「東大寺編」の舞台にもなっています。

「いざいざ奈良」が伝えるのは、1,300年以上にわたり受け継がれてきた歴史や文化と、今を生きる人々が生み出す新たな魅力。その両方に出合える奈良の旅です。

「東大寺編」では、俳優の鈴木亮平さんが東大寺を4年ぶりに再訪。訪れるたびに新たな発見がある大仏さまや、歴史を受け継ぎながらホテルとミュージアムへと生まれ変わった旧奈良監獄を巡ります。長く守られてきたものと、新しいかたちで未来へつながれていくもの。今回の滞在とも重なる視点から、奈良の魅力に触れられます。

ぜひこちらもあわせてチェックしてみてください。

「いざいざ奈良 東大寺編」特設ページ


歴史を刻む建物に泊まり、その背景を知り、食や音楽を通して時代の移ろいに触れる。「星のや奈良監獄」で過ごす時間には、文化財を眺めるだけでは得られない発見があります。

「星のや奈良監獄」に泊まり、建築も美食もじっくり楽しみながら、この土地をもっと深く知る旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
小林麻美